More Related Content Similar to マーケティングを捨てよ、サポートへ出よう 事例から見るスタートアップ初期におけるユーザー獲得 Similar to マーケティングを捨てよ、サポートへ出よう 事例から見るスタートアップ初期におけるユーザー獲得 (20) More from Takaaki Umada (17) マーケティングを捨てよ、サポートへ出よう 事例から見るスタートアップ初期におけるユーザー獲得16. プロダクトの ver. 1 リリース後、ユーザー獲得のためのマーケティングで良く検討される
のが以下の3 施策である。それぞれの施策について、どの程度初期のユーザー獲得に使え
るのかを見ていく。
16
初期ユーザー獲得のためのマーケティング?
PR Ad Viral
18. しかし Batch というモバイル開発者向けツールの場合、TechCrunch 本家 (英語) に掲載さ
れても、1 日のビジターはわずか 372 で、登録ユーザー数はそのうちの 17% --- つまり 63
ユーザーのみで、華々しいデビューだったにもかかわらずスパイクはわずかだった。
https://batch.com/blog/start-up-launch-power-product-hunt-hacker-news-techcrunch/ 18
例) Batch が TechCrunch (US) に掲載されたときは 63 登録
372 Visits × 17%
= 63 Registered Users
19. Andrew Chen いわく、
• TechCrunch のカンファレンスに出場して PR なども掲載
されたスタートアップの1年後のトラフィックはあまり増
えていない
• TechCrunch のようなニュースメディアでの露出は、投資
家やパートナへの露出としては効果的だが、ユーザー獲
得には不向き
• なぜなら PR やブログの記事をユーザー繰り返し見ないか
ら。一時的に伸びるかもしれないが、長期的にはあまり
意味がない
• よって PR 活動やブログのトラフィックにこだわることを
「fool’s gold」(愚か者の金脈)と呼んでいる。これはト
ラフィックがあることで影響力を勘違いしてしまうから。
http://andrewchen.co/growing-renewable-audiences-a-talk-at-oreilly-alphatech-ventures/ 19
PR は基本的にユーザー獲得には向かない
グロースハックで著名な Andrew Chen
TC に出場した会社の 1 年後の traffic
20. 小規模な広告から始めてチャネルや顧客の検証をするなら良いが、初期段階においてユー
ザー獲得を狙うならリスクが高い。
20
2. 広告を出稿すれば集まるのでは?
LTV と CAC が分かってない
顧客の Life Time Value と Customer
Acquisition Cost が分かっていない
状況で大々的な広告を出稿するの
は危険。どの程度の LTV と CAC か
が分かったうえで、ターゲットと
チャネルを最適化して広告を打た
なければ、多くの場合損をする計
算になる。
競争に巻き込まれる
広告出稿にも当然市場原理が働い
ており、良い広告枠は高騰する。
仮に業界(ターゲット)を絞った
としても、業界平均よりも自社の
LTV のほうが高くないと利益が出せ
ないことになる。が、スタート
アップにその状況が起こることは
ほとんどない。
リスティング広告なども多くの企
業や広告代理店が最適化したうえ
で出稿しており、簡単に勝つのは
難しい。なお広告出稿量はメディ
アのサイトなどを参照(たとえば
TechCrunch)
継続率が十分あるかどうか
コンシューマ系のプロダクトの場
合、十分な継続率がないと、ユー
ザー獲得をしてきてもすぐに離れ
て行ってしまい、プロダクトや
ネットワークの価値が上がりにく
い。初期顧客の継続率が十分に高
まってから広告を使ったほうがス
ケールしやすい。
21. 十分に製品に魅力があると思われている
Evernote ですら、ユーザー数の 5% 程度し
かお金を払ってくれない。
一方スタートアップがリリースしたばかり
の製品はまだ Evernote の完成度に達してい
ないので、おそらくもっと Paid ユーザー数
は低くなると思われる。
なお、単純なバナー広告掲載で 100 万 imp.
