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目次
1,学級崩壊が起こる理由
2,学級崩壊が起こった時、管理職は何をするか
3,学級崩壊が起こった時、学校周辺で何が起こるか
4,なぜ学年の途中から担任を変えることが難しいのか
5,一人の親にできることとは
6,実際に教師として自分が学級崩壊を起こした時に感じたこと
1
自分の子供のクラスで学級崩壊が起こった時に
親としてできること
⇛一言で言うと、①>②の時、
つまり、クラスを統率するために必要な要素、水
準を、クラスに働いているマネジメント力が超え
られない時に起こる
2
どのような時に学級崩壊が起こるか
①そのクラスを統率するために必要な水準
②クラスに働いているマネジメント力
3
①と②、それぞれを構成するもの
①を構成するもの
・子供の先天的な性質、能力と状態
・子供の状態を作り出す周囲の環境
・夫婦の関係性や、親の子育て
②クラスに働いているマネジメント力
・教員の指導力
・学年の教員陣の連携力
・管理職のサポート体制
・外部講師の力
・保護者の協力
4
①が②を超える理由として頻繁に見られるもの
1,あまりに指導の難しい子供の存在
2、その子供に引きづられる周囲の子どもたち
3,家庭環境の状態の悪さが与える子供への悪影響
1,もともと教員を志す人達の性質、志向性
2、現場に入るまでと、入った後での訓練の不足
3,学校全体として指導する体制の不準備
学級崩壊は学校現場とその周辺に存在するシステムの
デザインの悪さによって起こっている
5
じゃあ、どうすれば良いのか
①を低くするか、
②を高くするか、
その両方か。
6
学級崩壊が起こると管理職は何をするか
1. 副校長や空きの先生が教室への補助に入る
2. 臨時保護者会などを通じて、保護者への説
明をし、時には協力を仰ぐ
3. 担任へのサポート、もしくは批難
4. 教室で起こった問題への対応
(対子供、対保護者)
5. 報告書の作成
6. 次の補助教員を探す などなど
が通常の激務に乗っかってくることになる
◯年◯組
◯◯小学校
子供
達
保護者
7
学級崩壊が起こると学校周辺で何が起こるか
保護者と地域編
◎批判的スタンスの保護者
=学級担任批判、学校批判、担任の変更の願
い、等
◎協力的スタンスの保護者
=改善策の提案、サポートして教室の観察に
入る、等
⇛噂が学校中の保護者に広がっていき、時に
は親繋がりで地域にも
◯年◯組
◯◯小学校
子供
達
保護者
8
学級崩壊が起こると学校周辺で何が起こるか
子供の周囲編
教室内が動物園状態になる。子どもたちの関
係性が弱肉強食状態になり、弱い子達がいじ
められる現象が起こる。
過剰なストレスがかかり、常にイライラして
いる。
行動基準が「しなければならないこと」「す
る必要があること」から、「その時にしたい
こと」に移り、好き勝手行動を始める。
学習に取り組みが向かなくなる。などなど
◯年◯組
◯◯小学校
子供
達
保護者
9
学級崩壊が起こると学校周辺で何が起こるか
学級担任編
子どもたちを統率できずに自分の能力の無さ
に苦しむ。
指導の難しい子供の責任にしたくなり、さら
に関係性が悪くなる。
子どもたちや保護者達から批判的な言葉を浴
び、自分の存在そのものの価値を疑う。
発生した問題の処理に時間がとられ、本質的
な解決に時間を避けなくなる。
精神的に疲弊し、パフォーマンスが激しく低
下する。時には心の病や自殺に向かう。
◯年◯組
◯◯小学校
子供
達
保護者
10
なぜ学年の途中から担任を変えることが難しいか
「担任を変えればクラスが上手く行く」というのは良く見られる事例で、解決策
としてはその通りなのですが、なかなかそう簡単にできる手法ではありません。
その理由はいくつかあります。
1. 子供を統率するために求められる水準の高さはかなりのもので、それ自体が難
しい。高度な指導力を持つ教員は長年の経験と、効果的な学習によってスキル
を高め続けて得たもので、そんな簡単にはスキルは高まらない。
2. そもそも高度な指導力を持っている先生の数が限られている。
3. 高度な指導力を持っている先生は、基本的にひっぱりだこなので、年度の途中
から入ってくることはまずありえない。
4. 年度の途中から入ってくる先生というのは、非常勤の先生などが多く、変えた
ところで上手くいくかどうかはわらかない。
5. 教員養成大学で身につける内容は、知識や理論に偏りすぎており、実践的なス
キルを高める環境が乏しい。
学年の途中から、違う担任に期待するのも難しい。
それよりも、今いる教員と連携する方が現実的
11
学級崩壊が起こった時に親にできることとは?
