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Takahiro Yamaguchi / Sakiko Hashimoto
高解像度スタートアップガイド
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はじめに
今回、元起業家・現コーチと現役起業家が共同で
これまでにない解像度で
スタートアップがゼロから事業を成立させるまでのプロセスを描いています。
答えのようなものを書いているのではなく(答えなど、全く分かりません。日々新しい
発見が続きます)、事業を成立させるために日々もがき奮闘する過程で見えてきたこと
を、できるだけ具体的に、高解像度で描かせて頂きました。
事業を生み出す本人だけでなく、その支援者・コーチの皆様にも
ぜひ一読いただきたいと考えております。
起業家養成・事業支援会社GOB Incubation Partners共同代表
山口 高弘(元起業家・現コーチ)
“親戚のおうちのようなあそび場”PAPAMO代表
橋本 咲子(現役起業家)
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Index
<Part1>:スタートアップが直面するリアル
1. スタートアップが直面する事業創造の真実
2.スタートアップが直面する高解像度事業創造プロセス
3.もやもや期 “生み出したい社会の状態と求める人々の行動変容を描く”
<Part2>:スタートアップに不可欠のWild Ideaの生み出し方と価値検証の道筋
4.アイデア期 “Wild Ideaを生み出す”
5.プレシード期 “顧客の価値を検証し深める”
<Part3>:生み出したWild Ideaを市場に浸透させスケール・グロースに導く道筋を示す
6.シード期(リリース前) “プロダクトをマーケットにフィットさせる”
7.シード期(リリース後) “どのようにスケールの壁を超えるか”
8.グロース模索期 “どのようにグロースの壁を超えるか
付録.起業家コーチとして大切なこと、避けるべきこと
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<Part1>:スタートアップが直面するリアル
1. スタートアップが直面する事業創造の真実
2.スタートアップが直面する高解像度事業創造プロセス
3.もやもや期 “生み出したい社会の状態と求める人々の行動変容を描く”
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1. スタートアップが直面する事業創造の真実
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スタートアップが最も苦労することは
何でしょうか?
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自分が“世の中に必要だ”と信じることを
世の中は、必要だと言ってくれないこと
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世の中が受け入れて
くれない期間
あらゆるスタートアップはJカーブを描く
+
時間
―
キャッシュ
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社会のニーズと自分の志が重なる所に
社会価値は生まれる
社会・市場のニーズ 自分の志社会価値
理想的な形
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はじめから社会・市場のニーズを追いかける
スタートアップは社会価値に到達できない
真 実1
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はじめから社会・市場のニーズを追いかける
スタートアップは社会価値に到達できない理由
①隣のライバルも同じ市場を見ているため競争
になる。自ら競争に飛び込むことになり一部
の運の良い者だけしか生き残らない
②そもそも市場には強い先住民がいる。先住民を
意識するあまりニッチ化する。(結果先住民を
凌駕するビジネスアイデアが生まれない)
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社会価値へは、社会・市場ニーズからではなく、
自分の志起点からのルートしか到達しえない
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社会・市場のニーズ
自分の志
社会に価値
を⽣生み出す
通常の新規ビジネス
志重視の新規ビジネス
自分の志を信じて前進し
社会・市場がその価値を
受け入れるところで社会
価値が生じる。
新たな社会価値実現に向
けたルートは、➝からの↑
しかない。
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社会・市場のニーズ 自分の志
アイデア
アイデア
アイデア
自分の志から生み出されるアイデアは
社会にすぐには受け入れられない
真 実 2
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なぜなら、
世の中は変化をもとめていない
(世の中は極めて保守的である)
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新事業は、保守的な世の中にとって
余計なお世話である
真 実 3
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いかなる創造活動も、
はじめは破壊活動だ。
パブロ・ピカソ
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創造は、破壊であり、
だから保守的な世の中から最初は敬遠される
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しかし、世の中から求められない中であっても
志に基づき破壊的アイデアを世の中に届け、
結果世の中を変えるのがスタートアップの至上命題
社会・市場のニーズ 自分の志
破壊的
アイデア
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破壊的アイデアを「Wild Idea」と呼ぶ
【Wild Ideaとは】
・今までにない価値を、今までにない方法で提供するもの
【Wild Ideaの特徴】
・これまでの常識をくつがえす点が含まれている
・不合理なもの(人には理解されないもの)
【Wild Ideaへの世の中の反応】
・すぐに「いいね!」がつかない
・意味が分かってもらえない
・嘲笑される
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“Wild Idea”とは
今までにない価値を、今までにない方法で
提供するもの
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“今までにない価値を
今までにない方法で提供する”
Airbnbは、世界中のユニークな宿泊施設を
ネットや携帯、タブレットで掲載・発見・
予約できる信頼性の高いコミュニティー・
マーケットプレイス。
アパートを1泊でも、お城を1週間でも、
ヴィラを1ヶ月でも、Airbnbはあらゆる価
格帯で、世界191ヶ国65,000以上の都市の人
と人とをつなぎ、ユニークな旅行体験を叶
えている。
世界中の民家に宿泊ができるという今まで
にない価値を、携帯やタブレットで簡単に
予約できるという今までにない方法で提供
している
Airbnb
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Wild Ideaの特徴
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Wild Ideaの特徴①
“これまでの常識を
くつがえす点が含まれる”
カーブスは、「ご近所感覚の手軽な体操教室」を
謳い文句に業界に新しい常識を呼び込んだフィッ
トネスクラブです。運動が得意でない人々にとっ
ては敷居が高かったフィットネスクラブに対して、
格好悪いと思われることなく気軽に行けるという
価値を実現しています。
通常フィットネスクラブは「高性能のトレーニン
グ機器」「大規模な施設」が不可欠と考えられて
いましたが、カーブスは「家庭用に近いトレーニ
ング機器」「お部屋に近い施設の広さ」という従
来のフィットネスクラブ業界の常識を覆し業界上
位5位のポジションを実現している。
ケース:Curves
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Wild Ideaの特徴②
“不合理なもの”
ケース: Instacart
スーパーでの買い物代行サービス。
注文者は、アプリを使って、スーパーマーケッ
ト商品を選択し、配達者はスーパーマーケット
で注文された商品を購入・配達します。
注文者は、商品を受け取った後、今回の取引の
評価します。
配達者は、空き時間を使って稼ぎたい一般市民
が担います。
Instacartによって、注文者は買い物時間の節約
と効率的な買い物という価値を得ることができ
ます。
安全性は?配達トレーニングはできている?な
ど合理的に考えると疑問は尽きないが(不合理
で理解ができない点が立たある)、流通総額数
千億円を実現。
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“Wild Idea”への世の中の反応
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Wild Ideaへの世の中の反応①
“すぐに「いいね!」がつかない”
ケース:大きな胸を
小さく見せるブラ
大きなバストをコンパクトに整えるブラ。ボ
リュームが抑えられるので、洋服を着たとき
すっきりしたシルエットになり、シャツのボ
タンに隙間ができる、フィットする素材の服
が着づらい、というグラマーバストならでは
の悩みを解消するという価値を持ちます。
当初発売前に実施したアンケート結果では欲
しいというユーザーが10%以下という、すぐ
に「いいね!」が付かなかったが、販売して
みると好調な販売を実現。
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ソニーがウォークマンを発売した当初、テー
プレコーダーやラジカセの全盛期であり録音
機能付きやスピーカー内蔵が当たり前の時代
でした。
ところがウォークマンは録音機能なしの再生
オンリーであり、スピーカーなしのヘッドホ
ン付きということで、「録音ができないス
ピーカーもない音楽プレーヤー」という存在
を消費者だけでなく、社内でも聞いた瞬間は
意味が分からないという反応を示しました。
Wild Ideaへの世の中の反応②
“意味が分かってもらえない”
ケース:Walkman
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Wild Ideaへの世の中の反応③
“嘲笑される”
ケース: CouchSurfing
旅先で宿泊先を探している旅人と、場所を無料
で提供しても良いと思っている現地の人を結び
つける、コミュニティサービス。旅人にとって
も現地の人にとっても新たな出会いが生まれる
という価値を受け取ります。
無料で人を泊める?そんな奇特な人はいるの
か?
といった嘲笑を受けてしまいそうなビジネス
(実際にそのような反応は多数あり、今もあ
る)であるが、世界20万以上の都市で1000万人
以上が利用している。
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本来創造は破壊であるが
破壊的アイデア(Wild Idea)は 稀
真 実 4
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ビジネスアイデアの90%は
つまらないものとなる
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ビジネスアイデアの90%がつまらない理由は
市場を見るから
真 実 5
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市場は誰でも見ることができる
・市場を観て見えてくるのはありきたりのニーズ。
言い換えると、保守的な人々が発するニーズ。
・保守的な人々が発するニーズは、従来の枠を超え
ることはない。
・ありきたりのニーズをとらえてもつまらない
アイデアにしかならない。
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私は市場調査はしない。
私達の仕事は、歴史のページに
まだ書かれていないことを読み
取ることなんだ。
S.ジョブズ
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市場を見ないで
どうやって課題を発見するのか?
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優れたアイデアは市場というマスのためではなく
「実在の1人を見て生み出される」
そもそもすぐれたビジネスはスケールを狙って「マス」を見て創られ
るのではなく、「たったひとりの個人」を見て創られる
真 実 6
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QBハウス創業者小西國義さんは
当時の1時間も拘束される理髪
店に不満を抱き、圧倒的時短を
実現する散髪店(QBハウス)を
創業。
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過去のWild Ideaは、少なからず自分自身を
助けることを契機として生み出されている
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当時ソニー名誉会長であり音楽
好きだった井深大氏が飛行機の
機内に大きな音楽再生機を持ち
込む姿を見て、移動中に気軽に
音楽を楽しめないという不満を
捉えた盛田昭夫氏は、手軽にス
トレスなく持ち運びができる音
楽プレーヤーを届けたいという
思いでウォークマン開発につな
げた。
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過去のWild Ideaは、実在の誰かを
助けることを契機として生み出されている
Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved.
改めて。“実在の誰か”は、
手触り感があった方がいい
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「僕はこんなふうに考えたんだ。
みんな僕と同じ大学生だ。
だから、自分に面白いものは
みんなにも面白くて便利なもの
になるんじゃないかなって。」
マーク・ザッカーバーグ
再追加スライド
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せっかく「この人を救いたい」と
思ってアイデアを練っても、
価値がこめられていないアイデアは、意外にも多い
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一見理にかなっていると思われるアイデアの
少なからずが、実は価値が空洞化している
真 実 7
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Flytographer
旅行者とフォトグラファーを
マッチングするサービス
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世界中でフォトグラファーマッチングサービ
スがローンチされているが、いずれもブレー
クしていない
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「フォトグラファーが検索できる」
「撮影予約、決済がしやすい」
これらは全て検索や予約のしやすさといった
「側(がわ)」の便益(真ん中ではない、がわという意味で、
単刀直入に“中身がない”、という意味です)
このサービスがなければ手に入らない価値ではない。
(webを検索すれば自力で手に入る価値でしかない)
フォトグラファーマッチングサービスがうまくいかない理由
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真ん中がなくて側だけの価値である場合
(=価値が空洞化している場合)
人々にとってその手段がなければ、
「手が届かない価値」ではないために
強く欲しがられる状態は生み出せない。
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価値の空洞化を防ぐためには、
ユーザーが真に求めるものを掴む必要がある
(本当に成し遂げたい願望を掴む必要がある)
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しかし、ユーザーが真に求めるものを
掴むことは簡単ではない
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人々が言語化している願望と
本当に叶えたい願望は異なる
真 実 8
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人は、風を浴びたいのでは
なく、“涼しくなりたい”
から扇風機を使うのです。
寺尾 玄
(バルミューダ株式会社 代表取締役)
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人々は、「風を浴びたい」と言う
(言語としてはこう言っている)が、
本当は、涼しくなりたい(本音願望)のである
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人々が扇風機を買うのは風を浴びたいからではな
く、「涼しくなりたいからだ」ということに気づ
き、“涼しい風=外で感じる自然の風”という点に
着目。既存の扇風機は風は浴びることが出来るが
涼しくないという問題点を解消し、扇風機が送り
出す風が線の風であったのに対して、自然の風に
近い“面の風”を生み出す扇風機を開発。
開発の背景は人々が持つ「涼しくなりたい」とい
う願望に着目したことにあった。
価格3万円台にも関わらず多くの消費者に購買さ
れている。
“涼しくなりたい”という本音願望を捉えて生み出された
全く新たな扇風機
GreenFan
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なるほど、本音としての願望を引き出すことが
大切なのですね?
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本音が分かったとしても、ほとんどの人は
本音を満たすための行動をとれない
(「買いたい」と思っても「買えない」のです)
なぜならユーザーはトレードオフ(矛盾)を抱えているからである。
真 実 9
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「住居を変えたい(引っ越したい)」としても、
「思い出の部屋を離れたくない/思い出のモノを手放し
たくない」のです。
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・やりたくてもできない理由は、ほとんどの人々は相反する
願望を同時に持っているためである。
・本音を満たしたいのは山々であるが、一方で実現したい本
音とは両立しない願望を同時に持ってしまっており、行動
ができなくなっている。(この状態をトレードオフ(矛
盾)を抱えた状態と言う)
・この両立し難い相反する願望を同時に持っている状態を乗
り越えなければ(トレードオフを解消しなければ)、人々
は本音願望を満たすことが困難となる。
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「住居を変えたい(引っ越したい)」(本音)
↕
「思い出の部屋を離れたくない/
思い出のモノを手放したくない」(トレードオフ)
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解くべき課題は、
「思い出のモノを手放すことなく、引っ越しが出来る」
ということになります。
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改めてトレードオフとは、両立し難い相反
する願望を同時に持っている状態のこと。
言い換えると、どちらかを満たそうとする
と、どちらかが満たせなくなる状態のこと。
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QBハウス
散髪店QBハウスは「納得できる髪型にする
(本音願望)を、超短時間で(相反する願
望)」というトレードオフを解消する課題を
設定し、新たな価値を創出。
納得できる髪型
(本音願望)
超短時間
(相反する願望)
超短時間で納得できる
髪型にする
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本音としての願望実現と、それと相反するトレードオフとなる願望
の同時実現を目指すことというのは分かりました。
矛盾を乗り越えるアイデアを生み出すことは難しそうですが、
どうやって生み出すのでしょうか?
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Wild Ideaはブレーンストーミング
からでは生まれない
真 実 10
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アイデアとは、要素と要素の
新しい組み合わせである。
ジェームス・W・ヤング
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Question:
30分の制限時間で1つアイデアを出すというお題があったとします。
ブレーンストーミングを行い、
20分経過した現時点で10個アイデアが手元にあります。
残りの10分をどう使いますか?
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①生み出したアイデアを投票によって
選出する
②生み出したアイデアを基準を用いて
優先順位付けする
これらのやり方は一見合理的に見えます
が、Wild Ideaを生み出すことは困難です
10分の使い方、2大NGアクション
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LEGOがパーツとパーツを組み合わせて作るのと同じように、
アイデアも、細かい具体的な要素が組み合わさって創られています。
アイデアは、すでにあるアイデアを要素に分解し、要素と要素を新しく組み合わ
せることで生み出します。
(アイデアを構成する要素は、LEGOでいうパーツに該当します)
アイデアは、要素と要素の新しい組み合わせで生み出すものであり、
原理はLEGOブロックと同じです
つまり、30分の制限時間でのアイデア出しの話でいうと、残り10分を投票や優先
順位付けに使うということ(=元々あるアイデアを選んで採用すること)は、
LEGOでいうと元々組み立てられたLEGOを目の前にして、パーツに分解して新た
な組み合わせを創ることなく、元々のLEGOをそのまま選んでいるという状態に他
なりません
(=要素分解して新しい組み合わせを創るところからが本番であるのに対して、
組み合わせる手前で終わってしまっている状態)
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冒頭のQuestionに戻りましょう。
10分を何に使うか。
アイデアの生み出し方を踏まえると、
30分の制限時間でのアイデア出しは、
残り10分は投票でも優先順位づけでもなく、
手元にある10個のアイデアを要素に分解し
それぞれの要素を新しく組み合わせて
アイデアを生み出すことにつかうべきです。
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既存アイデアの要素(のうち特に長所=エッセンス)を
分解し、組み合わせてアイデアを進化させることで、
Wild Ideaを生み出す
※詳しくはPart2 “4.アイデア期 “大胆なアイデアを生み出す” ” にWild Idea創出の
考え方について記載しています。
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コマツの世界的イノベーション
KOMTRAXはコマツが開発した建設機械の情報を
遠隔で確認するためのシステムです。
開発の背景は新興国で発生していた鍵を壊されて
盗難されるのを防止することと、稼働の最適化
(高稼働と低稼働が分散し非効率であった)とい
う課題を解決することにありました。
車両システムには、GPS、通信システムが装備さ
れ、車両内ネットワークから集められた情報によ
り新興国で発生していた盗難を、センサーで遠隔
検知し鍵を施錠することで防止できるという成果
につながっています。また、GPSにより取得され
た位置情報により遠隔での稼働最適化が図られて
います。
KOMTRAX
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山間部・僻地での
重作業
リモートで在庫管理
所在位置と他の
センサー情報が
取得できる
元のアイデア
元のアイデアの要素分解
(良い要素=エッセンス)
エッセンス統合アイデア
センサー情報の取得という
エッセンスから盗難を遠隔
で検知し鍵を施錠すること
で防止という機能が開発さ
れ、リモートで在庫管理す
るというエッセンスから遠
隔での稼働最適化システム
が考案された。
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Wild Ideaの生み出し方は分かったとして、
どうやって儲けるのか見当もつかないが?