を獲得したとして、あまり CTR などが高く
なかった場合の試算が左図の通りである。
これでは広告の費用(数十万円~数百万
円)費用対効果が見合わないことが多い
(もちろん初期顧客獲得に対してその金額
が reasonable であれば問題はない)
Conversion Rate は高ければ 70% 、ただし大抵のスタートアップは 25% 以下というのが通説
Evernote: http://www.bbc.com/news/business-26336737
21
Evernote ですら 5% 程度の Conversion と考えると…
Impression
1,000,000
Acquisition
10,000
Activation
1,000
Revenue
50
AARRR モデルを改変
Conversion Rate はおおよそ平均を取得
Freemium 5% の部分のみ Evernote より
CTR 1%
Conversion 10%
Freemium 5%
22. 長期的にはバイラルマーケティングは有効だし、バイラルが起こるような良いプロダクト
を作っていくべきだが、初期ユーザー獲得できるかはリスクが高い。
22
3. 口コミを起こせばよいのでは?
まずは分類から
バイラルマーケティングにもいく
つかの分類がある。
Pure Word of Mouth (口コミ)
機能の良さなどで、他人に話した
くなって口コミを行うケース。例
えば初期の Facebook に招待する機
能はなかったが口コミで広まっ
た。
Inherent (生得的)
他人を誘うことにより製品自身の
価値が上がるケース。Skype など。
Incentive (インセンティブ)
意図的に他人を誘う設計を行う。
たとえばゲームで他人を招待する
と何かがもらえるなど。
向き不向きがある
プロダクトによってはバイラル
マーケティングに向き不向きがあ
る。B2B のプロダクトなどはオン
ラインでのバイラルに向いていな
いことが多い。
たとえばコミュニケーション系は
inherent で、ゲームはインセンティ
ブの設計がしやすく、コンテンツ
は感情を引き起こしやすいので口
コミしやすい。どういうものがバ
イラルで広まりやすいかは STEPPS
(Social Currency, Triggers, Emotion,
Public, Practical Value, Stories) フ
レームワーク (Book, Contagious by
Jonah Berger) などを参照。
多くが失敗している
広告代理店や大企業のマーケティ
ング担当者が大企業のプロダクト
を使って口コミを起こそうとして
いるが、実際には死屍累々な状態
であることを考えると、スタート
アップでの成功確率もそれほど大
きくない。
また K factor がきちんと 0.5 以上 (1
以上になれば加速度的に成長) にな
り、Viral Loop が起こるように設計
しないと、伝染がすぐに止まって
しまうので、実際には詳細な事前
のプランニングや最適化 (LP から登
録の conversion の A/B テストなど)
が必要。
24. スタートアップがトラクションを得る手段
24
マーケティング方法は代表的なもの以外にも様々ある
1. Viral Marketing
2. Public Relations (PR)
3. Unconventional PR
4. Search Engine
Marketing (SEM)
5. Social
6. Display Ads
7. Offline Ads
8. Search Engine
Optimization (SEO)
9. Content Marketing
10. Email Marketing
11. Engineering as
Marketing
12. Target Market Blogs
13. Business Development
(BD)
14. Sales Affiliate Programs
15. Existing Platforms
16. Trade Shows
17. Offline Events
18. Speaking Engagements
19. Community Building
どれが自社のプロダクトに
最適かは検証を行う必要あ
り
26. 正しい価値提案に辿り着く前に
マーケティングにお金を使いすぎてしまった
I spent too much on marketing
before we got the consumer value proposition right.