基本スタンス編
1. 問題を共に解決していく協力者であると認識し、サポ
ーターチームを結成して、教室内外の課題解決に取り
組む。
2. 「学級崩壊は瞬間的に解決できるもの」「学級崩壊は
担任や、学校の指導力の問題」という認識を捨て、「
長年かけて構築されてきた日本の社会構造の末端で見
える1問題であり、担任や特定の子だけの問題ではな
い」という認識に変え、批判的にならず、長期的な視
座で、可能な限りの回復を目指す。
12
自分の子供のクラスで学級崩壊が起こった時に
親にできることとは?
子供に向けての具体策例
1. 自分の子供の心の安心を回復できるように、務める。
2. クラスで荒れている子に対して、傾聴しながら、その子
の不安や荒れを少しでも取り除けるようにするのと同時
に、クラスの子たち全員の心を整える体制を整える。
3. 自分の子供にも、クラスの子供にも、学術的な学習のサ
ポートとともに、人の感情や、チーム、組織とは何か、
幸運・不運など、人間社会についての学習の機会と捉え
、対話を通じて、その場で大事な行動に目を向けさせる
。
13
自分の子供のクラスで学級崩壊が起こった時に
親にできることとは?
クラスに向けての具体策例
1. 保護者から保護者全体へ「これはシステムの問題であり、
全員で解決していくべきものである」と働きかけていく。
⇛全員ではないが、協力してくれる人たちが出てくる。
2. ②先生へのメンタルケアに入る。⇛ここ次第で、その先生
の行動の質、クラスに生まれる結果の質がぜんぜん違う。
3. 学級を複数人体制で統率できるような体制を組めるように
働きかける。時間がある保護者で順番にクラスに入る。
4. カウンセラーの力も活用しながら、悩んでいる保護者達が
悩みと向き合える体制を整える。
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実際に、教師として自分が学級崩壊を起こした時
に感じたこと
今から15年近く前のことになりますが、私が教員、1年目、2年目の時、私は2つのクラ
スを崩壊させました。今でも、当時のことを思い返す度に、辛さと、申し訳無さと、情けな
さと、やるせなさで涙が出てきます。あの時、子供に言ってもらった「お前さえ来なければ
みんな幸せだったんだよ」という言葉は、私の宝物で、私を動かす大きなドライブになって
います。
当時、クラスを統率するために必要な要素を100としたら当時の私が持っていたものは5
0にも満たなかったように思います。今になってみれば、40人近い子どもたちを統率する
ために必要なスキルは極めて高度で、そう簡単に身につくものではないとわかりますし。
残念ながら学校現場に入るまでにそのスキルを高める機会は全くと言って良いほどなかった
ので、当時の自分を責めることも減りましたが、当時は真剣に自殺を考えていました。
クラスの担任の先生に力量がないのは、もちろんその先生の問題によるところも大きいので
すが、それ以上に日本の学校現場で働いているシステムの未成熟差によるものの方が大きい
というのが私の実感です。散々、周囲に迷惑をかけましたし、私自身が苦しんだので、この
被害に会う人が少しでも減らせるよう社会の仕組みを変えていけたら良いなと思っています
。このスライドはまだプロトタイプで、もっとブラッシュアップして、本当の解決につなげ
ていきたいと思っています。2017年2月18日 森本康仁

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