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まずは「売れる」(世に届ける)が先決であり、
儲けは後から考えればいい
真 実 11
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どうやって稼ぐかなんて
後から考えればいい。
まずはどういう音楽を
生み出し世に届けるかだ。
プリンス
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アイデアのうちWild Ideaは10%以下と言ったが、
Wild Ideaであったとしても、その後「売れる」と
「スケールする」「持続的に成長する」の壁が待って
いる
Wild Idea 売れる スケールするアイデア 持続的に成長する
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Wild Idea(今までにない価値を、今までにない方法で実現するアイデア)
であることと売れることは異なる
真 実 12
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価値あるWild Ideaであっても
売れるものになっていない場合が多い
Wild Idea 売れる スケールするアイデア 持続的に成長する
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なぜなら「キャズム」と呼ばれる状況に陥る
からである。
ユーザーは完全に未知のサービス・商品に遭
遇すると混乱し購買の手前の「比較」にすら
至らない。
Wild IdeaはWildなままの状態では売れない。
このことを「キャズム」と言います
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比較しないと買わない大勢の人たちに売れないという状況をキャズムと言う
比較しなくても買う人達 過去自分が使ってきた手段と比較して「それよりよい」と
感じたら買う=比較しないと買わない人
比較対象がないWild Ideaは
キャズムを超えられない
2.5%
イノベーター
34%
アーリー
マジョリティー
13.5%
アーリー
アダプター
34%
レイト
マジョリティー
16%
アーリー
ラガード
TIME
The Chasm
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車にしては遅いし、小さい
自転車にしては高い
徒歩ほど身軽さもない
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セグウェイは歩行並みのバランス感覚など際立っ
た価値を持つが過去の移動手段のいずれとも比較
ができなかったため
マーケットでは「失敗」と結論付けられた
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際立った価値であっても
市場が受け取りやすい手段で提供しなけ
ればキャズムになる
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市場適応の鍵は差別化ではなく
既視化にある
真 実 13
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Wild Ideaは人々にとって全くの未知
「あ、知ってるそれ」に変換して届ける
必要がある(既視化が必要)
Wild Ideaは、「差別化」ではなく「既視化」を必要とする
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iPhoneは、iPadより先に発売された。
し か し 、 実 は 開 発 さ れ た の は 、
iPadが先だと言われている。
なぜか?
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iPhoneより先に開発されたiPadの、元々のターゲットユーザーは学校の教員
(教育の生産性を上げるツールとして開発されていた)である。しかし、彼
らにとってタブレット型のインターネット通信端末は慣れ親しんだものでは
なかった。(過去慣れ親しんだツールとかけ離れているため比較が出来ず、比
較が出来ないということは購買の手前で脱落してしまう)
このため、iPadの「移動しながらインターネットが自由自在にできる」
「タッチパネルなどの使いやすいUI」という価値はそのままに、過去自分が
使ってきた手段と比較してより価値を理解しうるターゲットであるi-modeや
blackberryユーザーにターゲットをシフト。つまりここで適応市場・業界がパ
ソコン市場から携帯電話市場にシフトしている。
i-modeやblackberryユーザーは、「使いづらい」というイシューを抱えていた。
これらのターゲットに、 「移動しながらインターネットが自由自在にでき
る」「タッチパネルなどの使いやすいUI」という価値を、大きさを縮小して、
慣れ親しんだ携帯電話という手段に近づけ、より「使いやすくスマートな」
電話としてiPhoneを開発し、リリース。
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学校の教員
(元々のターゲット)
iPadが持つ価値
(移動しながら、インター
ネット通信が可能/
使いやすいUI)
i-mode/
Blackberry
ユーザー
(既視感を感じて
くれるユーザーに
シフト)
(シフトした先の
ユーザーが既視感を
感じてくれるプロダ
クト(タブレットか
ら携帯という形状
へ)に変更)
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このように既視感を感じてくれる
ユーザーに対象をシフトし、
さらにそのユーザーにとって「あ、知ってる」を加える
=既視化すること
既視化することにより、過去と比較して
「よりよい」と感じてもらう
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なるほど、Wild Ideaを
既視化すればよいのですね!?
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それは、
「顧客が購買する理由を理解する」
ということです。
NO!
「売れるもの」にするためには、既視化に加えて
もう一つ必要なことがあります。
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え!?
顧客が購買してくれる理由は、
普通分かっているものではないのですか?
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意外にも多くの場合、提供する側は
「顧客がなぜその製品サービスを購入するのか」
が分かっていない
真 実 14
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その理由は、顧客に購買理由を聞いても
明確な答えが返ってこないからです。
なぜ明確な答えが返ってこないのでしょうか?
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同じ人であっても、時により、場面により、
購買理由は異なるのです。
(だから、顧客に購買理由を聞いても、
明確な答えが返ってこないのです)
真 実 15
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こんなシーンを思い浮かべてみて下さい。
カフェでコーヒーを買ってオフィスに持ち帰るとします。
そこでの購買理由は以下のどれでしょうか?
「仕事へのスイッチを入れる」
「乾いた喉を潤す」
「仕事中の口寂しさを紛らわせる」
「目を覚ます」
「コーヒーを片手に同僚と会話を弾ませる」
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実は、同じ人物である私が、同じ日にカフェでコーヒーを購入
した別々の時間帯での購買理由です。
「仕事へのスイッチを入れる」 朝の自分
「乾いた喉を潤す」 午前中の自分
「仕事中の口寂しさを紛らわせる」 午後一の自分
「目を覚ます」 15時の自分
「コーヒーを片手に同僚と会話弾ませる」 夕方の自分
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一つ例にとると、ビジネスマン(属人)が出勤直後(属時)にオフィスで(属場)「 仕
事へのスイッチを入れるため」(購買理由)だったとします。
属人・属時・属場での購買理由に合わせて製品・サービスを最適化するとすれば、
「コーヒーの提供容量を通常のサイズよりも小さく設定し(スイッチ入れ
るだけなので大量に飲む必要はない。 MやLよりも小さいサイズで)、味
を濃くする」というプロダクトの最適化につながります。
一方で、「口寂しさを紛らわす」のであれば長くコーヒーを飲み続けられた方がよ
いので 容量は多く濃すぎない方がよいが
「仕事へのスイッチを入れたい」のであれば、容量は少なく濃い方がよい。
このように、その人、その時、その場に併せて最適化することで「売れる」に近づ
きます。
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人により、時により、場により、購買理由は異なる
(購買理由は多様な場合分けがある)
このため価値を届けるためには、
「購買理由の解像度を上げること」
=それぞれのユーザーが「その製品サービスを購買する理由」
を細かく把握し、製品サービスに反映すること
が求められます。
※細かく把握するとは、=誰が(属人)、いつ(属時)、どのような場面で(属場)まで具体化して
把握すること
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一方で
シンプルに整理すると、
「売れる」 = 購買理由 > 非購買理由
の構図が創られているかどうかによって決まりますが、
多くの場合、購買理由<非購買理由となっているという事実があり
ます。
ユーザーは、購買理由があっても、それを上回る「非購買理由」を
持っている場合、「買えない」という意思決定を下します。
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ユーザーは、どの人が(属人)、どの時に(属時)
どのような場で(属場)、によって価値の受取やすさは変わる。
属人、属時、属場で
ユーザーが受け取ることを妨げる要因を除去する必要がある
改めて、非購買理由とは:
ユーザーが持つ購買理由を妨げる理由・要素
=ユーザーが使いたいが使えない理由・要素
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例えば「ドーナツであることが目立たない、小さなサイズで小分けされてい
るもの」というプロダクトの具体化につながります。
ドーナツが持つ価値をユーザーは受け取りたいと考えていますがビジネスマンが(属
人)、オフィスで(属場)、仕事中に(属時)とすれば、
「食べたいが、遊んでいると思われるかもしれないので食べにくい」という購買理
由があったとしても購買を妨げる理由・要素(非購買理由)が発生しています。
オフィス街にあるコンビニドーナツ例で説明します
「ドーナツで仕事中の小腹を満たしたい」という購買理由を
もつユーザーがいたとします。
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購買理由と非購買理由それぞれに対応してプロダクトを修正
することで「売れる」を実現する。
・購買理由を反映してプロダクトを修正する。
・非購買理由に該当する要素が発見されたら
非購買理由を回避する要素を踏まえて
プロダクトを修正する。
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ようやく「売れるもの」
にできるような気がしてきました・・・
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売れるものがあるということと、
「スケールする」ということは異なる。
真 実 16
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売れるものであっても
スケールまで至らない場合が多い
Wild Idea 売れる スケールするアイデア 持続的に成長する
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多くのスタートアップは、売れるものはあるが
スケール前に市場から退出してしまうことにな
る。なぜなら、スケーラブルな供給体制が構築
できないため。
真 実 17
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限界費用がゼロのサプライチェーンのことで
ある。
※限界費用とは、生産を拡大する際に追加的にかかる費用のこと
※限界費用がゼロのサプライチェーンとは規模拡大したとしても追加的
にコストがかからない供給体制のこと
スケーラブルなサプライチェーンとは
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Airbnbは業態としては「ホテル」業態で
あり、ホテル業界は通常一室増やすごと
に当然コストがかかる。しかしAirbnbは、
一部屋を増やすために追加的にかかる費
用(限界費用)がゼロである点に特徴が
ある。
(ホストと呼ばれる自宅保有者が自ら物
件を供給してくれるため)
このため、成長に向けた供給体制の構築
を、費用をかけず実現できる。
Airbnbが構築する限界費用
ゼロサプライチェーン
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「供給量は、コストをかけて増やしていく
ものだ」という考えは、供給体制へのバイアス
である。そのバイアスに縛られている限り、
限界費用ゼロサプライチェーンを構築できず、
直線的成長しか果たせない
真 実 18
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直線的成長 限界費用ゼロ成長
自前でコストをかけて
供給量を拡大するため
直線的成長となる
コストをかけずに
供給量を拡大するため
指数関数的成長が可能
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自動的に供給に必要な要素が整う構造を
生み出せるかどうか。
供給者が「強い供給インセンティブを感
じるかどうか」で決定付けられる。
限界費用ゼロサプライチェーン構築の鍵は何か?
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Airbnbはホテルより単価が安いものの、供給者
にとっては、1ヶ月の賃料を日割りするより高い
貸出料を得ることができる。
この要件が供給者にとってのインセンティブと
なり、供給者は自動的に供給を続けてくれる。
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なるほど、
価値あるWild Ideaを生み出し、売れるものに
変換し、スケールするということですね?
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スケールしたとしても、
持続的成長が出来ない場合がある
Wild Idea 売れる スケールするアイデア 持続的に成長する
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スタートアップがスケールすることと、
持続的な成長をすることは異なる。
持続的成長の鍵は、フローではなくストックにある
真 実 19
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スタートアップは、少なからず対個人事業をスタート地点では立ち
上げます。順調にスケールしていた場合であっても、市場の不確実
性は高く、事業の安定化に向けた方策が求められます。
その方策がストック活用事業です。
事業を生み出しスケールさせる過程で、独自の資産を蓄積すること
になりますが、その蓄積された独自の資産を活用し、対個人から対
法人・業界向けの新たな事業を生み出すことでより安定的成長を実
現します。
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米iRobotが開発・販売するロボット掃除機
である「ルンバ」は、家庭向けに販売(フ
ロー)するだけでなく、家庭内でルンバが
動き回る過程で収集した情報(部屋の大き
さや家具の設置場所、家具間の距離など=
ストック)を活かして家具メーカーや住宅
メーカーに対してビッグデータを用いたコ
ンサルティングやデータ提供を検討してい
る。
このことにより、対個人という景気の波や
ブランドスイッチなど相対的に不確実性が
高いマーケットだけでなく、(対個人と比
較すると相対的に不確実性は低い)メー
カーなどの企業や業界を対象としたビジネ
スで安定収益を上げることが見通される。
Roomba
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一般家庭
独自のプロダクトを
生み出し市場投入
(フロー:一つ一つ
の販売により売上を
立てる)
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一般家庭
独自のプロダクトを
生み出し市場投入
(フロー:一つ一つ
の販売により売上を
立てる)
部屋の大きさや家
具の設置場所、家
具間の距離などの
データ
他社が手にしない
独自の資産(ストック)を蓄積
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家具メーカーや
住宅メーカー
居室内の家具配置
等ビッグデータを
用いたコンサル
ティングやデータ
提供
美術品と長時間
向き合う空間
新規顧客層獲得
資産(ストック)を活用し
て法人・業界向けの新たな
ビジネスを創造
一般家庭
部屋の大きさや家
具の設置場所、家
具間の距離などの
データ
独自のプロダクトを
生み出し市場投入
(フロー:一つ一つ
の販売により売上を
立てる)
他社が手にしない
独自の資産(ストック:フローに
よって得られた蓄積物)を蓄積
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事業をしたいという気持ちになってきました。
「前々から考えていた、某新興国の教育機会を拡大する
ために、現地に学校を作りに行こうと思っています」
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ビジネスは、自分が動くのではなく、人々の行動
を変える(人々に新たな行動を起こしてもらう)
ことで、大きく社会を変える手段である。
真 実 20
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我々が世界を変えるのではあり
ません。
顧客の行動が変わることによっ
て世界が変わるのです。
玉樹 真一郎
(元任天堂・Wii開発者)
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「自分が直接学校を創りに行くだけでなく、自分のような学校を作り
たいと思い行動する人をたくさん増やすためにはどうすればよいのか。
自分が行かなくても、もっとスキルある人々が大勢学校を作りに現地
に向かってもらうためにはどうすればよいのか。」
「人を動かすことで実現したい状態を生み出すのが、ビジネスです。
あなたが直接動くのではなく、協力者を増やす仕組みを考え実行する
こと。これがビジネスです。」
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ビジネスとは、世の中を変え
るために、顧客を巻き込む手
段に他ならない。
ジェフ・ベゾス
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社会を変える
(どう変えるかというイメージを持つ)
そのために人々(ユーザー)にどのような
行動をとって欲しいか
(社会は直接変えることはできない。ユーザーに行動
を変えてもらうことで社会を変える。ユーザーにどの
ような行動を起してもらうか)
ユーザーに起して欲しい行動をとってもら
うためには、ユーザーのどのような願望を
叶える必要があるか
(ユーザーの願望を叶えることで結果的に行動変容に
導く。ユーザーはどのような願望が叶えられると、行
動変容を実行するか)
ユーザーの願望を叶えるために有効なソ
リューションは何か
生み出したい社会
そのために求める
ユーザーの行動
行動変容を導く願望
願望を叶えるソリューション
アントレプレナーの思考回路
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「世界をもっと
オープンにする」
マーク・ザッカーバーグ
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世界をもっとオープンにする
人々に自分の考え・行動を可視化し公開す
るという行動を採ってもらう(オープン性
の高いところまで人々を持っていく)
“自分を演出したい”という願望を叶える
(自分が表現したい自分を周囲に公開でき
るという願望を叶える)
実名を基盤としたテキスト・画像・動画を用
いたソーシャルネットワークサービス
生み出したい社会
行動変容を導く願望
願望を叶えるソリューション
そのために求める
ユーザーの行動
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アラビンド眼科病院は、医療インフラが不足
しているインドにおいて、貧困層も含む膨大
な数の患者に低コストの医療サービスを提供
している。
周辺地域も合わせると、インド南部に5つの眼
科病院を持ち、年間250万人以上の患者を診察
し、白内障を中心に年間30万人に手術をして
いる。
行われている手術のうち、約50%は患者負担
がゼロであり、正規料金を払う患者は約30%。
にも関わらず利益率20%以上を実現し成長し
ている。
経営の特徴は、マクドナルドを模範とした手
術オペレーションの効率化、富裕層からは正
規の市場価格で利益率を確保する点にある。
富裕層が正規料金を支払う背景には、社会貢
献意識を見えるかする仕組みがある。
アラビンド眼科病院
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先進国の住人にしか手の届かなかった質の
高い医療を、新興国の貧困層にまで広げる
富裕層に、正規の市場価格で医療サービスを
受けてもらい、余剰利益を貧困層の無料手術
費用に転換するという構造と価格格差を承認
してもらう
“自分の受診が他者の医療サービス受診に
つながる”という社会貢献行動を可視化し
てもらいたい(誇りたい)
約50%は患者負担がゼロ、正規料金を払う患
者は約30%という受診構造と、その土台とな
るローコストかつ回転率の早い手術システム
生み出したい社会
行動変容を導く願望
願望を叶えるソリューション
そのために求める
ユーザーの行動
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ユーザーと共に社会を変える。
そのためにユーザーの行動変容を導く。
行動を能動的に変容することを導くために、
叶えたい願望を引き出し、叶えるためのソリューションを届ける。
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なるほど、顧客の行動を変えることで
社会を変えるのですね?