http://www.businessinsider.com/how-billion-dollar-startup-fab-died-2015-2
Picture from Andrew Mager
http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Jason_Goldberg_and_Ashton_Kutcher.jpg
26
Fab、約 400 億円を調達したものの失敗した理由を語る
400 億円あっても、
スタートアップにマーケティングは難しい
27. Product/Market Fit ができていない状態で Paid Growth を行おうとしたら、どんなにお金が
あっても足りない。よってまずは Product/Market Fit の状態を目指す必要がある。
Running Lean 28
まずは Product/Market Fit に達する
Problem
/Solution Fit
Product
/Market Fit
Scale
主にここで
マーケティングが必要我々はまだここ
30. Product/Market Fit をまず目指す
Dropbox や Eventbrite といったサービスを
成長させてきた Sean Ellis (現 Qualaroo
CEO) も、「グロースは Product/Market Fit
の後」に来るとしている。
Product/Market Fit、つまり市場に十分大き
な需要があり、その需要を満足させるのこ
とのできる製品がある、という段階に持っ
ていくことが何よりもまず先決。
http://www.startup-marketing.com/the-startup-pyramid/ 31
成長は Product/Market Fit の後に来る
Product/Market Fit
Transition to
Growth
The Startup Pyramid
By Sean Ellis
Growth
32. よく間違えるのは Product/Market Fit の前にスケールしようとしてしまうこと
33
多くのスタートアップは Product/Market Fit の前に死ぬ
We are Here
多くのスタートアップは Product/Market Fit の前に資金が尽きて死ぬ
Product/Market Fit
34. Premature Scaling の特徴としては以下の通りである。
Startup Genome Report 35
Premature Scaling
Customer
• Product/Market Fit 前の
時点で顧客獲得にお金や
時間を使いすぎてしまう
(有効な顧客チャネルを
見つけられていない)
• Product/Market Fit 前に
マーケティングや PR 活
動を過度に行ってしまう
Product
• Problem/Solution Fit をし
ていないプロダクトを
作ってしまう
• Product/Market Fit して
いないプロダクトをス
ケールさせようとしてし
まう
• “nice to have” な機能を加
えてしまう
Team
• 多くの人を早い段階で雇
いすぎる
• クリティカルに必要にな
る前に専門家を雇ってし
まう (CFO, カスタマー
サービス, データベース
スペシャリストなど。
マーケティングスペシャ
リストも含まれる)
39. 40
様々なスタートアップがスケールしないことをしていた
Pinterest の初期ユーザーがデザインに興
味を持っていることを知り、デザインブ
ロガーが集まるコミュニティに創業者が
出向いてユーザーを手動で獲得し続け
た。
また Apple Store (店舗) に展示されてあ
る Mac のデフォルトページを Pinterest
に変更して、怒られるまで続けていた。
Zappos
EC サイトを作る前に、販売店で靴の写
真を撮ってWeb にアップして、注文が
来たらその靴を買って配送する、という
のを繰り返していた。
SF の自分たちのオフィスを泊まれるよ
うにして、Google に広告を出し、本当
に人が申し込みをしてお金を払うか検証
した。また NY で戸別訪問を行い、部屋
の写真を撮るなどしてユーザーのリス
ティングの向上を手助けした。
最初は Harvard University 内のみに絞っ
て、ユーザーの声を聴いていた。そして
各大学のための履修コースの一覧表を作
成するのに多くの時間を割いて、学生た
ちが Facebook を自分たちのホームであ
るかのように感じさせるよう注力した。
最初にできたコンピュータは Homebrew
Computer Club というコンピュータ愛好
家の集まりでデモを行った。また最初の
販売はバイトショップへの 50 台の納品
で、すべて自作で組み立てた。なお、発
売初期、あまり売れ行きは良くなかっ
た。
数百の腕時計を自分たちの手で作ること
で、「良いねじを調達することの重要
さ」が分かり、のちに工場を通してス
ケールするときに気を付けるべき部分が
分かった。