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アントレプレナーは、実現したい世界を顧客と共に
実現するだけでなく、業界を巻き込んで
より大きく世界を変える
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自社だけでなく、業界構造を変えることで、
より大きく社会を変えることができる
真 実 21
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社会が変わる
顧客の行動が
変わる
業界・市場が
変わる
製品・サービス
を届ける
(企業)
アントレプレナーは、社会を直接変えることはできない。
製品・サービスを投入することで顧客の行動が変わる(①)。
顧客の行動が変わることで社会が変わる(②)
顧客の行動変化を見て追随的に業界・市場構造が変わり(③)、
その結果より広範囲に顧客の行動が変わる(④)ことで大きく社会が変わる。
そして業界・市場構造変化に併せて、行動を変えていなかった企業までもが行動を変える(⑤)
①
③
④ ②⑤
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運動に自信のある
人が身体を磨く
広い施設・高度な機
器のあるスペース
(という構造)
ハードな運動
スペース
(本格的運動
スペース)
従来の
フィットネ
スクラブ
運動が得意な人が
より得意になる
運動に距離を感じ
ていた人が運動に
親しむ
小さな施設・家庭
用に近い機器のある
スペースという運動
ハードルの低い
フィットネスクラブ構造
ライトな運動ス
ペース
運動に苦手意識があ
る人々が運動との距
離を縮める
製品サービス 業界・市場 顧客の行動 社会の変化
業界・市場が進めていたフィットネスクラブをより大規模に、より高度にという流れが、運動に距離を感じる・抵抗
を感じる人々を生み出してしまっていた。
そのような流れに対して、カーブスは業界・市場の構造を変える(機器のレベルを下げ、施設規模を縮小することで
フィットネスクラブの垣根を下げるという新たな顧客価値を生み出す)ことによって顧客の行動を変え、新しい社会
の変化を生み出している。
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ビジネスによって社会が変わっていく道筋はわか
りました。
しかし、翻って自分を見つめてみると、事業を始
めるに当たって必要といわれる原体験は明確には
ないのですが・・・?
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原体験は、最初から明確なものがあるわけではなく、
種の状態から始まり、徐々に深まっていくものである。
真 実 22
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自分の経験又は他者の経験に深く共感することが原体験となり、世の中への
違和感や動機づけが生まれますが、最初は明確に言語化できるわけではなく、
その動機を確信できているわけでななく、文字通り動機の“種”が生み出され
ます。
多くの人が最初から強く明確な原体験が必要と考えているかもしれません。
また、種を持っているにも関わらず気づいていない場合が多いと考えられま
す。原体験は時間をかけて深めていくものであり、最初から強く明確でなく
てもよいのです。
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そもそも・・・
「自分には事業を作る資質があるか分かりません」
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スタートアップに必要なのは、
“将来は合理的であると考えられうるが
現時点では不合理とみられる仮説”を生み出す力である
言い換えると不合理を見抜く目ではなく、自らが不合理な存在になることである。
真 実 23
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起業家本人は至って合理的であると認識しているが、世の中はその
逆で全く不合理であると認識する。世の中が“現時点で”不合理と思
うことを、合理的であると確信し、仮説として打ち出せる力。
本人 世の中
めっちゃ合理的。
なんでこれ世の中に
ないの!?
なんでそんな意味が
わからない事やろう
としているの!?
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CouchSurfing
無料で見知らぬ人を泊める人などありえる
のか?
いたとしてもほんの一部ではないか?
ビジネスとして成り立つのか?
大半の人には不合理に見える「無料で人を
自宅に泊める」という仮説を打ち出せるか
どうか。
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多くの場合、世の中の不合理を修正することが
大事と言われているが、一方で大事なことが
自らが不合理な存在になるということ
より正確に表現すると、自分には合理的である
と見えるが、世の中には不合理であると感じら
れることを目指すこと
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Part1-第1章の振り返り
・スタートアップの至上命題は破壊的アイデアを世の中に届けること
・破壊アイデアを、Wild Ideaと呼ぶ
・Wild Ideaとは、今までにない価値を、今までにない方法で届けるもの
真実1:はじめから社会・市場のニーズを追いかけるスタートアップは社会価値に到達で
きない
真実2:自分の志から生み出されるアイデアは社会にすぐには受け入れられない
真実3:新事業は、保守的な世の中にとって余計なお世話である
真実4:本来創造は破壊であるが、破壊的アイデアは稀
真実5:ビジネスアイデアの90%がつまらない理由は市場を見るから
真実6:優れたアイデアは「実在の1人のために創られている」
真実7:一見理にかなっていると思われるアイデアの少なからずが、実は価値が空洞化し
ている
真実8:人々が言語化している願望と本当に叶えたい願望は異なる
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Part1-第1章の振り返り
真実9:本音が分かったとしても、ほとんどの人は本音を満たすための行動をとれない
(「買いたい」と思っても「買えない」のです)。なぜならユーザーはトレードオ
フ(矛盾)を抱えているからである。
真実10:Wild Ideaはブレーンストーミングから生み出すことはできない
真実11:儲けは後から考えればいい
真実12:価値を持っていることと売れることは異なる
真実13:市場適応の鍵は差別化ではなく既視化にある
真実14:意外にも多くの場合、提供する側は「顧客がなぜその製品サービスを購入するの
か」が分かっていない
真実15:同じ人であっても、時により、場面により、購買理由は異なるのです
真実16:売れるものがあるということと、「スケールする」ということは異なる。
真実17:多くのスタートアップは、売れるものはあるがスケール前に市場から退出してし
まうことになります。なぜなら、スケーラブルな供給体制が構築出来ないため
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Part1-第1章の振り返り
真実18:「供給量は、コストをかけて増やしていくものだ」という考えは、供給体制へのバイ
アスである。そのバイアスに縛られている限り、限界費用ゼロサプライチェーンを構
築できず、直線的成長しか果たせない
真実19:スタートアップがスケールすることと、持続的な成長をすることは異なる。持続的成
長の鍵は、フローではなくストックにある
真実20:ビジネスは、自分が動くのではなく、人々の行動を変える(人々に新たな行動を起こ
してもらう)ことで、大きく社会を変える手段である。
真実21:自社だけでなく、業界構造を変えることで、より大きく社会を変えることができる
真実22:原体験は、最初から明確なものがあるわけではなく、種の状態から始まり、徐々に深
まっていくものである。
真実23:“将来は合理的であると考えられうるが現時点では不合理とみられる仮説”を生み出す
力である
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2. スタートアップが直面する
高解像度事業創造プロセス
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一定のスケールを実現するまで(Exit期以前)には、
もやもや期からはじめて6つのプロセスがあります
志を掘り下げ、
志実現に向けて
解くべき極めて
困難な課題を掘
り下げ、「今ま
でにない価値を
持ち、新しい実
現方法を持つア
イデア」を生み
出す。
この段階での規模
1-3人
アイデア期 プレシード シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索
顧客の課題とア
イデアをフィッ
トさせる期間。
顧客の課題を掘
り下げ、顧客に
とっての価値を
明確にする。
価値に基いてア
イデアを改良し、
プロトタイピン
グと呼ばれる試
行を繰り返す。
試行結果からア
イデアの現実性
を高める。
この段階での規模
1-3人
プロダクトと市
場をフィットさ
せる期間。
対象市場への適
応を見据えてア
イデアを具体的
なプロダクトへ
と移行させる。
プロダクトを投
入しビジネスと
して成立させる
ビジネス・モデ
ルを具体化する。
この段階での規模
3-5人
市場の反応を踏
まえたSTPと4P
の練り直し。
プロダクトの改
良と「売る」た
めの戦略戦術と
その仮説検証の
繰り返し。
限界費用ゼロサ
プライチェーン
構築に向けた幅
出しと実験。
法人営業もス
タート
この段階での規模
5-10人
マーケットでの
スケール探究と、
同時に次の発展
に向けた法人向
け展開を模索。
併せて蓄積され
た事業資産を活
用した法人展開
を模索。
この段階での規模
10-30人
自分の仕事や生
活を通じて抱く
違和感を直視し
言語化する。
そこから「生み
出したい社会の
状態」と「その
ために人々にど
ういう行動を
取って欲しいの
か」を描き出す。
この段階での規模
1人
もやもや期
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ビジネスはストーリーのように発展していく。
ストーリ構成要素(必要な要素)には9つある。
(ストーリーの登場人物が9人いるようなイメージです)
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9つのストーリ構成要素
①原体験
③アイデア(大胆さ)
④顧客(価値)
⑤市場・業界
⑦サプライチェーン
⑧財務的成長
⑨組織的成長
⑥プロダクト(成長)
自分の体験から語られる「立ち上げているビジネスを
なぜやるのか」という動機
これまでの常識を覆す不合理なアイデア。
いかに大胆なアイデアを生み出すか
顧客とその顧客が求める価値
どの市場・業界を対象とし、どのように適応させるの
か
アイデアを具体的な製品・サービスのカタチにした
もの。どのようにプロダクトを成長させていくのか
スケーラブルな供給体制を組み立てる
売上、収益とその成長性
組織体制とその成長性
②大胆な志 どのような社会の状態を生み出したいと考えているのか
そのために人々の行動をどう変えたいのか。
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ストーリー構成要素を最初から
精度高く検討するなど困難でありまたその必要はない。
最初から必要な要素全てを具体化する必要はありません。
(物語で最初から全ての登場人物が現れないのと同じです)
桃太郎がスタート時点では1人であるのと同じです
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ミュージシャンが最初にギターを
習う時、ギターでどう稼ぐかでは
なく「どういう音楽を創りたい」
とったことを先に考える。
ビジネスも「利益や売上、顧客の
価値について考えるのはずっと後
になってから」
糸井 重里
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ビジネス発展プロセスごとに
4段階でストーリー構成要素の
成熟度合いを観ていく
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原体験
市場・業界
顧客(価値)
アイデア
(大胆さ)
サプライ
チェーン
2
1
2
4
1
アイデア期 プレシード シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索
3
2
3
3
2
3
3
4
2
2
4
4
4
2
3
財務的成長 1 1 2 3
組織基盤 1 1 1 2
ストーリー
2
1
1
1
1
もやもや期
1
1
プロダクト
(成長) 1 2 3 31
大胆な志 4 4 4 43
4
4
4
2
4
4
4
4
4
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原体験
市場・業界
顧客(価値)
アイデア
(大胆さ)
サプライ
チェーン
アイデア期 プレシード シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索
財務的成長
組織基盤
ストーリー
2
1
1
1
1
もやもや期
1
1
プロダクト
(成長)
1
大胆な志 3
この段階では、検討すべき要素は原体験と大胆な志の二つ
です。
自分の経験又は他者の経験に深く共感することが原体験と
なり、大胆な志を生み出すための種となる。
ただしこの段階では原体験を具体的に分かりやすく語るこ
とは必ずしもできないことは多くの場合ある。
原体験から見出された種から導かれる漠然とした違和感に
向き合い、世の中がこうあったらいいという「生み出した
い社会の状態」を描く。
「生み出したい社会の状態」を具現化するために「人々
(ユーザー)に求める行動変容(どんな行動を取って欲し
いか)」を描く。
※「生み出したい社会の状態」と「人々に求める行動変
容」を併せて志。
志にアイデアが含まれる場合もあるが、この時点では具体
性はなく、絵に描いた餅の状態。
まだビジネス化することは明確に意識されない場合が多い。
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原体験
市場・業界
顧客(価値)
アイデア
(大胆さ)
サプライ
チェーン
2
1
2
4
1
アイデア期 プレシード シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索
財務的成長 1
組織基盤 1
ストーリー
2
1
1
1
1
もやもや期
1
1
プロダクト
(成長) 11
大胆な志 43
アイデア期は、検討すべき要素が4つに増える。
大胆な志(大志)をさらに具体化する。
大志を実現するにはありきたりのアイデアでは太刀打
ちできない。「全く新たな価値を、全く新たな方法で
実現するアイデア」を生み出す。
この段階では顧客にとっての価値よりも、アイデアの
大胆さが上回る(顧客の価値が熟知されていないから
こそ、アイデアが仮説的に大胆にできる)。
もちろん、世界は自分が変えるのではなく顧客が変え
るのであり、顧客の立場に立って「誰のためのアイデ
アなのか」を意識し(顧客価値を意識する)、その人
物が抱える矛盾した極めて困難な課題を把握する。
※極めて困難な課題を問いてこそスタートアップ
(アントレプレナーは、課題からではなく、志から入
り、志という鳥の目から、顧客の課題という虫の目に
降りてくる)
この段階では市場・業界も見なくていい。
サプライチェーンが成り立つかどうか、財務的成長も
組織成長も全く意識する必要はない。
この段階での「儲けは?」は重要ではない。
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原体験
市場・業界
顧客(価値)
アイデア
(大胆さ)
サプライ
チェーン
2
1
2
4
1
アイデア期 プレシード シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索
3
2
3
3
2
財務的成長 1 1
組織基盤 1 1
ストーリー
2
1
1
1
1
もやもや期
1
1
プロダクト
(成長)
1 21
大胆な志 4 43
検討すべき要素が一気に7つに増える。
顧客価値を検証し(顧客の購買理由を
解像度高く把握する)、購買理由に基
づいて、大胆なアイデアの現実度を上
げる(この段階では、顧客が求める価
値が具体的に把握され、それに伴い不
要な要素を削ぎ落とすことでアイデア
の大胆さは下がる)。
同時に市場・業界の視点も持ち、市
場・業界が抱えるどのような欠陥を修
正するのかが明らかになる。
アイデアをどのようなプロダクトに具
体化するのかが見え始める。
なぜやるのかという自分自身の動機が
徐々に明確化してくる。
持続性を担保するサプライチェーンが
構想としては描かれ始める。
収益のあげ方や、組織の拡張はまだ具
体化しない。
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原体験
市場・業界
顧客(価値)
アイデア
(大胆さ)
サプライ
チェーン
アイデア期 プレシード シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索
3
3
4
2
2
4
4
4
2
3
財務的成長 2 3
組織基盤 1 2
ストーリー もやもや期
プロダクト
(成長)
3 3
大胆な志 4 4
4
4
4
2
4
4
4
4
4
この段階では、なぜやるのかという自分
の動機も深まっていく。
顧客の価値とそれを欲する顧客の購買理
由がよりクリアに把握され、当初の大胆
な仮説であったアイデアが不要な要素が
引き算され、またユーザーにとっての既
視度を上げたアイデアに変わる。
市場・業界を洞察することで市場適応の
方向性が見えてくる。
参入する市場・業界が具体化されること
で、アイデアの具体化=プロダクト化が
進む。アイデアを製品・サービスのカタ
チに具体化するプロダクト開発に邁進し
プロダクトが仕上がってくる。
スケールを担保するサプライチェーンの
仮説が具体化する。
収益のあげ方は仮説的に構築される。
組織の拡張は引き続きまだ検討されない。
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原体験
市場・業界
顧客(価値)
アイデア
(大胆さ)
サプライ
チェーン
アイデア期 プレシード シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索
4
4
4
2
3
財務的成長 3
組織基盤 2
ストーリー もやもや期
プロダクト
(成長)
3
大胆な志 4
4
4
4
2
4
4
4
4
4
まず、リリースしてみなければ市場・業界の本当の動
き・反応は分からないと心得、リリースする。
プロダクトを完璧に仕上げてから市場・業界に投入しよ
うとすると確実に後手に回ってしまうことと、反応は投
入しなければ分からないため、プロダクトの成熟度は3
の状態でリリースする。
リリース直後に、事業を伸ばすために操作すべき事業ド
ライバーを掴む。
市場・業界の反応を踏まえて4Pを市場・業界に適合す
るように改良し、次の段階のグロース模索期においてリ
ソースを投入することで一気に成長させられる土台を整
える。
スケールアップの模索期であるため、スケールを担保す
るサプライチェーンの幅出しと実験を繰り返す。
財務的見通が具体化し、組織拡張が図られる。
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原体験
市場・業界
顧客(価値)
アイデア
(大胆さ)
サプライ
チェーン
アイデア期 プレシード シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索
財務的成長
組織基盤
ストーリー もやもや期
プロダクト
(成長)
大胆な志
4
4
4
2
4
4
4
4
4
大胆な仮説であったアイデアが、洗練された
プロダクトに転換し、業界・市場に浸透していく。
事業の持続性を高めるためのサプライチェーンが確立さ
れてくる。
収益見通しのさらなる具体化と組織拡張の継続が図られ
る。
事業資産を活用した法人向けサービス展開のモデルが模
索される。
(モデル確立はもっと先)
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ストーリー構成要素別に
横に見ていくと
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原体験
市場・業界
顧客(価値)
アイデア
(大胆さ)
サプライ
チェーン
2
アイデア期 プレシード シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索
3 3 4
財務的成長
組織基盤
ストーリー
2
もやもや期
プロダクト
(成長)
大胆な志
4
自分の経験又は他者の経験に深く共感することが原体験となり、大胆な志を
生み出すための種となる。
ただしこの段階では原体験を具体的に分かりやすく語ることは必ずしもでき
ないことは多くの場合ある。(もやもや期からアイデア期では2)
プレシード期において顧客の課題を把握し、何が価値になるのかを探索する
過程で、顧客を通して言語化されていなかった自分がなすべきことが見えて
くる。顧客の課題が自分の内側からの動機と重なってくる。(2から3へ)
※自分の課題なのか顧客の課題なのか判別できなくなる瞬間がくる
シード期(リリース前)において、より価値がフィットする顧客を発見する
ことにより、自分自身がなすべきことの意義を深めていく。
シード期(リリース後)以降では、目の前の顧客が変化することで、自分の
動機が確固たるものへと昇華していく。(3から4へ)
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原体験
市場・業界
顧客(価値)
アイデア
(大胆さ)
サプライ
チェーン
1
1
2
4
1
アイデア期 プレシード シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索
2
2
3
3
2
3
3
4
2
2
4
4
4
1
3
財務的成長 1 1 2 3
組織基盤 1 1 1 2
ストーリー
1
1
1
1
1
もやもや期
1
1
プロダクト
(成長) 1 2 3 31
大胆な志 4 4 4 43
4
4
4
1
4
4
4
4
4
もやもや期において、漠然とした違和感に向き合い、「生み出したい社
会の状態」とそれを具現化するための「人々(ユーザー)に求める行動
変容(どんな行動を取って欲しいか)」を描く(3)
アイデア期において、大胆な志を、人々が高揚する内容・表現に昇華さ
せる(3から4)
プレシード期及びシード(リリース前)では、軸をぶらさないために、
志に立ち返る機会を設ける。
シード(リリース後)では、対外発信において主に、大胆な志を訴求す
る。
グロース模索期では、規模拡大に伴い「本当に何がしたかったのか」とい
う原点回帰を求められるタイミングが到来する際、振り返る軸となる。
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原体験
市場・業界
顧客(価値)
アイデア
(大胆さ)
サプライ
チェーン
1
1
2
4
1
アイデア期 プレシード シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索
2
2
3
3
2
3
3
4
2
2
4
4
4
2
3
財務的成長 1 1 2 3
組織基盤 1 1 1 2
ストーリー
1
1
1
1
1
もやもや期
1
1
プロダクト
(成長) 1 2 3 31
大胆な志 4 4 4 43
4
4
4
2
4
4
4
4
4
もやもや期に曖昧であったアイデアは、アイデア期に過去の常識を覆し不
合理なアイデアへと大胆さを上げる。(1から4へ)
プレシード期で顧客の課題を把握し、何が価値になるのかを探索すること
により、大胆なアイデアが大胆さを削ぎ落とし(もちろん良い意味で)、
価値に基づいて現実的なアイデアに転化する(大胆さが4から3へ)
シード期(リリース前)では、ユーザーが「あ、知っている」という要素
を加えることで既視度を上げていく。(大胆さは残しつつ対象が最適化さ
れる)(3から2へ)
シード期(リリース後)では、市場の反応を踏まえて4Pを練り直すことで、
アイデアとしての市場適応度を高めていく(大胆さは残しつつ現実性を上
げていく)
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原体験
市場・業界
顧客(価値)
アイデア
(大胆さ)
サプライ
チェーン
1
1
2
4
1
アイデア期 プレシード シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索
2
2
3
3
2
3
3
4
2
2
4
4
4
1
3
財務的成長 1 1 2 3
組織基盤 1 1 1 2
ストーリー
1
1
1
1
1
もやもや期
1
1
プロダクト
(成長) 1 2 3 31
大胆な志 4 4 4 43
4
4
4
1
4
4
4
4
4
もやもや期は、漠とした「世の中をこうしたい」という状態であり、誰の
ためのビジネスであるのかは明瞭ではない。(1の段階)
アイデア期には、「誰のためのアイデアか」を意識する(解決できるかど
うかは意識せず、矛盾した極めて困難な課題を設定する)。(1から2へ)
※極めて困難な課題に挑戦してこそスタートアップである
プレシード期には、顧客の課題を具体的かつ詳細に把握し、何が価値にな
るのか(さらに価値を欲する理由=購買理由は何か)を探索することによ
り、顧客への認識を高める。(2から3へ)
シード期(リリース前)では、一人の人として対象にしたい顧客が、ビジ
ネス上の顧客に変わる。(3から4へ)
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原体験
市場・業界
顧客(価値)
アイデア
(大胆さ)
サプライ
チェーン
1
1
2
4
1
アイデア期 プレシード シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索
2
2
3
3
2
3
3
4
2
2
4
4
4
1
3
財務的成長 1 1 2 3
組織基盤 1 1 1 2
ストーリー
1
1
1
1
1
もやもや期
1
1
プロダクト
(成長) 1 2 3 31
大胆な志 4 4 4 43
4
4
4
1
4
4
4
4
4
根本的には、市場・業界が持つ構造・問題が、顧客の不(願望が満たされていない状
態)を生み出している。しかし、最初から市場・業界を相手に洞察を始めると、砂漠の
砂を掴む状態となる。まず顧客が抱える課題から入り、顧客が抱える課題が生じる背景
としての市場・業界の構造を洞察する。(顧客課題への深まりの後に市場・業界洞察を
行う)このため、顧客への認識が深まったプレシード期以降に、市場/業界への洞察を
深める。(プレシード期に1から2へ)
シード期(リリース前)では、競争モードに突入する。市場・業界洞察結果を用いて、
競争に勝利しうる参入すべき市場セグメントを具体化する。(2から3へ)
シード期(リリース後)では、市場のリアルな反応を洞察し4Pを見直す。(3から4へ)
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原体験
市場・業界
顧客(価値)
アイデア
(大胆さ)
サプライ
チェーン
1
1
2
4
1
アイデア期 プレシード シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索
2
2
3
3
2
3
3
4
2
2
4
4
4
1
3
財務的成長 1 1 2 3
組織基盤 1 1 1 2
ストーリー
1
1
1
1
1
もやもや期
1
1
プロダクト
(成長)
1 2 3 31
大胆な志 4 4 4 43
4
4
4
1
4
4
4
4
4
具体的にどのようなプロダクトにしていくかは、アイデア期まで具体的には見えない
(成長度は1)
プレシード期では、アイデアを製品・サービスのカタチへと具体化し、顧客の課題と
プロダクトの適合を図る。(1から2へ)
シード期(リリース前)で、どの市場に参入するのかを検討し、対象市場・業界に焦
点をあてた上でプロダクト開発に邁進。プレシード期までは渾然一体として開発して
いたプロダクトが4Pのカタチに具体化される。結果、製品・サービスとして具体化さ
れ、仕上がってくる(2から3へ)
シード期(リリース後)では、まずリリースする。リリースしなければ本当の市場・
業界の反応は分からない。その反応を踏まえて4Pを最適化する。
グロース模索段階で、蓄積された事業資産を用いて法人向けの展開を模索していく。
(3から4へ)
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原体験
市場・業界
顧客(価値)
アイデア
(大胆さ)
サプライ
チェーン
1
1
2
4
1
アイデア期 プレシード シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索
2
2
3
3
2
3
3
4
2
2
4
4
4
1
3
財務的成長 1 1 2 3
組織基盤 1 1 1 2
ストーリー
1
1
1
1
1
もやもや期
1
1
プロダクト
(成長) 1 2 3 31
大胆な志 4 4 4 43
4
4
4
1
4
4
4
4
4
アイデア期までは、そのアイデアがどうユーザーに価値をもたらすのかを
検討するだけでよい。(供給体制は未検討で進む)
しかし、市場投入を検討する段階から、「市場に受け入れられるか」に加
えて「どのように持続的に市場に投入できるか(供給体制をどう組み立て
るか)」を考え始める必要がある(プレシード期とシード(リリース前)
で1から2へ)
シード期(リリース後)では、製品サービスを持続的に提供する供給者が、
自動的に供給を続けてくれる限界費用ゼロサプライチェーンを構築してい
く。
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原体験
市場・業界
顧客(価値)
アイデア
(大胆さ)
サプライ
チェーン
1
1
2
4
1
アイデア期 プレシード シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索
2
2
3
3
2
3
3
4
2
2
4
4
4
1
3
財務的成長 1 1 2 3
組織基盤 1 1 1 2
ストーリー
1
1
1
1
1
もやもや期
1
1
プロダクト
(成長) 1 2 3 31
大胆な志 4 4 4 43
4
4
4
1
4
4
4
4
4
財務的成長は、マーケットフィット後に現実的な見通しが立つ。(シー
ド期(リリース前)にマーケットフィットを図る)
それ以前に見通しを立てると、財務見通しにしばられた事業創造になる
ため、それは回避したい。
獲得した事業資産を活用した法人向け展開による新たな収益源を模索。
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原体験
市場・業界
顧客(価値)
アイデア
(大胆さ)
サプライ
チェーン
1
1
2
4
1
アイデア期 プレシード シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索
2
2
3
3
2
3
3
4
2
2
4
4
4
1
3
財務的成長 1 1 2 3
組織基盤 1 1 1 2
ストーリー
1
1
1
1
1
もやもや期
1
1
プロダクト
(成長) 1 2 3 31
大胆な志 4 4 4 43
4
4
4
1
4
4
4
4
4
組織的成長は、シード期(リリース後)までは3-5人規模であり、拡
大路線に転じるまでは最小限の人員で過度な役割分担なく進めるべ
きである。
リリース後に5人から10人へ、グロース段階でようやく10人を超えて
くる。
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プロセス別
陥りやすい状態
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特に日本人は、違和感に正直になり、集団の中で違和感を飲み込むことなく表
出するというプロトコル(行動様式、行動を支える強み)は育っていない。こ
のため、日常的に遭遇する膨大な違和感は、ぐっと飲み込む、又は意識せずに
過ごすことになる。
結果、違和感に立ち向かう行動につながらない。
Through  
the  
Discomfort
アイデア期 プレシード
シード
(リリース前)
シード
(リリース後) グロース模索もやもや期
Express the Discomfort AmbitionWild Idea
Extremely-difficult Issue
Exploring GrowthProduct Market Fit
Product Evolution
Value Problem Solution
Fit Product Development
Product Market Fit Supply chain
Exploring Scale up
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市場を見ることで、市場の流れに迎合することになり、ワイルドなアイデアが
生み出せない。顕在課題に着目してしまい、矛盾した極めて困難な課題に挑戦
するという機会を自ら手放す。周囲もワイルドアイデアに対して拒絶反応を示
し、アイデアを生み出す本人も拒絶反応をかいくぐることなく萎縮していく。
Through  
the  
Discomfort
アイデア期 プレシード
シード
(リリース前)
シード
(リリース後) グロース模索もやもや期
Express the Discomfort AmbitionWild Idea
Extremely-difficult Issue
Exploring GrowthProduct Market Fit
Product Evolution
Value Problem Solution
Fit Product Development
Product Market Fit Supply chain
Exploring Scale up
Not Wild
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顕在ニーズばかりに着目し、外側は出来ているけれど、内側が空洞化したビジネス
(側の価値はあるが真ん中の価値がないビジネス)が出来上がる。
顕在ニーズとは、既に見えているユーザーが抱える課題であり、手間をかければ解
けるという性質を持つ。手間をかければ解ける課題が解決したとしても大きな価値
にはならない。顧客が強く解いて欲しい課題とプロダクトが適合しない。
この段階で把握すべき顧客が価値を欲する理由=購買理由が解像度高く把握出来て
いない。
Through  
the  
Discomfort
アイデア期 プレシード
シード
(リリース前)
シード
(リリース後) グロース模索もやもや期
Express the Discomfort AmbitionWild Idea
Extremely-difficult Issue
Exploring GrowthProduct Market Fit
Product Evolution
Value Problem Solution
Fit Product Development
Product Market Fit Supply chain
Exploring Scale up
Not Wild Not  Great  
Value
Not  Fit
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端的に言うとキャズムに陥る可能性を残す。もともと設定していた対象ユーザーへ
のこだわりを持ちすぎる、初期のアイデア(価値実現の手段に過ぎないものという
捉え方を敢えてする)にこだわりすぎ手放せない、という「こだわり」が市場適応
を阻んでいく。業界洞察力の不足が要因となり、適応市場が発見できない。また、
購買理由の解像度が低いため、顧客が欲するシーンを生み出せない。結果、適応市
場に向けたプロダクト開発が滞る。
同時に業界洞察が弱い場合、競争相手が見えず、競争に敗北する。
Through  
the  
Discomfort
アイデア期 プレシード
シード
(リリース前)
シード
(リリース後) グロース模索もやもや期
Express the Discomfort AmbitionWild Idea
Extremely-difficult Issue
Exploring GrowthProduct Market Fit
Product Evolution
Value Problem Solution
Fit Product Development
Product Market Fit Supply chain
Exploring Scale up
Not Wild Not  Great  
Value
Not  Fit
Not  Market-‑
Fit
Not  Evolution
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4Pが市場の求めるもの、受け取りやすい形状からギャップがあり4Pが市場と適合し
ない。プロダクトが合わない、価格が合わない、チャネルが適合していない、プロ
モーションが効かないのいずれかまたは全て。価格が市場の求める価格とミスマッ
チしている場合が多い。また、チャネル(販路)開拓がボトルネックとなることも
多い。
4Pマッチの後、いかにスケールアップさせるか。スケーラブルな供給体制が成立し
ない。たかが人数、されど人数。5−10人は必要であるが、人員が確保できず重要な
ところに手が回らない。
Through  
the  
Discomfort
アイデア期 プレシード
シード
(リリース前)
シード
(リリース後) グロース模索もやもや期
Express the Discomfort AmbitionWild Idea
Extremely-difficult Issue
Exploring GrowthProduct Market Fit
Product Evolution
Value Problem Solution
Fit Product Development
Product Market Fit Supply chain
Exploring Scale up
Not Wild Not  Great  
Value
Not  Fit
Not  Fit
No  Supply  
Chain
Not  Market-‑
Fit
Not  Evolution
Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved.