41. https://www.groovehq.com/blog/customer-development 42
例)Groove は 4 週間で 500 ユーザーにインタビュー
• 機能があるのに「この機能が欲しい」と言わ
れて、それを伝えたら喜ばれたし、より分か
りやすく提示しなければならないと知った
• 熱狂的な顧客を得た
• ユーザーのペルソナを知るとともに、意外な
使われ方(学校の IT 部門での利用)を知った
• より良いマーケティング用のコピーを作るこ
とができた
• 電話の時間を取ってくれなくても、メールで
意見を返してくれる人が続出した
効果
• 既存のユーザーに対してインタビューリクエ
ストを送付
• 4 週間で 500 ユーザーと直接対話
実施
42. 43
例)筆者の事例:社内向け営業支援で 40 人と対話
• セールス支援策以前の問題点の発見(リード
を発掘しても追いきれない理由など)
• 社内コミュニケーションプロセスの明確化
副次的効果として:
• 存在感が増したせいか、問い合わせの増加
• マーケティング チーム内での発言力の向上
(顧客を知っているという後ろ盾)
• 共同でのコンテンツ作成など連携の強化
効果
• マーケティングの立場から営業を支援するポ
ジションへの担当変更(社内のセールスマン
が顧客になった)
• 2 週間で関連営業 40 人に 1 on 1 の Face to
Face 会議でのインタビューを実施
実施
44. 下記のようなメリットを得られるので、最初期はスケールしないことをすることが大事
45
スケールしないことのメリット
Launch Fast & Small Batch
スケールしないことから始
めることで、すぐにサービ
スを開始することができ
る。本当の学習はリリース
してから始まるので、ロー
ンチすることは本当に重
要。
またコードとは違い時間の
かかる変更などをせずに、
小さなバッチサイズですぐ
に学習の結果を反映できる
ユーザーとの直接関われる
ユーザーから直接フィード
バックを得て学習すること
ができるし、ユーザーのペ
ルソナをはっきり描けるよ
うになるため、ユーザーの
獲得の方法が分かる。
また直接ユーザーを喜ばせ
ることができるので、大企
業にはできない競合優位性
を獲得できるし、Retention
も高めることができる。
プロセスを習熟できる
プロセスのどこがボトル
ネックになるか(どの順序
で自動化=ソフトウェア化
すべきか)や、どのような
アルゴリズムを作ればよい
のかわかる。
またハードウェア製造を手
作業で行うことで勘所など
を学べる。
49. ただし次第に 10% 成長を続けていれば 10 人だったユーザーは 1 年後には 1,420 人いなけ
ればならない。この途中でセールスだけで賄いきれなくなってきたときに、マーケティン
グを行うようにすればよい。ただし極力スケールしないことを続けることが重要。
50
「成長率」は複利:初期は簡単、徐々に難しくなる
10 15 21 31 46 67 98 144
211
309
453
663
970
1,420
W1 W5 W9 W13 W17 W21 W25 W29 W33 W37 W41 W45 W49 W53
また「スケールしないこと」をし続けて成長しないのは本末転倒な
ので、必ず成長率を測る KPI は設定するようにしておく。
51. Y Combinator の初日に言われる 3 か月の方針
•プロダクトを作る
•顧客と話す
•適度な運動
•食事
•睡眠
それ以外はするなhttp://startupclass.samaltman.com/courses/lec01/ 52
Y Combinator の原則
52. Y Combinator の初日に言われる 3 か月の方針
•プロダクトを作る
•顧客と話す
•適度な運動
•食事
•睡眠
それ以外はするなhttp://startupclass.samaltman.com/courses/lec01/ 53
Y Combinator の原則
60. Image by Dan Taylor. www.heisenbergmedia.com 61
差別化されていないプ
ロダクトでも、営業と
販売が優れていれば独
占を築くことはでき
る。逆のケースは
ない。
Peter Thiel
Co-Founder of PayPal
“Zero to One”
67. Enterprise 系の場合
• 創業者が見込み顧客を獲得してきてセールスをする
• とにかく電話する(US では Inside Sales が流行り)
• 何かがあった飛行機を使ってでも飛んでいく(Sam
Altman 等)
Consumer 系の場合
• 創業者がとにかく知り合いを片っ端に登録してもらう
• イベントなどに行きとにかく手動でユーザーを捕まえて
くる
68
スタートアップの営業現場の実際
図:ひたすら見込み顧客に電話をかけ続ける
Y Combinator 期間中の Clever 創業者
73. 決済の仕組みを提供する Stripe。創業者の
Collison 兄弟は Y Combinator に入っていた同