これまでの事業展開で獲得した資産を活用し、法人向けサービス展開を図るタイミ
ングであるが、法人との協業によるWin-Win事業モデルを描くことができない。法
人向けサービス展開モデルが描けず、またそのため新たな収益モデルも確立できな
い。
組織体制が未拡充となりストレッチがかけられない。組織人員拡充が図られた後に
マネジメントが追いつかず組織崩壊する場合もある。
Through  
the  
Discomfort
アイデア期 プレシード
シード
(リリース前)
シード
(リリース後) グロース模索もやもや期
Express the Discomfort AmbitionWild Idea
Extremely-difficult Issue
Exploring GrowthProduct Market Fit
Product Evolution
Value Problem Solution
Fit Product Development
Product Market Fit Supply chain
Exploring Scale up
Not Wild Not  Great  
Value
Not  Fit
Not  Fit
No  Supply  
Chain
Not  Go  
well
Not  Market-‑
Fit
Not  Evolution
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アイデア期 プレシード
シード
(リリース前)
シード
(リリース後) グロース模索もやもや期
プロセス別:鍵となること
Express the Discomfort AmbitionWild Idea
Extremely-difficult Issue
Exploring GrowthProduct Market Fit
Product Evolution
Value Problem Solution
Fit Product Development
Product Market Fit Supply chain
Exploring Scale up
違和感を直視し
言語化する。
生み出したい社
会と求める人々
の行動変容を描
く
志を掘り下げる。
極めて困難な課題
を見出す。
大胆なアイデアに
昇華する
顧客の課題を掘
り下げ、価値を
見出す。
価値を欲する理
由=購買理由を
解像度高く把握
する。
アイデアと購買
理由をフィット
させる
市場適応と
プロダクト開発へ
の邁進。
4Pと利益モデルの
構築
本格的市場適応。
STP/4P最適化。
販路拡大を模索。
限界費用ゼロサ
プライチェーン
模索。
法人への展開
を模索
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Part1-第2章の振り返り
・一定のスケールを実現するまで(Exit期以前)には、もやもや期、アイデア
期、プレシード期、シード期(リリース前)、シード期(リリース後)、グ
ロース模索期の6つのプロセスがある
・ビジネスはストーリーのように発展していく。ストーリー構成要素には9つ
ある。
①原体験 ②大胆な志 ③アイデア(大胆さ)
④顧客(価値) ⑤市場・業界 ⑥プロダクト(成長)、
⑦サプライチェーン ⑧財務的成長 ⑨組織的成長
・ストーリー構成要素を最初から精度高く検討することなど困難であり、また
その必要はない(最初から全ての登場人物は現れない)
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3.もやもや期
“生み出したい社会の状態と求める人々の行動変容を描く”
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アイデア期 プレシード
シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索もやもや期
Through  the  
Discomfort
アイデア期 プレシード
シード
(リリース前)
シード
(リリース後) グロース模索もやもや期
Express the Discomfort AmbitionWild Idea
Extremely-difficult Issue
Exploring GrowthProduct Market Fit
Product Evolution
Value Problem Solution
Fit Product Development
Product Market Fit Supply chain
Exploring Scale up
Not Wild Not  Great  
Value
Not  Fit
Not  Fit
No  Supply  
Chain
Not  Go  
well
Face
Discomfort
Not  Market-‑
Fit
Not  Evolution
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原体験
市場・業界
顧客(価値)
アイデア
(大胆さ)
サプライ
チェーン
アイデア期 プレシード シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索
財務的成長
組織基盤
ストーリー
2
1
1
1
1
もやもや期
1
1
プロダクト
(成長)
1
大胆な志 3
この段階では、検討すべき要素は原体験と大胆な志の二つ
です。
自分の経験又は他者の経験に深く共感することが原体験と
なり、大胆な志を生み出すための種となる。
ただしこの段階では原体験を具体的に分かりやすく語るこ
とは必ずしもできないことは多くの場合ある。
原体験から見出された種から導かれる漠然とした違和感に
向き合い、世の中がこうあったらいいという「生み出した
い社会の状態」を描く。
「生み出したい社会の状態」を具現化するために「人々
(ユーザー)に求める行動変容(どんな行動を取って欲し
いか)」を描く。
※「生み出したい社会の状態」と「人々に求める行動変
容」を併せて志。
志にアイデアが含まれる場合もあるが、この時点では具体
性はなく、絵に描いた餅の状態。
まだビジネス化することは明確に意識されない場合が多い。
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アイデア期 プレシード
シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索もやもや期
テーマ
違和感に向き合い、大胆な志を持つ
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アイデア期 プレシード
シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索もやもや期
もやもや期の流れ
違和感に
向き合う
大胆な志を
持つ
大胆な志:生み出したい社会の状態とそ
のために人々に求める行動変容
違和感:自分の中でのあるべき像と実態
としての社会がズレる感覚
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アイデア期 プレシード
シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索もやもや期
もやもや期の流れ
違和感に
向き合う
大胆な志を
持つ
大胆な志:生み出したい社会の状態とそ
のために人々に求める行動変容
違和感:自分の中でのあるべき像と実態
としての社会がズレる感覚
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アイデア期 プレシード
シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索もやもや期
違和感とは、
「自分の中でのあるべき像と
実態としての社会がズレる感覚」
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アイデア期 プレシード
シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索もやもや期
違和感には、
「現在感じている違和感」と
「過去感じたことのある違和感」がある。
いずれの違和感でもよく、
違和感に向き合い志につなげていく
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「(妻が長時間かけて税務申告し
ている姿を見て)
なぜ税務申告に
30時間もかかるのか」
Intuit Founder スコット・クック
(米会計ソフトウェア最大手Intuit創業者)
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アイデア期 プレシード
シード
(リリース前)
シード
(リリース後)
グロース模索もやもや期
実績あるアントレプレナーも、
スタートポイントは違和感から始まる。
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アイデア期 プレシード
シード
(リリース前)
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しかし
ほとんどの場合、違和感は表出されることなく
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高解像度スタートアップガイド Part1(Part2/3へ続く)

  • 1. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. Takahiro Yamaguchi / Sakiko Hashimoto 高解像度スタートアップガイド
  • 2. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. はじめに 今回、元起業家・現コーチと現役起業家が共同で これまでにない解像度で スタートアップがゼロから事業を成立させるまでのプロセスを描いています。 答えのようなものを書いているのではなく(答えなど、全く分かりません。日々新しい 発見が続きます)、事業を成立させるために日々もがき奮闘する過程で見えてきたこと を、できるだけ具体的に、高解像度で描かせて頂きました。 事業を生み出す本人だけでなく、その支援者・コーチの皆様にも ぜひ一読いただきたいと考えております。 起業家養成・事業支援会社GOB Incubation Partners共同代表 山口 高弘(元起業家・現コーチ) “親戚のおうちのようなあそび場”PAPAMO代表 橋本 咲子(現役起業家)
  • 3. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. Index <Part1>:スタートアップが直面するリアル 1. スタートアップが直面する事業創造の真実 2.スタートアップが直面する高解像度事業創造プロセス 3.もやもや期 “生み出したい社会の状態と求める人々の行動変容を描く” <Part2>:スタートアップに不可欠のWild Ideaの生み出し方と価値検証の道筋 4.アイデア期 “Wild Ideaを生み出す” 5.プレシード期 “顧客の価値を検証し深める” <Part3>:生み出したWild Ideaを市場に浸透させスケール・グロースに導く道筋を示す 6.シード期(リリース前) “プロダクトをマーケットにフィットさせる” 7.シード期(リリース後) “どのようにスケールの壁を超えるか” 8.グロース模索期 “どのようにグロースの壁を超えるか 付録.起業家コーチとして大切なこと、避けるべきこと
  • 4. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved.Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. <Part1>:スタートアップが直面するリアル 1. スタートアップが直面する事業創造の真実 2.スタートアップが直面する高解像度事業創造プロセス 3.もやもや期 “生み出したい社会の状態と求める人々の行動変容を描く”
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  • 9. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 社会のニーズと自分の志が重なる所に 社会価値は生まれる 社会・市場のニーズ 自分の志社会価値 理想的な形
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  • 12. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 社会価値へは、社会・市場ニーズからではなく、 自分の志起点からのルートしか到達しえない
  • 13. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 社会・市場のニーズ 自分の志 社会に価値 を⽣生み出す 通常の新規ビジネス 志重視の新規ビジネス 自分の志を信じて前進し 社会・市場がその価値を 受け入れるところで社会 価値が生じる。 新たな社会価値実現に向 けたルートは、➝からの↑ しかない。
  • 14. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 社会・市場のニーズ 自分の志 アイデア アイデア アイデア 自分の志から生み出されるアイデアは 社会にすぐには受け入れられない 真 実 2
  • 15. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. なぜなら、 世の中は変化をもとめていない (世の中は極めて保守的である)
  • 16. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 新事業は、保守的な世の中にとって 余計なお世話である 真 実 3
  • 17. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. いかなる創造活動も、 はじめは破壊活動だ。 パブロ・ピカソ
  • 18. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 創造は、破壊であり、 だから保守的な世の中から最初は敬遠される
  • 19. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. しかし、世の中から求められない中であっても 志に基づき破壊的アイデアを世の中に届け、 結果世の中を変えるのがスタートアップの至上命題 社会・市場のニーズ 自分の志 破壊的 アイデア
  • 20. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 破壊的アイデアを「Wild Idea」と呼ぶ 【Wild Ideaとは】 ・今までにない価値を、今までにない方法で提供するもの 【Wild Ideaの特徴】 ・これまでの常識をくつがえす点が含まれている ・不合理なもの(人には理解されないもの) 【Wild Ideaへの世の中の反応】 ・すぐに「いいね!」がつかない ・意味が分かってもらえない ・嘲笑される
  • 21. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. “Wild Idea”とは 今までにない価値を、今までにない方法で 提供するもの
  • 22. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. “今までにない価値を 今までにない方法で提供する” Airbnbは、世界中のユニークな宿泊施設を ネットや携帯、タブレットで掲載・発見・ 予約できる信頼性の高いコミュニティー・ マーケットプレイス。 アパートを1泊でも、お城を1週間でも、 ヴィラを1ヶ月でも、Airbnbはあらゆる価 格帯で、世界191ヶ国65,000以上の都市の人 と人とをつなぎ、ユニークな旅行体験を叶 えている。 世界中の民家に宿泊ができるという今まで にない価値を、携帯やタブレットで簡単に 予約できるという今までにない方法で提供 している Airbnb
  • 23. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. Wild Ideaの特徴
  • 24. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. Wild Ideaの特徴① “これまでの常識を くつがえす点が含まれる” カーブスは、「ご近所感覚の手軽な体操教室」を 謳い文句に業界に新しい常識を呼び込んだフィッ トネスクラブです。運動が得意でない人々にとっ ては敷居が高かったフィットネスクラブに対して、 格好悪いと思われることなく気軽に行けるという 価値を実現しています。 通常フィットネスクラブは「高性能のトレーニン グ機器」「大規模な施設」が不可欠と考えられて いましたが、カーブスは「家庭用に近いトレーニ ング機器」「お部屋に近い施設の広さ」という従 来のフィットネスクラブ業界の常識を覆し業界上 位5位のポジションを実現している。 ケース:Curves
  • 25. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. Wild Ideaの特徴② “不合理なもの” ケース: Instacart スーパーでの買い物代行サービス。 注文者は、アプリを使って、スーパーマーケッ ト商品を選択し、配達者はスーパーマーケット で注文された商品を購入・配達します。 注文者は、商品を受け取った後、今回の取引の 評価します。 配達者は、空き時間を使って稼ぎたい一般市民 が担います。 Instacartによって、注文者は買い物時間の節約 と効率的な買い物という価値を得ることができ ます。 安全性は?配達トレーニングはできている?な ど合理的に考えると疑問は尽きないが(不合理 で理解ができない点が立たある)、流通総額数 千億円を実現。
  • 26. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. “Wild Idea”への世の中の反応
  • 27. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. Wild Ideaへの世の中の反応① “すぐに「いいね!」がつかない” ケース:大きな胸を 小さく見せるブラ 大きなバストをコンパクトに整えるブラ。ボ リュームが抑えられるので、洋服を着たとき すっきりしたシルエットになり、シャツのボ タンに隙間ができる、フィットする素材の服 が着づらい、というグラマーバストならでは の悩みを解消するという価値を持ちます。 当初発売前に実施したアンケート結果では欲 しいというユーザーが10%以下という、すぐ に「いいね!」が付かなかったが、販売して みると好調な販売を実現。
  • 28. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. ソニーがウォークマンを発売した当初、テー プレコーダーやラジカセの全盛期であり録音 機能付きやスピーカー内蔵が当たり前の時代 でした。 ところがウォークマンは録音機能なしの再生 オンリーであり、スピーカーなしのヘッドホ ン付きということで、「録音ができないス ピーカーもない音楽プレーヤー」という存在 を消費者だけでなく、社内でも聞いた瞬間は 意味が分からないという反応を示しました。 Wild Ideaへの世の中の反応② “意味が分かってもらえない” ケース:Walkman
  • 29. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. Wild Ideaへの世の中の反応③ “嘲笑される” ケース: CouchSurfing 旅先で宿泊先を探している旅人と、場所を無料 で提供しても良いと思っている現地の人を結び つける、コミュニティサービス。旅人にとって も現地の人にとっても新たな出会いが生まれる という価値を受け取ります。 無料で人を泊める?そんな奇特な人はいるの か? といった嘲笑を受けてしまいそうなビジネス (実際にそのような反応は多数あり、今もあ る)であるが、世界20万以上の都市で1000万人 以上が利用している。
  • 30. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 本来創造は破壊であるが 破壊的アイデア(Wild Idea)は 稀 真 実 4
  • 31. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. ビジネスアイデアの90%は つまらないものとなる
  • 32. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. ビジネスアイデアの90%がつまらない理由は 市場を見るから 真 実 5
  • 33. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 市場は誰でも見ることができる ・市場を観て見えてくるのはありきたりのニーズ。 言い換えると、保守的な人々が発するニーズ。 ・保守的な人々が発するニーズは、従来の枠を超え ることはない。 ・ありきたりのニーズをとらえてもつまらない アイデアにしかならない。
  • 34. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 私は市場調査はしない。 私達の仕事は、歴史のページに まだ書かれていないことを読み 取ることなんだ。 S.ジョブズ
  • 35. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 市場を見ないで どうやって課題を発見するのか?
  • 36. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 優れたアイデアは市場というマスのためではなく 「実在の1人を見て生み出される」 そもそもすぐれたビジネスはスケールを狙って「マス」を見て創られ るのではなく、「たったひとりの個人」を見て創られる 真 実 6
  • 37. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. QBハウス創業者小西國義さんは 当時の1時間も拘束される理髪 店に不満を抱き、圧倒的時短を 実現する散髪店(QBハウス)を 創業。
  • 38. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 過去のWild Ideaは、少なからず自分自身を 助けることを契機として生み出されている
  • 39. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 当時ソニー名誉会長であり音楽 好きだった井深大氏が飛行機の 機内に大きな音楽再生機を持ち 込む姿を見て、移動中に気軽に 音楽を楽しめないという不満を 捉えた盛田昭夫氏は、手軽にス トレスなく持ち運びができる音 楽プレーヤーを届けたいという 思いでウォークマン開発につな げた。
  • 40. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 過去のWild Ideaは、実在の誰かを 助けることを契機として生み出されている
  • 41. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 改めて。“実在の誰か”は、 手触り感があった方がいい
  • 42. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 「僕はこんなふうに考えたんだ。 みんな僕と同じ大学生だ。 だから、自分に面白いものは みんなにも面白くて便利なもの になるんじゃないかなって。」 マーク・ザッカーバーグ 再追加スライド
  • 43. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. せっかく「この人を救いたい」と 思ってアイデアを練っても、 価値がこめられていないアイデアは、意外にも多い
  • 44. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 一見理にかなっていると思われるアイデアの 少なからずが、実は価値が空洞化している 真 実 7
  • 45. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. Flytographer 旅行者とフォトグラファーを マッチングするサービス
  • 46. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 世界中でフォトグラファーマッチングサービ スがローンチされているが、いずれもブレー クしていない
  • 47. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 「フォトグラファーが検索できる」 「撮影予約、決済がしやすい」 これらは全て検索や予約のしやすさといった 「側(がわ)」の便益(真ん中ではない、がわという意味で、 単刀直入に“中身がない”、という意味です) このサービスがなければ手に入らない価値ではない。 (webを検索すれば自力で手に入る価値でしかない) フォトグラファーマッチングサービスがうまくいかない理由
  • 48. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 真ん中がなくて側だけの価値である場合 (=価値が空洞化している場合) 人々にとってその手段がなければ、 「手が届かない価値」ではないために 強く欲しがられる状態は生み出せない。
  • 49. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 価値の空洞化を防ぐためには、 ユーザーが真に求めるものを掴む必要がある (本当に成し遂げたい願望を掴む必要がある)
  • 50. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. しかし、ユーザーが真に求めるものを 掴むことは簡単ではない
  • 51. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 人々が言語化している願望と 本当に叶えたい願望は異なる 真 実 8
  • 52. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 人は、風を浴びたいのでは なく、“涼しくなりたい” から扇風機を使うのです。 寺尾 玄 (バルミューダ株式会社 代表取締役)
  • 53. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 人々は、「風を浴びたい」と言う (言語としてはこう言っている)が、 本当は、涼しくなりたい(本音願望)のである
  • 54. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 人々が扇風機を買うのは風を浴びたいからではな く、「涼しくなりたいからだ」ということに気づ き、“涼しい風=外で感じる自然の風”という点に 着目。既存の扇風機は風は浴びることが出来るが 涼しくないという問題点を解消し、扇風機が送り 出す風が線の風であったのに対して、自然の風に 近い“面の風”を生み出す扇風機を開発。 開発の背景は人々が持つ「涼しくなりたい」とい う願望に着目したことにあった。 価格3万円台にも関わらず多くの消費者に購買さ れている。 “涼しくなりたい”という本音願望を捉えて生み出された 全く新たな扇風機 GreenFan
  • 55. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. なるほど、本音としての願望を引き出すことが 大切なのですね?
  • 56. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 本音が分かったとしても、ほとんどの人は 本音を満たすための行動をとれない (「買いたい」と思っても「買えない」のです) なぜならユーザーはトレードオフ(矛盾)を抱えているからである。 真 実 9
  • 57. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 「住居を変えたい(引っ越したい)」としても、 「思い出の部屋を離れたくない/思い出のモノを手放し たくない」のです。
  • 58. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. ・やりたくてもできない理由は、ほとんどの人々は相反する 願望を同時に持っているためである。 ・本音を満たしたいのは山々であるが、一方で実現したい本 音とは両立しない願望を同時に持ってしまっており、行動 ができなくなっている。(この状態をトレードオフ(矛 盾)を抱えた状態と言う) ・この両立し難い相反する願望を同時に持っている状態を乗 り越えなければ(トレードオフを解消しなければ)、人々 は本音願望を満たすことが困難となる。
  • 59. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 「住居を変えたい(引っ越したい)」(本音) ↕ 「思い出の部屋を離れたくない/ 思い出のモノを手放したくない」(トレードオフ)
  • 60. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 解くべき課題は、 「思い出のモノを手放すことなく、引っ越しが出来る」 ということになります。
  • 61. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 改めてトレードオフとは、両立し難い相反 する願望を同時に持っている状態のこと。 言い換えると、どちらかを満たそうとする と、どちらかが満たせなくなる状態のこと。
  • 62. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. QBハウス 散髪店QBハウスは「納得できる髪型にする (本音願望)を、超短時間で(相反する願 望)」というトレードオフを解消する課題を 設定し、新たな価値を創出。 納得できる髪型 (本音願望) 超短時間 (相反する願望) 超短時間で納得できる 髪型にする
  • 63. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 本音としての願望実現と、それと相反するトレードオフとなる願望 の同時実現を目指すことというのは分かりました。 矛盾を乗り越えるアイデアを生み出すことは難しそうですが、 どうやって生み出すのでしょうか?
  • 64. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. Wild Ideaはブレーンストーミング からでは生まれない 真 実 10
  • 65. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. アイデアとは、要素と要素の 新しい組み合わせである。 ジェームス・W・ヤング
  • 66. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. Question: 30分の制限時間で1つアイデアを出すというお題があったとします。 ブレーンストーミングを行い、 20分経過した現時点で10個アイデアが手元にあります。 残りの10分をどう使いますか?
  • 67. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. ①生み出したアイデアを投票によって 選出する ②生み出したアイデアを基準を用いて 優先順位付けする これらのやり方は一見合理的に見えます が、Wild Ideaを生み出すことは困難です 10分の使い方、2大NGアクション
  • 68. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. LEGOがパーツとパーツを組み合わせて作るのと同じように、 アイデアも、細かい具体的な要素が組み合わさって創られています。 アイデアは、すでにあるアイデアを要素に分解し、要素と要素を新しく組み合わ せることで生み出します。 (アイデアを構成する要素は、LEGOでいうパーツに該当します) アイデアは、要素と要素の新しい組み合わせで生み出すものであり、 原理はLEGOブロックと同じです つまり、30分の制限時間でのアイデア出しの話でいうと、残り10分を投票や優先 順位付けに使うということ(=元々あるアイデアを選んで採用すること)は、 LEGOでいうと元々組み立てられたLEGOを目の前にして、パーツに分解して新た な組み合わせを創ることなく、元々のLEGOをそのまま選んでいるという状態に他 なりません (=要素分解して新しい組み合わせを創るところからが本番であるのに対して、 組み合わせる手前で終わってしまっている状態)
  • 69. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 冒頭のQuestionに戻りましょう。 10分を何に使うか。 アイデアの生み出し方を踏まえると、 30分の制限時間でのアイデア出しは、 残り10分は投票でも優先順位づけでもなく、 手元にある10個のアイデアを要素に分解し それぞれの要素を新しく組み合わせて アイデアを生み出すことにつかうべきです。
  • 70. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 既存アイデアの要素(のうち特に長所=エッセンス)を 分解し、組み合わせてアイデアを進化させることで、 Wild Ideaを生み出す ※詳しくはPart2 “4.アイデア期 “大胆なアイデアを生み出す” ” にWild Idea創出の 考え方について記載しています。
  • 71. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. コマツの世界的イノベーション KOMTRAXはコマツが開発した建設機械の情報を 遠隔で確認するためのシステムです。 開発の背景は新興国で発生していた鍵を壊されて 盗難されるのを防止することと、稼働の最適化 (高稼働と低稼働が分散し非効率であった)とい う課題を解決することにありました。 車両システムには、GPS、通信システムが装備さ れ、車両内ネットワークから集められた情報によ り新興国で発生していた盗難を、センサーで遠隔 検知し鍵を施錠することで防止できるという成果 につながっています。また、GPSにより取得され た位置情報により遠隔での稼働最適化が図られて います。 KOMTRAX
  • 72. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 山間部・僻地での 重作業 リモートで在庫管理 所在位置と他の センサー情報が 取得できる 元のアイデア 元のアイデアの要素分解 (良い要素=エッセンス) エッセンス統合アイデア センサー情報の取得という エッセンスから盗難を遠隔 で検知し鍵を施錠すること で防止という機能が開発さ れ、リモートで在庫管理す るというエッセンスから遠 隔での稼働最適化システム が考案された。
  • 73. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. Wild Ideaの生み出し方は分かったとして、 どうやって儲けるのか見当もつかないが?
  • 74. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. まずは「売れる」(世に届ける)が先決であり、 儲けは後から考えればいい 真 実 11
  • 75. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. どうやって稼ぐかなんて 後から考えればいい。 まずはどういう音楽を 生み出し世に届けるかだ。 プリンス
  • 76. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. アイデアのうちWild Ideaは10%以下と言ったが、 Wild Ideaであったとしても、その後「売れる」と 「スケールする」「持続的に成長する」の壁が待って いる Wild Idea 売れる スケールするアイデア 持続的に成長する
  • 77. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. Wild Idea(今までにない価値を、今までにない方法で実現するアイデア) であることと売れることは異なる 真 実 12
  • 78. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 価値あるWild Ideaであっても 売れるものになっていない場合が多い Wild Idea 売れる スケールするアイデア 持続的に成長する
  • 79. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. なぜなら「キャズム」と呼ばれる状況に陥る からである。 ユーザーは完全に未知のサービス・商品に遭 遇すると混乱し購買の手前の「比較」にすら 至らない。 Wild IdeaはWildなままの状態では売れない。 このことを「キャズム」と言います
  • 80. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 比較しないと買わない大勢の人たちに売れないという状況をキャズムと言う 比較しなくても買う人達 過去自分が使ってきた手段と比較して「それよりよい」と 感じたら買う=比較しないと買わない人 比較対象がないWild Ideaは キャズムを超えられない 2.5% イノベーター 34% アーリー マジョリティー 13.5% アーリー アダプター 34% レイト マジョリティー 16% アーリー ラガード TIME The Chasm
  • 81. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 車にしては遅いし、小さい 自転車にしては高い 徒歩ほど身軽さもない
  • 82. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. セグウェイは歩行並みのバランス感覚など際立っ た価値を持つが過去の移動手段のいずれとも比較 ができなかったため マーケットでは「失敗」と結論付けられた
  • 83. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 際立った価値であっても 市場が受け取りやすい手段で提供しなけ ればキャズムになる
  • 84. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 市場適応の鍵は差別化ではなく 既視化にある 真 実 13
  • 85. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. Wild Ideaは人々にとって全くの未知 「あ、知ってるそれ」に変換して届ける 必要がある(既視化が必要) Wild Ideaは、「差別化」ではなく「既視化」を必要とする
  • 86. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. iPhoneは、iPadより先に発売された。 し か し 、 実 は 開 発 さ れ た の は 、 iPadが先だと言われている。 なぜか?
  • 87. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. iPhoneより先に開発されたiPadの、元々のターゲットユーザーは学校の教員 (教育の生産性を上げるツールとして開発されていた)である。しかし、彼 らにとってタブレット型のインターネット通信端末は慣れ親しんだものでは なかった。(過去慣れ親しんだツールとかけ離れているため比較が出来ず、比 較が出来ないということは購買の手前で脱落してしまう) このため、iPadの「移動しながらインターネットが自由自在にできる」 「タッチパネルなどの使いやすいUI」という価値はそのままに、過去自分が 使ってきた手段と比較してより価値を理解しうるターゲットであるi-modeや blackberryユーザーにターゲットをシフト。つまりここで適応市場・業界がパ ソコン市場から携帯電話市場にシフトしている。 i-modeやblackberryユーザーは、「使いづらい」というイシューを抱えていた。 これらのターゲットに、 「移動しながらインターネットが自由自在にでき る」「タッチパネルなどの使いやすいUI」という価値を、大きさを縮小して、 慣れ親しんだ携帯電話という手段に近づけ、より「使いやすくスマートな」 電話としてiPhoneを開発し、リリース。
  • 88. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 学校の教員 (元々のターゲット) iPadが持つ価値 (移動しながら、インター ネット通信が可能/ 使いやすいUI) i-mode/ Blackberry ユーザー (既視感を感じて くれるユーザーに シフト) (シフトした先の ユーザーが既視感を 感じてくれるプロダ クト(タブレットか ら携帯という形状 へ)に変更)
  • 89. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. このように既視感を感じてくれる ユーザーに対象をシフトし、 さらにそのユーザーにとって「あ、知ってる」を加える =既視化すること 既視化することにより、過去と比較して 「よりよい」と感じてもらう
  • 90. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. なるほど、Wild Ideaを 既視化すればよいのですね!?
  • 91. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. それは、 「顧客が購買する理由を理解する」 ということです。 NO! 「売れるもの」にするためには、既視化に加えて もう一つ必要なことがあります。
  • 92. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. え!? 顧客が購買してくれる理由は、 普通分かっているものではないのですか?
  • 93. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 意外にも多くの場合、提供する側は 「顧客がなぜその製品サービスを購入するのか」 が分かっていない 真 実 14
  • 94. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. その理由は、顧客に購買理由を聞いても 明確な答えが返ってこないからです。 なぜ明確な答えが返ってこないのでしょうか?
  • 95. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 同じ人であっても、時により、場面により、 購買理由は異なるのです。 (だから、顧客に購買理由を聞いても、 明確な答えが返ってこないのです) 真 実 15
  • 96. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. こんなシーンを思い浮かべてみて下さい。 カフェでコーヒーを買ってオフィスに持ち帰るとします。 そこでの購買理由は以下のどれでしょうか? 「仕事へのスイッチを入れる」 「乾いた喉を潤す」 「仕事中の口寂しさを紛らわせる」 「目を覚ます」 「コーヒーを片手に同僚と会話を弾ませる」
  • 97. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 実は、同じ人物である私が、同じ日にカフェでコーヒーを購入 した別々の時間帯での購買理由です。 「仕事へのスイッチを入れる」 朝の自分 「乾いた喉を潤す」 午前中の自分 「仕事中の口寂しさを紛らわせる」 午後一の自分 「目を覚ます」 15時の自分 「コーヒーを片手に同僚と会話弾ませる」 夕方の自分
  • 98. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 一つ例にとると、ビジネスマン(属人)が出勤直後(属時)にオフィスで(属場)「 仕 事へのスイッチを入れるため」(購買理由)だったとします。 属人・属時・属場での購買理由に合わせて製品・サービスを最適化するとすれば、 「コーヒーの提供容量を通常のサイズよりも小さく設定し(スイッチ入れ るだけなので大量に飲む必要はない。 MやLよりも小さいサイズで)、味 を濃くする」というプロダクトの最適化につながります。 一方で、「口寂しさを紛らわす」のであれば長くコーヒーを飲み続けられた方がよ いので 容量は多く濃すぎない方がよいが 「仕事へのスイッチを入れたい」のであれば、容量は少なく濃い方がよい。 このように、その人、その時、その場に併せて最適化することで「売れる」に近づ きます。
  • 99. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 人により、時により、場により、購買理由は異なる (購買理由は多様な場合分けがある) このため価値を届けるためには、 「購買理由の解像度を上げること」 =それぞれのユーザーが「その製品サービスを購買する理由」 を細かく把握し、製品サービスに反映すること が求められます。 ※細かく把握するとは、=誰が(属人)、いつ(属時)、どのような場面で(属場)まで具体化して 把握すること
  • 100. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 一方で シンプルに整理すると、 「売れる」 = 購買理由 > 非購買理由 の構図が創られているかどうかによって決まりますが、 多くの場合、購買理由<非購買理由となっているという事実があり ます。 ユーザーは、購買理由があっても、それを上回る「非購買理由」を 持っている場合、「買えない」という意思決定を下します。
  • 101. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. ユーザーは、どの人が(属人)、どの時に(属時) どのような場で(属場)、によって価値の受取やすさは変わる。 属人、属時、属場で ユーザーが受け取ることを妨げる要因を除去する必要がある 改めて、非購買理由とは: ユーザーが持つ購買理由を妨げる理由・要素 =ユーザーが使いたいが使えない理由・要素
  • 102. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 例えば「ドーナツであることが目立たない、小さなサイズで小分けされてい るもの」というプロダクトの具体化につながります。 ドーナツが持つ価値をユーザーは受け取りたいと考えていますがビジネスマンが(属 人)、オフィスで(属場)、仕事中に(属時)とすれば、 「食べたいが、遊んでいると思われるかもしれないので食べにくい」という購買理 由があったとしても購買を妨げる理由・要素(非購買理由)が発生しています。 オフィス街にあるコンビニドーナツ例で説明します 「ドーナツで仕事中の小腹を満たしたい」という購買理由を もつユーザーがいたとします。
  • 103. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 購買理由と非購買理由それぞれに対応してプロダクトを修正 することで「売れる」を実現する。 ・購買理由を反映してプロダクトを修正する。 ・非購買理由に該当する要素が発見されたら 非購買理由を回避する要素を踏まえて プロダクトを修正する。
  • 104. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. ようやく「売れるもの」 にできるような気がしてきました・・・
  • 105. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 売れるものがあるということと、 「スケールする」ということは異なる。 真 実 16
  • 106. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 売れるものであっても スケールまで至らない場合が多い Wild Idea 売れる スケールするアイデア 持続的に成長する
  • 107. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 多くのスタートアップは、売れるものはあるが スケール前に市場から退出してしまうことにな る。なぜなら、スケーラブルな供給体制が構築 できないため。 真 実 17
  • 108. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 限界費用がゼロのサプライチェーンのことで ある。 ※限界費用とは、生産を拡大する際に追加的にかかる費用のこと ※限界費用がゼロのサプライチェーンとは規模拡大したとしても追加的 にコストがかからない供給体制のこと スケーラブルなサプライチェーンとは
  • 109. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. Airbnbは業態としては「ホテル」業態で あり、ホテル業界は通常一室増やすごと に当然コストがかかる。しかしAirbnbは、 一部屋を増やすために追加的にかかる費 用(限界費用)がゼロである点に特徴が ある。 (ホストと呼ばれる自宅保有者が自ら物 件を供給してくれるため) このため、成長に向けた供給体制の構築 を、費用をかけず実現できる。 Airbnbが構築する限界費用 ゼロサプライチェーン
  • 110. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 「供給量は、コストをかけて増やしていく ものだ」という考えは、供給体制へのバイアス である。そのバイアスに縛られている限り、 限界費用ゼロサプライチェーンを構築できず、 直線的成長しか果たせない 真 実 18
  • 111. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 直線的成長 限界費用ゼロ成長 自前でコストをかけて 供給量を拡大するため 直線的成長となる コストをかけずに 供給量を拡大するため 指数関数的成長が可能
  • 112. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 自動的に供給に必要な要素が整う構造を 生み出せるかどうか。 供給者が「強い供給インセンティブを感 じるかどうか」で決定付けられる。 限界費用ゼロサプライチェーン構築の鍵は何か?
  • 113. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. Airbnbはホテルより単価が安いものの、供給者 にとっては、1ヶ月の賃料を日割りするより高い 貸出料を得ることができる。 この要件が供給者にとってのインセンティブと なり、供給者は自動的に供給を続けてくれる。
  • 114. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. なるほど、 価値あるWild Ideaを生み出し、売れるものに 変換し、スケールするということですね?