期や卒業生に「ベータ版を試してくれます
か」と聞いて初期のユーザー獲得をして回っ
た。通常のユーザー獲得はここで終わるが、
Collison 兄弟は違った。
彼らは OK を出してくれた相手に
「ではノートパソコンを貸
してください」
と自分たちでセットアップをその場で行って
いた。Paul Graham をこれを “Collison
Installation” と呼んでいる。
写真は http://www.fastcompany.com/3000038/stripes-john-and-patrick-collison-why-you-should-avoid-y-combinator-clones 74
Collision Installation
77. Image by Dan Taylor. www.heisenbergmedia.com 78
優良企業の営業戦略
は、小さく始まるも
のだし、またそうで
なければならない
Peter Thiel
Co-Founder of PayPal
“Zero to One”
79. startupclass.samaltman.com/courses/lec19/よりモデルを改変 80
顧客候補を掴んで来たら Sales Process に乗せる
図. セールスのファネルモデル(簡易版)
見込み顧客を購入に近づけていくプロセスのこ
と。Conversion の時間やステータス管理をする
ために、より詳細なステージ分けをしている場
合が多い。
2. Conversion
購入あるいは導入する可能性のある顧客のこ
と。この数を大きくするために広くマーケティ
ングなどを行うことが多い。
1. Prospect (見込み顧客)
購入がほぼ確定しており、あとは契約を交わす
段階に至るような状況のこと。ただしクロージ
ングで揉めることもあるので注意すること。
3. Closing (成約)
Prospect
Conversion
Closing
B2B プロダクトの場合、営業回数や Win Rate、ステージ管理 、Velocity なども計測すべき
だが、初期は以下のプロセスを頭に入れておくところから始める。
80. ターゲットを明確にすればするほど conversion が上がりやすくなる。自社のプロダクトに
あったターゲットを選び、その中でもアーリーアダプターに注力すること。
81
1. Prospect: 正しいターゲットを選ぶ
Consumer
ソーシャルやゲームといっても最
初は全人類を相手にするのではな
く、必ず絞ること。たとえば写真
ならデザイン系や女性のほうがよ
り良いターゲットになる。
またアーリーアダプターはイベン
トなどに来ることが多い。大き目
のイベントでは展示をしたり、あ
るいはイベントの前に仕掛けてお
くことが重要。またスタートアッ
プの従業員なども、早期顧客にな
る可能性が高い(ただし飽きっぽ
い)。
Business
業種、業界のほかに組織セールス
(組織単位での購入)か個人セー
ルス(組織内の個人から徐々に広
めていくか)を決めたほうが良
い 。Box の初期は会社内の個人が
使い始め、それが徐々に組織全体
に広がった(Peter Thiel, Zero to
One) 。
なお B2B のプロダクトの場合、初
期はスタートアップをターゲット
にするとうまくいくケースが多
い。彼らは新しい技術の採用に貪
欲だし、リソースも限られている
ので本当に必要なものが安価で手
に入るのなら購入してくれる。
Partner
Paul Graham 曰く、スタートアップ
初期においてパートナーシップは
機能しない。とりわけユーザー獲
得については機能しないし、交渉
で 6 か月前後の時間がかかるうえ
に多くの場合得るものがないま
ま、終わるので、基本的にパート
ナー獲得は初期は無視したほうが
良い。
85. 嬉しいことに見込み顧客が多数いる場合、うまく次のステージにコンバージョンできるか
どうかの判断を早めにすることで効率的なセールスが可能
Startup Selling: How to sell if you really, really have to and don't know how
http://www.amazon.com/dp/1468159240/
86
2. Conversion: Prospect の判断は早めに
質問項目を決めておく
半構造化インタビューのように、セールスの際の質問
項目は決めておくとステージを管理しやすい。たとえ
ば Startup Selling の質問は以下の通り。
1. それはどういう意味ですか? (会話の中で多くの分
からないことが発生するので、その時は聞き返す)
2. あなたのビジネスにとって最も重要なことは?
3. どうやってあなたのビジネスに貢献できますか?
4. 何故それが(どの程度)重要なのでしょうか?
5. 今年度のビジネスの中で 2 ,3 の最も重要な目的と
いうのは何でしょうか
6. なぜこのプロダクトをまだ買っていないのですか
7. 最近の大きな変化や、3か月後や半年後に起こりそ
うな変化はありますか?
8. 他にはどの人がこのプロダクトを評価しますか?
早い No (お断り) には価値がある
断られるなら早目に断られたほうが価値が高い。No と
言われるなら早目に言われるようにしよう。
また通常、契約前にクライアントが求める仕事量と実
際にセールスにつながるかの確率の間には逆相関があ
る。それは時間を吸い取るバンパイアや、ゲートキー
パーに話を持って行っているため。そうした人を避け
て話を進める必要がある。
そのため質問の中で PNAME (Process, Need, Authority,
Money, Estimated Timing) や BANT (Budget, Authority,
Need, Timeframe) といった条件を確認しながら進め
る。
86. 1. 紹介
2. 直接会う
3. メール(返信なし)
4. フォローメール(返信な
し)
5. フォローメール(返信あり)
6. 電話の日程の調整
7. 電話
8. メール(返信なし)
9. フォローメール(返信な
し)
10. フォローメール(返信あり)
11. 次の電話の日程の調整
12. 価格交渉の電話(一回
目)
13. 価格交渉の電話(二回
目)
14. 確定
15. 契約書の送付
16. 見積書の送付
17. メール(返信なし)
18. フォローメール(返信あり)
19. 契約書の修正(一回目)
20. 契約書の修正(二回目)
21. 契約書の修正(三回目)
22. 契約書の修正(四回目)
23. 相手方 CEO との電話
24. 契約書の修正
25. 契約の締結
26. 契約の実行
87
2. Conversion: Clever のセールスでよくあること
通常成約までには長い時間が必要で、購入を検討しているお客様ですら、メールに返答を
しないときも多々ある。コンバージョンを確実にしていくために何度もフォローする。
87. 1. 紹介
2. 直接会う
3. メール(返信なし)
4. フォローメール(返信な
し)
5. フォローメール
6. 電話の日程の調整
7. 電話
8. メール(返信なし)
9. フォローメール(返信な
し)
10. フォローメール
11. 次の電話の日程の調整
12. 価格交渉の電話(一回
目)
13. 価格交渉の電話(二回
目)
14. 確定
15. 契約書の送付
16. 見積書の送付
17. メール(返信なし)
18. フォローメール
19. 契約書の修正(一回目)
20. 契約書の修正(二回目)
21. 契約書の修正(三回目)
22. 契約書の修正(四回目)
23. 相手方 CEO との電話
24. 契約書の修正
25. 契約の締結
26. 契約の実行
88
フォローアップをきちんと行うこと
適切なタイミングでフォローアップを行わないとセールスは上手く進まない。節度を保っ
たリマインダーメールなどを送るようにすること。
89. Y Combinator では SaaS ビジネスを行って
いるスタートアップ向けに、標準的な契約
書テンプレートを提供している。米国ベー
スではあるが基本的な条項は網羅されてい
る。
オープンソース化されているので、契約書
がまだ未作成の場合は参考にすると良い。
ただし詳細は弁護士等に相談すること。
https://www.ycombinator.com/documents/#
sales
90
参考) SaaS ビジネスの契約書テンプレート
100. Airbnb 創業者の Joe が、創業初期、頭に常にヘッ
ドセットを付けているのを何度も見た。だって彼
はノンストップでカスタマーサポートの電話を取
り続けていたんだ。(Kevin Hale – Partner, Y Combinator)
http://startupclass.samaltman.com/courses/lec07/
http://www.forbes.com/sites/alexkonrad/2014/03/20/airbnb-cofounders-are-billionaires/
101
106. 107
Photo by Dave Thomas,
released under the Attribution Creative Commons license,
from http://www.paulgraham.com/bio.html
初期の顧客を幸せに
しようと尽力したス
タートアップが行き
詰ってしまったこと
を見たことがない
http://paulgraham.com/ds.html
110. Photo taken by Wufoo Team
https://www.flickr.com/photos/wufoo/5169213466/
111
Support Driven Development
By Wufoo
111. Image from Wufoo Lecture
startupclass.samaltman.com/courses/lec07/
112
Wufoo の実績:SDD により右肩上がりの購読者数
112. Image from Wufoo Lecture
startupclass.samaltman.com/courses/lec07/
113
Wufoo の実績:投資家にとっての ROI が異常
114. Wufoo では 50 万人のユーザーと 500 万人のフォーム利用者に対して、たった 10 人で以
下のような SDD を行っていた。
115
Wufoo の Support Driven Development
10人中
1人はシフト制でサポート担当
専属となる
毎週必ず
4~8 時間
ユーザーと直接対話するよ
うに義務付け
開発時間の
30%をサポート用の内部ツール
の開発に充てている
毎週 400 の問題と 800 のメー
ルに対応できていた。そして 9
時から 21 時までの通常のレス
ポンスタイムは 7 ~ 12 分、21
時以降は1時間程度、週末も 24
時間以内にレスポンスしてい
た。
ユーザーとの直接のコミュニ
ケーションがプロダクトを良く