  • 115. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. スケールしたとしても、 持続的成長が出来ない場合がある Wild Idea 売れる スケールするアイデア 持続的に成長する
  • 116. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. スタートアップがスケールすることと、 持続的な成長をすることは異なる。 持続的成長の鍵は、フローではなくストックにある 真 実 19
  • 117. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. スタートアップは、少なからず対個人事業をスタート地点では立ち 上げます。順調にスケールしていた場合であっても、市場の不確実 性は高く、事業の安定化に向けた方策が求められます。 その方策がストック活用事業です。 事業を生み出しスケールさせる過程で、独自の資産を蓄積すること になりますが、その蓄積された独自の資産を活用し、対個人から対 法人・業界向けの新たな事業を生み出すことでより安定的成長を実 現します。
  • 118. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 米iRobotが開発・販売するロボット掃除機 である「ルンバ」は、家庭向けに販売(フ ロー)するだけでなく、家庭内でルンバが 動き回る過程で収集した情報(部屋の大き さや家具の設置場所、家具間の距離など= ストック)を活かして家具メーカーや住宅 メーカーに対してビッグデータを用いたコ ンサルティングやデータ提供を検討してい る。 このことにより、対個人という景気の波や ブランドスイッチなど相対的に不確実性が 高いマーケットだけでなく、(対個人と比 較すると相対的に不確実性は低い)メー カーなどの企業や業界を対象としたビジネ スで安定収益を上げることが見通される。 Roomba
  • 119. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 一般家庭 独自のプロダクトを 生み出し市場投入 (フロー:一つ一つ の販売により売上を 立てる)
  • 120. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 一般家庭 独自のプロダクトを 生み出し市場投入 (フロー:一つ一つ の販売により売上を 立てる) 部屋の大きさや家 具の設置場所、家 具間の距離などの データ 他社が手にしない 独自の資産(ストック)を蓄積
  • 121. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 家具メーカーや 住宅メーカー 居室内の家具配置 等ビッグデータを 用いたコンサル ティングやデータ 提供 美術品と長時間 向き合う空間 新規顧客層獲得 資産(ストック)を活用し て法人・業界向けの新たな ビジネスを創造 一般家庭 部屋の大きさや家 具の設置場所、家 具間の距離などの データ 独自のプロダクトを 生み出し市場投入 (フロー:一つ一つ の販売により売上を 立てる) 他社が手にしない 独自の資産(ストック:フローに よって得られた蓄積物)を蓄積
  • 122. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 事業をしたいという気持ちになってきました。 「前々から考えていた、某新興国の教育機会を拡大する ために、現地に学校を作りに行こうと思っています」
  • 123. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. ビジネスは、自分が動くのではなく、人々の行動 を変える(人々に新たな行動を起こしてもらう) ことで、大きく社会を変える手段である。 真 実 20
  • 124. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 我々が世界を変えるのではあり ません。 顧客の行動が変わることによっ て世界が変わるのです。 玉樹 真一郎 (元任天堂・Wii開発者)
  • 125. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 「自分が直接学校を創りに行くだけでなく、自分のような学校を作り たいと思い行動する人をたくさん増やすためにはどうすればよいのか。 自分が行かなくても、もっとスキルある人々が大勢学校を作りに現地 に向かってもらうためにはどうすればよいのか。」 「人を動かすことで実現したい状態を生み出すのが、ビジネスです。 あなたが直接動くのではなく、協力者を増やす仕組みを考え実行する こと。これがビジネスです。」
  • 126. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. ビジネスとは、世の中を変え るために、顧客を巻き込む手 段に他ならない。 ジェフ・ベゾス
  • 127. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 社会を変える (どう変えるかというイメージを持つ) そのために人々(ユーザー)にどのような 行動をとって欲しいか (社会は直接変えることはできない。ユーザーに行動 を変えてもらうことで社会を変える。ユーザーにどの ような行動を起してもらうか) ユーザーに起して欲しい行動をとってもら うためには、ユーザーのどのような願望を 叶える必要があるか (ユーザーの願望を叶えることで結果的に行動変容に 導く。ユーザーはどのような願望が叶えられると、行 動変容を実行するか) ユーザーの願望を叶えるために有効なソ リューションは何か 生み出したい社会 そのために求める ユーザーの行動 行動変容を導く願望 願望を叶えるソリューション アントレプレナーの思考回路
  • 128. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 「世界をもっと オープンにする」 マーク・ザッカーバーグ
  • 129. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 世界をもっとオープンにする 人々に自分の考え・行動を可視化し公開す るという行動を採ってもらう(オープン性 の高いところまで人々を持っていく) “自分を演出したい”という願望を叶える (自分が表現したい自分を周囲に公開でき るという願望を叶える) 実名を基盤としたテキスト・画像・動画を用 いたソーシャルネットワークサービス 生み出したい社会 行動変容を導く願望 願望を叶えるソリューション そのために求める ユーザーの行動
  • 130. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. アラビンド眼科病院は、医療インフラが不足 しているインドにおいて、貧困層も含む膨大 な数の患者に低コストの医療サービスを提供 している。 周辺地域も合わせると、インド南部に5つの眼 科病院を持ち、年間250万人以上の患者を診察 し、白内障を中心に年間30万人に手術をして いる。 行われている手術のうち、約50%は患者負担 がゼロであり、正規料金を払う患者は約30%。 にも関わらず利益率20%以上を実現し成長し ている。 経営の特徴は、マクドナルドを模範とした手 術オペレーションの効率化、富裕層からは正 規の市場価格で利益率を確保する点にある。 富裕層が正規料金を支払う背景には、社会貢 献意識を見えるかする仕組みがある。 アラビンド眼科病院
  • 131. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 先進国の住人にしか手の届かなかった質の 高い医療を、新興国の貧困層にまで広げる 富裕層に、正規の市場価格で医療サービスを 受けてもらい、余剰利益を貧困層の無料手術 費用に転換するという構造と価格格差を承認 してもらう “自分の受診が他者の医療サービス受診に つながる”という社会貢献行動を可視化し てもらいたい(誇りたい) 約50%は患者負担がゼロ、正規料金を払う患 者は約30%という受診構造と、その土台とな るローコストかつ回転率の早い手術システム 生み出したい社会 行動変容を導く願望 願望を叶えるソリューション そのために求める ユーザーの行動
  • 132. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. ユーザーと共に社会を変える。 そのためにユーザーの行動変容を導く。 行動を能動的に変容することを導くために、 叶えたい願望を引き出し、叶えるためのソリューションを届ける。
  • 133. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. なるほど、顧客の行動を変えることで 社会を変えるのですね?
  • 134. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. アントレプレナーは、実現したい世界を顧客と共に 実現するだけでなく、業界を巻き込んで より大きく世界を変える
  • 135. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 自社だけでなく、業界構造を変えることで、 より大きく社会を変えることができる 真 実 21
  • 136. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 社会が変わる 顧客の行動が 変わる 業界・市場が 変わる 製品・サービス を届ける (企業) アントレプレナーは、社会を直接変えることはできない。 製品・サービスを投入することで顧客の行動が変わる(①)。 顧客の行動が変わることで社会が変わる(②) 顧客の行動変化を見て追随的に業界・市場構造が変わり(③)、 その結果より広範囲に顧客の行動が変わる(④)ことで大きく社会が変わる。 そして業界・市場構造変化に併せて、行動を変えていなかった企業までもが行動を変える(⑤) ① ③ ④ ②⑤
  • 137. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 運動に自信のある 人が身体を磨く 広い施設・高度な機 器のあるスペース (という構造) ハードな運動 スペース (本格的運動 スペース) 従来の フィットネ スクラブ 運動が得意な人が より得意になる 運動に距離を感じ ていた人が運動に 親しむ 小さな施設・家庭 用に近い機器のある スペースという運動 ハードルの低い フィットネスクラブ構造 ライトな運動ス ペース 運動に苦手意識があ る人々が運動との距 離を縮める 製品サービス 業界・市場 顧客の行動 社会の変化 業界・市場が進めていたフィットネスクラブをより大規模に、より高度にという流れが、運動に距離を感じる・抵抗 を感じる人々を生み出してしまっていた。 そのような流れに対して、カーブスは業界・市場の構造を変える(機器のレベルを下げ、施設規模を縮小することで フィットネスクラブの垣根を下げるという新たな顧客価値を生み出す)ことによって顧客の行動を変え、新しい社会 の変化を生み出している。
  • 138. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. ビジネスによって社会が変わっていく道筋はわか りました。 しかし、翻って自分を見つめてみると、事業を始 めるに当たって必要といわれる原体験は明確には ないのですが・・・?
  • 139. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 原体験は、最初から明確なものがあるわけではなく、 種の状態から始まり、徐々に深まっていくものである。 真 実 22
  • 140. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 自分の経験又は他者の経験に深く共感することが原体験となり、世の中への 違和感や動機づけが生まれますが、最初は明確に言語化できるわけではなく、 その動機を確信できているわけでななく、文字通り動機の“種”が生み出され ます。 多くの人が最初から強く明確な原体験が必要と考えているかもしれません。 また、種を持っているにも関わらず気づいていない場合が多いと考えられま す。原体験は時間をかけて深めていくものであり、最初から強く明確でなく てもよいのです。
  • 141. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. そもそも・・・ 「自分には事業を作る資質があるか分かりません」
  • 142. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. スタートアップに必要なのは、 “将来は合理的であると考えられうるが 現時点では不合理とみられる仮説”を生み出す力である 言い換えると不合理を見抜く目ではなく、自らが不合理な存在になることである。 真 実 23
  • 143. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 起業家本人は至って合理的であると認識しているが、世の中はその 逆で全く不合理であると認識する。世の中が“現時点で”不合理と思 うことを、合理的であると確信し、仮説として打ち出せる力。 本人 世の中 めっちゃ合理的。 なんでこれ世の中に ないの!? なんでそんな意味が わからない事やろう としているの!?
  • 144. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. CouchSurfing 無料で見知らぬ人を泊める人などありえる のか? いたとしてもほんの一部ではないか? ビジネスとして成り立つのか? 大半の人には不合理に見える「無料で人を 自宅に泊める」という仮説を打ち出せるか どうか。
  • 145. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 多くの場合、世の中の不合理を修正することが 大事と言われているが、一方で大事なことが 自らが不合理な存在になるということ より正確に表現すると、自分には合理的である と見えるが、世の中には不合理であると感じら れることを目指すこと
  • 146. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. Part1-第1章の振り返り ・スタートアップの至上命題は破壊的アイデアを世の中に届けること ・破壊アイデアを、Wild Ideaと呼ぶ ・Wild Ideaとは、今までにない価値を、今までにない方法で届けるもの 真実1:はじめから社会・市場のニーズを追いかけるスタートアップは社会価値に到達で きない 真実2:自分の志から生み出されるアイデアは社会にすぐには受け入れられない 真実3:新事業は、保守的な世の中にとって余計なお世話である 真実4:本来創造は破壊であるが、破壊的アイデアは稀 真実5:ビジネスアイデアの90%がつまらない理由は市場を見るから 真実6:優れたアイデアは「実在の1人のために創られている」 真実7:一見理にかなっていると思われるアイデアの少なからずが、実は価値が空洞化し ている 真実8:人々が言語化している願望と本当に叶えたい願望は異なる
  • 147. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. Part1-第1章の振り返り 真実9:本音が分かったとしても、ほとんどの人は本音を満たすための行動をとれない (「買いたい」と思っても「買えない」のです)。なぜならユーザーはトレードオ フ(矛盾)を抱えているからである。 真実10:Wild Ideaはブレーンストーミングから生み出すことはできない 真実11:儲けは後から考えればいい 真実12:価値を持っていることと売れることは異なる 真実13:市場適応の鍵は差別化ではなく既視化にある 真実14:意外にも多くの場合、提供する側は「顧客がなぜその製品サービスを購入するの か」が分かっていない 真実15:同じ人であっても、時により、場面により、購買理由は異なるのです 真実16:売れるものがあるということと、「スケールする」ということは異なる。 真実17:多くのスタートアップは、売れるものはあるがスケール前に市場から退出してし まうことになります。なぜなら、スケーラブルな供給体制が構築出来ないため
  • 148. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. Part1-第1章の振り返り 真実18:「供給量は、コストをかけて増やしていくものだ」という考えは、供給体制へのバイ アスである。そのバイアスに縛られている限り、限界費用ゼロサプライチェーンを構 築できず、直線的成長しか果たせない 真実19:スタートアップがスケールすることと、持続的な成長をすることは異なる。持続的成 長の鍵は、フローではなくストックにある 真実20:ビジネスは、自分が動くのではなく、人々の行動を変える(人々に新たな行動を起こ してもらう)ことで、大きく社会を変える手段である。 真実21:自社だけでなく、業界構造を変えることで、より大きく社会を変えることができる 真実22:原体験は、最初から明確なものがあるわけではなく、種の状態から始まり、徐々に深 まっていくものである。 真実23:“将来は合理的であると考えられうるが現時点では不合理とみられる仮説”を生み出す 力である
  • 149. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved.Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 2. スタートアップが直面する 高解像度事業創造プロセス
  • 150. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 一定のスケールを実現するまで(Exit期以前)には、 もやもや期からはじめて6つのプロセスがあります 志を掘り下げ、 志実現に向けて 解くべき極めて 困難な課題を掘 り下げ、「今ま でにない価値を 持ち、新しい実 現方法を持つア イデア」を生み 出す。 この段階での規模 1-3人 アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索 顧客の課題とア イデアをフィッ トさせる期間。 顧客の課題を掘 り下げ、顧客に とっての価値を 明確にする。 価値に基いてア イデアを改良し、 プロトタイピン グと呼ばれる試 行を繰り返す。 試行結果からア イデアの現実性 を高める。 この段階での規模 1-3人 プロダクトと市 場をフィットさ せる期間。 対象市場への適 応を見据えてア イデアを具体的 なプロダクトへ と移行させる。 プロダクトを投 入しビジネスと して成立させる ビジネス・モデ ルを具体化する。 この段階での規模 3-5人 市場の反応を踏 まえたSTPと4P の練り直し。 プロダクトの改 良と「売る」た めの戦略戦術と その仮説検証の 繰り返し。 限界費用ゼロサ プライチェーン 構築に向けた幅 出しと実験。 法人営業もス タート この段階での規模 5-10人 マーケットでの スケール探究と、 同時に次の発展 に向けた法人向 け展開を模索。 併せて蓄積され た事業資産を活 用した法人展開 を模索。 この段階での規模 10-30人 自分の仕事や生 活を通じて抱く 違和感を直視し 言語化する。 そこから「生み 出したい社会の 状態」と「その ために人々にど ういう行動を 取って欲しいの か」を描き出す。 この段階での規模 1人 もやもや期
  • 151. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. ビジネスはストーリーのように発展していく。 ストーリ構成要素(必要な要素)には9つある。 (ストーリーの登場人物が9人いるようなイメージです)
  • 152. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 9つのストーリ構成要素 ①原体験 ③アイデア(大胆さ) ④顧客(価値) ⑤市場・業界 ⑦サプライチェーン ⑧財務的成長 ⑨組織的成長 ⑥プロダクト(成長) 自分の体験から語られる「立ち上げているビジネスを なぜやるのか」という動機 これまでの常識を覆す不合理なアイデア。 いかに大胆なアイデアを生み出すか 顧客とその顧客が求める価値 どの市場・業界を対象とし、どのように適応させるの か アイデアを具体的な製品・サービスのカタチにした もの。どのようにプロダクトを成長させていくのか スケーラブルな供給体制を組み立てる 売上、収益とその成長性 組織体制とその成長性 ②大胆な志 どのような社会の状態を生み出したいと考えているのか そのために人々の行動をどう変えたいのか。
  • 153. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. ストーリー構成要素を最初から 精度高く検討するなど困難でありまたその必要はない。 最初から必要な要素全てを具体化する必要はありません。 (物語で最初から全ての登場人物が現れないのと同じです) 桃太郎がスタート時点では1人であるのと同じです
  • 154. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. ミュージシャンが最初にギターを 習う時、ギターでどう稼ぐかでは なく「どういう音楽を創りたい」 とったことを先に考える。 ビジネスも「利益や売上、顧客の 価値について考えるのはずっと後 になってから」 糸井 重里
  • 155. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. ビジネス発展プロセスごとに 4段階でストーリー構成要素の 成熟度合いを観ていく
  • 156. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 原体験 市場・業界 顧客(価値) アイデア (大胆さ) サプライ チェーン 2 1 2 4 1 アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索 3 2 3 3 2 3 3 4 2 2 4 4 4 2 3 財務的成長 1 1 2 3 組織基盤 1 1 1 2 ストーリー 2 1 1 1 1 もやもや期 1 1 プロダクト (成長) 1 2 3 31 大胆な志 4 4 4 43 4 4 4 2 4 4 4 4 4