する。報告書やグラフではダメ
というルールを課して、サポー
トを含むユーザーとの直接対話
を行っていた。
ツールの開発で迅速なサポート
ができ、より良いサポートが可
能になるほか、自分たちのサ
ポートの時間を減らすことがで
きる
115. Image from Wufoo Lecture
startupclass.samaltman.com/courses/lec07/
116
同様に Kayaku ではエンジニアルームの真ん中にカスタマーサポート専用の
赤い電話を置き、エンジニアがカスタマーサポートの電話を取るようにし
ていた。
そうすることで、同じ質問を 2 回、3 回とされると、エンジニアたちがす
ぐにその問題解決に取り掛かるようになり、サポートの電話がかかって来
なくなった。
117. サポートは主に 3 つのユーザーを対象に行うことで、より良い洞察を得ることができる。
118
サポートするターゲットは 3 つ
1. 利用していないユーザー
これはカスタマーサポートの対象
外であるが、プロダクト開発前と
同様に、引き続き「なぜ利用して
いないか」「なぜ競合を使い続け
るのか」は探り続ける必要があ
る。
2. 使い続けているユーザー
使い続けてくれている (retention し
ている) ユーザーのサポートをすべ
き。特に何故使ってくれたのか、
使い続けてくれたのか、そして
困っている部分はないかを聞いて
いくことで、彼らの満足度をさら
に上げることができるし、最終的
に Earlyvangelist になってもらえ
るかもしれない。
3. 離れてしまったユーザー
いわゆる churn してしまったユー
ザーへのサポートも重要。
サポートをして戻ってきてくれれ
ば最高だが、戻ってきてくれなく
ても「何故使わなくなったのか」
「どのような使い方をしていた
か」などのヒアリングをすること
ができ、プロダクト開発への
フィードバックを得ることができ
る。
119. 顧客がプロダクトを買う、あるいは使っているのは、プロダクトを使って何かしらの Job
を終わらせたい、というためである。たとえばそれは CRM であったり、
プロダクトによって顧客がそれに成功していなければ、プロダクトに価値はなく、徐々に
プロダクトの利用頻度は下がってくる。
つまり受動的なサポートではなく、顧客の成功のために何ができるか、というカスタマー
サクセスの観点から動くと良い。そのため、多くのスタートアップが Customer Success 部
門を用意している。
https://www.linkedin.com/job/customer-success-manager-jobs/
120
サポートではなくサクセス(成功)を
Customer Success 部門がある代表的な企業
124. function universal_startup_algorithm () {
while (startup.cash > 0) {
feedback = action();
startup.improve(feedback);
}
}
https://www.youtube.com/watch?v=k4_3uluQsq4
Photo by @gxjansen https://www.flickr.com/photos/onlinedialogue/10208820024/
126
Optimzely のスタートアップの function
127. 129
Photo by Dave Thomas,
released under the Attribution Creative Commons license,
from http://www.paulgraham.com/bio.html
失敗した起業家はバカではなかった。
彼らの知性は成功した起業家と同等
で、言われたことの示唆をすべて実行
する能力もあった。
http://paulgraham.com/word.html
でも彼らは言われた
ことをするのに本気
になれなかったん
だ。
129. Paul Graham の Before the Startupから
「スタートアップを始めるということは、ゲームの攻略法が効かなくなる領域に足を踏み
出すということだ。 大企業に勤めるなら、システムを攻略するやり方はうまくいくだろう。
企業が壊れていればいるほど、適切な人々に取り入ったり、何か仕事しているふりをして
いれば、 それなりに成功できるだろう。けれどもそれはスタートアップではうまくいかな
い。 ごまかすべき上司はいない。ただユーザがいるだけで、ユーザは自分の望むことを
あなたの製品がやってくれるかどうかにしか関心がない。…(中略)
だから、攻略のコツを探すのはやめよう。確かに、他の全ての分野と同様、 スタートアッ
プにもコツはあるにはあるけれど、それは現実の問題を解くことの重要性に 比べたらほん
のちっぽけなものだ。資金集めのことを何も知らなくても、 ユーザが熱狂するものを作っ
た創業者は、あらゆるコツを知っていながら ユーザ数のグラフを全く伸ばせない創業者よ
りもずっと楽に資金を集められるだろう。 もっと大事なのは、ユーザが愛するものを作っ
た創業者は、 資金を集めた後に成功へと向かうだろうということだ。
今まで身につけてきた中で一番強力な武器を取り上げられたと考えると、 これは悪い
ニュースだろう。けれども、スタートアップを始めることで これまでの攻略ゲームの外側
に踏み出せるってことは、 わくわくすることだと思う。既存のゲームに合わせるのではな
く、 ただ良い仕事をしていれば勝てる領域がこの世にある、ってことは、すごいことじゃ
ないか。 」
参考:”Before the Startup” http://paulgraham.com/before.html (訳: http://practical-scheme.net/trans/before-j.html)
太字は引用者によるもの 131
最後に: スタートアップに”ゲームの攻略本”はない