  • 157. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 原体験 市場・業界 顧客(価値) アイデア (大胆さ) サプライ チェーン アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索 財務的成長 組織基盤 ストーリー 2 1 1 1 1 もやもや期 1 1 プロダクト (成長) 1 大胆な志 3 この段階では、検討すべき要素は原体験と大胆な志の二つ です。 自分の経験又は他者の経験に深く共感することが原体験と なり、大胆な志を生み出すための種となる。 ただしこの段階では原体験を具体的に分かりやすく語るこ とは必ずしもできないことは多くの場合ある。 原体験から見出された種から導かれる漠然とした違和感に 向き合い、世の中がこうあったらいいという「生み出した い社会の状態」を描く。 「生み出したい社会の状態」を具現化するために「人々 (ユーザー)に求める行動変容(どんな行動を取って欲し いか)」を描く。 ※「生み出したい社会の状態」と「人々に求める行動変 容」を併せて志。 志にアイデアが含まれる場合もあるが、この時点では具体 性はなく、絵に描いた餅の状態。 まだビジネス化することは明確に意識されない場合が多い。
  • 158. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 原体験 市場・業界 顧客(価値) アイデア (大胆さ) サプライ チェーン 2 1 2 4 1 アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索 財務的成長 1 組織基盤 1 ストーリー 2 1 1 1 1 もやもや期 1 1 プロダクト (成長) 11 大胆な志 43 アイデア期は、検討すべき要素が4つに増える。 大胆な志(大志)をさらに具体化する。 大志を実現するにはありきたりのアイデアでは太刀打 ちできない。「全く新たな価値を、全く新たな方法で 実現するアイデア」を生み出す。 この段階では顧客にとっての価値よりも、アイデアの 大胆さが上回る(顧客の価値が熟知されていないから こそ、アイデアが仮説的に大胆にできる)。 もちろん、世界は自分が変えるのではなく顧客が変え るのであり、顧客の立場に立って「誰のためのアイデ アなのか」を意識し(顧客価値を意識する)、その人 物が抱える矛盾した極めて困難な課題を把握する。 ※極めて困難な課題を問いてこそスタートアップ (アントレプレナーは、課題からではなく、志から入 り、志という鳥の目から、顧客の課題という虫の目に 降りてくる) この段階では市場・業界も見なくていい。 サプライチェーンが成り立つかどうか、財務的成長も 組織成長も全く意識する必要はない。 この段階での「儲けは?」は重要ではない。
  • 159. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 原体験 市場・業界 顧客(価値) アイデア (大胆さ) サプライ チェーン 2 1 2 4 1 アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索 3 2 3 3 2 財務的成長 1 1 組織基盤 1 1 ストーリー 2 1 1 1 1 もやもや期 1 1 プロダクト (成長) 1 21 大胆な志 4 43 検討すべき要素が一気に7つに増える。 顧客価値を検証し(顧客の購買理由を 解像度高く把握する)、購買理由に基 づいて、大胆なアイデアの現実度を上 げる(この段階では、顧客が求める価 値が具体的に把握され、それに伴い不 要な要素を削ぎ落とすことでアイデア の大胆さは下がる)。 同時に市場・業界の視点も持ち、市 場・業界が抱えるどのような欠陥を修 正するのかが明らかになる。 アイデアをどのようなプロダクトに具 体化するのかが見え始める。 なぜやるのかという自分自身の動機が 徐々に明確化してくる。 持続性を担保するサプライチェーンが 構想としては描かれ始める。 収益のあげ方や、組織の拡張はまだ具 体化しない。
  • 160. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 原体験 市場・業界 顧客(価値) アイデア (大胆さ) サプライ チェーン アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索 3 3 4 2 2 4 4 4 2 3 財務的成長 2 3 組織基盤 1 2 ストーリー もやもや期 プロダクト (成長) 3 3 大胆な志 4 4 4 4 4 2 4 4 4 4 4 この段階では、なぜやるのかという自分 の動機も深まっていく。 顧客の価値とそれを欲する顧客の購買理 由がよりクリアに把握され、当初の大胆 な仮説であったアイデアが不要な要素が 引き算され、またユーザーにとっての既 視度を上げたアイデアに変わる。 市場・業界を洞察することで市場適応の 方向性が見えてくる。 参入する市場・業界が具体化されること で、アイデアの具体化=プロダクト化が 進む。アイデアを製品・サービスのカタ チに具体化するプロダクト開発に邁進し プロダクトが仕上がってくる。 スケールを担保するサプライチェーンの 仮説が具体化する。 収益のあげ方は仮説的に構築される。 組織の拡張は引き続きまだ検討されない。
  • 161. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 原体験 市場・業界 顧客(価値) アイデア (大胆さ) サプライ チェーン アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索 4 4 4 2 3 財務的成長 3 組織基盤 2 ストーリー もやもや期 プロダクト (成長) 3 大胆な志 4 4 4 4 2 4 4 4 4 4 まず、リリースしてみなければ市場・業界の本当の動 き・反応は分からないと心得、リリースする。 プロダクトを完璧に仕上げてから市場・業界に投入しよ うとすると確実に後手に回ってしまうことと、反応は投 入しなければ分からないため、プロダクトの成熟度は3 の状態でリリースする。 リリース直後に、事業を伸ばすために操作すべき事業ド ライバーを掴む。 市場・業界の反応を踏まえて4Pを市場・業界に適合す るように改良し、次の段階のグロース模索期においてリ ソースを投入することで一気に成長させられる土台を整 える。 スケールアップの模索期であるため、スケールを担保す るサプライチェーンの幅出しと実験を繰り返す。 財務的見通が具体化し、組織拡張が図られる。
  • 162. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 原体験 市場・業界 顧客(価値) アイデア (大胆さ) サプライ チェーン アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索 財務的成長 組織基盤 ストーリー もやもや期 プロダクト (成長) 大胆な志 4 4 4 2 4 4 4 4 4 大胆な仮説であったアイデアが、洗練された プロダクトに転換し、業界・市場に浸透していく。 事業の持続性を高めるためのサプライチェーンが確立さ れてくる。 収益見通しのさらなる具体化と組織拡張の継続が図られ る。 事業資産を活用した法人向けサービス展開のモデルが模 索される。 (モデル確立はもっと先)
  • 163. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. ストーリー構成要素別に 横に見ていくと
  • 164. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 原体験 市場・業界 顧客(価値) アイデア (大胆さ) サプライ チェーン 2 アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索 3 3 4 財務的成長 組織基盤 ストーリー 2 もやもや期 プロダクト (成長) 大胆な志 4 自分の経験又は他者の経験に深く共感することが原体験となり、大胆な志を 生み出すための種となる。 ただしこの段階では原体験を具体的に分かりやすく語ることは必ずしもでき ないことは多くの場合ある。(もやもや期からアイデア期では2) プレシード期において顧客の課題を把握し、何が価値になるのかを探索する 過程で、顧客を通して言語化されていなかった自分がなすべきことが見えて くる。顧客の課題が自分の内側からの動機と重なってくる。(2から3へ) ※自分の課題なのか顧客の課題なのか判別できなくなる瞬間がくる シード期(リリース前)において、より価値がフィットする顧客を発見する ことにより、自分自身がなすべきことの意義を深めていく。 シード期(リリース後)以降では、目の前の顧客が変化することで、自分の 動機が確固たるものへと昇華していく。(3から4へ)
  • 165. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 原体験 市場・業界 顧客(価値) アイデア (大胆さ) サプライ チェーン 1 1 2 4 1 アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索 2 2 3 3 2 3 3 4 2 2 4 4 4 1 3 財務的成長 1 1 2 3 組織基盤 1 1 1 2 ストーリー 1 1 1 1 1 もやもや期 1 1 プロダクト (成長) 1 2 3 31 大胆な志 4 4 4 43 4 4 4 1 4 4 4 4 4 もやもや期において、漠然とした違和感に向き合い、「生み出したい社 会の状態」とそれを具現化するための「人々(ユーザー)に求める行動 変容(どんな行動を取って欲しいか)」を描く(3) アイデア期において、大胆な志を、人々が高揚する内容・表現に昇華さ せる(3から4) プレシード期及びシード(リリース前)では、軸をぶらさないために、 志に立ち返る機会を設ける。 シード(リリース後)では、対外発信において主に、大胆な志を訴求す る。 グロース模索期では、規模拡大に伴い「本当に何がしたかったのか」とい う原点回帰を求められるタイミングが到来する際、振り返る軸となる。
  • 166. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 原体験 市場・業界 顧客(価値) アイデア (大胆さ) サプライ チェーン 1 1 2 4 1 アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索 2 2 3 3 2 3 3 4 2 2 4 4 4 2 3 財務的成長 1 1 2 3 組織基盤 1 1 1 2 ストーリー 1 1 1 1 1 もやもや期 1 1 プロダクト (成長) 1 2 3 31 大胆な志 4 4 4 43 4 4 4 2 4 4 4 4 4 もやもや期に曖昧であったアイデアは、アイデア期に過去の常識を覆し不 合理なアイデアへと大胆さを上げる。(1から4へ) プレシード期で顧客の課題を把握し、何が価値になるのかを探索すること により、大胆なアイデアが大胆さを削ぎ落とし(もちろん良い意味で)、 価値に基づいて現実的なアイデアに転化する(大胆さが4から3へ) シード期(リリース前)では、ユーザーが「あ、知っている」という要素 を加えることで既視度を上げていく。(大胆さは残しつつ対象が最適化さ れる)(3から2へ) シード期(リリース後)では、市場の反応を踏まえて4Pを練り直すことで、 アイデアとしての市場適応度を高めていく(大胆さは残しつつ現実性を上 げていく)
  • 167. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 原体験 市場・業界 顧客(価値) アイデア (大胆さ) サプライ チェーン 1 1 2 4 1 アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索 2 2 3 3 2 3 3 4 2 2 4 4 4 1 3 財務的成長 1 1 2 3 組織基盤 1 1 1 2 ストーリー 1 1 1 1 1 もやもや期 1 1 プロダクト (成長) 1 2 3 31 大胆な志 4 4 4 43 4 4 4 1 4 4 4 4 4 もやもや期は、漠とした「世の中をこうしたい」という状態であり、誰の ためのビジネスであるのかは明瞭ではない。(1の段階) アイデア期には、「誰のためのアイデアか」を意識する(解決できるかど うかは意識せず、矛盾した極めて困難な課題を設定する)。(1から2へ) ※極めて困難な課題に挑戦してこそスタートアップである プレシード期には、顧客の課題を具体的かつ詳細に把握し、何が価値にな るのか(さらに価値を欲する理由=購買理由は何か)を探索することによ り、顧客への認識を高める。(2から3へ) シード期(リリース前)では、一人の人として対象にしたい顧客が、ビジ ネス上の顧客に変わる。(3から4へ)
  • 168. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 原体験 市場・業界 顧客(価値) アイデア (大胆さ) サプライ チェーン 1 1 2 4 1 アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索 2 2 3 3 2 3 3 4 2 2 4 4 4 1 3 財務的成長 1 1 2 3 組織基盤 1 1 1 2 ストーリー 1 1 1 1 1 もやもや期 1 1 プロダクト (成長) 1 2 3 31 大胆な志 4 4 4 43 4 4 4 1 4 4 4 4 4 根本的には、市場・業界が持つ構造・問題が、顧客の不(願望が満たされていない状 態)を生み出している。しかし、最初から市場・業界を相手に洞察を始めると、砂漠の 砂を掴む状態となる。まず顧客が抱える課題から入り、顧客が抱える課題が生じる背景 としての市場・業界の構造を洞察する。(顧客課題への深まりの後に市場・業界洞察を 行う)このため、顧客への認識が深まったプレシード期以降に、市場/業界への洞察を 深める。(プレシード期に1から2へ) シード期(リリース前)では、競争モードに突入する。市場・業界洞察結果を用いて、 競争に勝利しうる参入すべき市場セグメントを具体化する。(2から3へ) シード期(リリース後)では、市場のリアルな反応を洞察し4Pを見直す。(3から4へ)
  • 169. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 原体験 市場・業界 顧客(価値) アイデア (大胆さ) サプライ チェーン 1 1 2 4 1 アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索 2 2 3 3 2 3 3 4 2 2 4 4 4 1 3 財務的成長 1 1 2 3 組織基盤 1 1 1 2 ストーリー 1 1 1 1 1 もやもや期 1 1 プロダクト (成長) 1 2 3 31 大胆な志 4 4 4 43 4 4 4 1 4 4 4 4 4 具体的にどのようなプロダクトにしていくかは、アイデア期まで具体的には見えない (成長度は1) プレシード期では、アイデアを製品・サービスのカタチへと具体化し、顧客の課題と プロダクトの適合を図る。(1から2へ) シード期(リリース前)で、どの市場に参入するのかを検討し、対象市場・業界に焦 点をあてた上でプロダクト開発に邁進。プレシード期までは渾然一体として開発して いたプロダクトが4Pのカタチに具体化される。結果、製品・サービスとして具体化さ れ、仕上がってくる(2から3へ) シード期(リリース後)では、まずリリースする。リリースしなければ本当の市場・ 業界の反応は分からない。その反応を踏まえて4Pを最適化する。 グロース模索段階で、蓄積された事業資産を用いて法人向けの展開を模索していく。 (3から4へ)
  • 170. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 原体験 市場・業界 顧客(価値) アイデア (大胆さ) サプライ チェーン 1 1 2 4 1 アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索 2 2 3 3 2 3 3 4 2 2 4 4 4 1 3 財務的成長 1 1 2 3 組織基盤 1 1 1 2 ストーリー 1 1 1 1 1 もやもや期 1 1 プロダクト (成長) 1 2 3 31 大胆な志 4 4 4 43 4 4 4 1 4 4 4 4 4 アイデア期までは、そのアイデアがどうユーザーに価値をもたらすのかを 検討するだけでよい。(供給体制は未検討で進む) しかし、市場投入を検討する段階から、「市場に受け入れられるか」に加 えて「どのように持続的に市場に投入できるか(供給体制をどう組み立て るか)」を考え始める必要がある(プレシード期とシード(リリース前) で1から2へ) シード期(リリース後)では、製品サービスを持続的に提供する供給者が、 自動的に供給を続けてくれる限界費用ゼロサプライチェーンを構築してい く。
  • 171. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 原体験 市場・業界 顧客(価値) アイデア (大胆さ) サプライ チェーン 1 1 2 4 1 アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索 2 2 3 3 2 3 3 4 2 2 4 4 4 1 3 財務的成長 1 1 2 3 組織基盤 1 1 1 2 ストーリー 1 1 1 1 1 もやもや期 1 1 プロダクト (成長) 1 2 3 31 大胆な志 4 4 4 43 4 4 4 1 4 4 4 4 4 財務的成長は、マーケットフィット後に現実的な見通しが立つ。(シー ド期(リリース前)にマーケットフィットを図る) それ以前に見通しを立てると、財務見通しにしばられた事業創造になる ため、それは回避したい。 獲得した事業資産を活用した法人向け展開による新たな収益源を模索。
  • 172. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 原体験 市場・業界 顧客(価値) アイデア (大胆さ) サプライ チェーン 1 1 2 4 1 アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索 2 2 3 3 2 3 3 4 2 2 4 4 4 1 3 財務的成長 1 1 2 3 組織基盤 1 1 1 2 ストーリー 1 1 1 1 1 もやもや期 1 1 プロダクト (成長) 1 2 3 31 大胆な志 4 4 4 43 4 4 4 1 4 4 4 4 4 組織的成長は、シード期(リリース後)までは3-5人規模であり、拡 大路線に転じるまでは最小限の人員で過度な役割分担なく進めるべ きである。 リリース後に5人から10人へ、グロース段階でようやく10人を超えて くる。
  • 173. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. プロセス別 陥りやすい状態
  • 174. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 特に日本人は、違和感に正直になり、集団の中で違和感を飲み込むことなく表 出するというプロトコル(行動様式、行動を支える強み)は育っていない。こ のため、日常的に遭遇する膨大な違和感は、ぐっと飲み込む、又は意識せずに 過ごすことになる。 結果、違和感に立ち向かう行動につながらない。 Through   the   Discomfort アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索もやもや期 Express the Discomfort AmbitionWild Idea Extremely-difficult Issue Exploring GrowthProduct Market Fit Product Evolution Value Problem Solution Fit Product Development Product Market Fit Supply chain Exploring Scale up
  • 175. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 市場を見ることで、市場の流れに迎合することになり、ワイルドなアイデアが 生み出せない。顕在課題に着目してしまい、矛盾した極めて困難な課題に挑戦 するという機会を自ら手放す。周囲もワイルドアイデアに対して拒絶反応を示 し、アイデアを生み出す本人も拒絶反応をかいくぐることなく萎縮していく。 Through   the   Discomfort アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索もやもや期 Express the Discomfort AmbitionWild Idea Extremely-difficult Issue Exploring GrowthProduct Market Fit Product Evolution Value Problem Solution Fit Product Development Product Market Fit Supply chain Exploring Scale up Not Wild
  • 176. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 顕在ニーズばかりに着目し、外側は出来ているけれど、内側が空洞化したビジネス (側の価値はあるが真ん中の価値がないビジネス)が出来上がる。 顕在ニーズとは、既に見えているユーザーが抱える課題であり、手間をかければ解 けるという性質を持つ。手間をかければ解ける課題が解決したとしても大きな価値 にはならない。顧客が強く解いて欲しい課題とプロダクトが適合しない。 この段階で把握すべき顧客が価値を欲する理由=購買理由が解像度高く把握出来て いない。 Through   the   Discomfort アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索もやもや期 Express the Discomfort AmbitionWild Idea Extremely-difficult Issue Exploring GrowthProduct Market Fit Product Evolution Value Problem Solution Fit Product Development Product Market Fit Supply chain Exploring Scale up Not Wild Not  Great   Value Not  Fit
  • 177. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 端的に言うとキャズムに陥る可能性を残す。もともと設定していた対象ユーザーへ のこだわりを持ちすぎる、初期のアイデア(価値実現の手段に過ぎないものという 捉え方を敢えてする)にこだわりすぎ手放せない、という「こだわり」が市場適応 を阻んでいく。業界洞察力の不足が要因となり、適応市場が発見できない。また、 購買理由の解像度が低いため、顧客が欲するシーンを生み出せない。結果、適応市 場に向けたプロダクト開発が滞る。 同時に業界洞察が弱い場合、競争相手が見えず、競争に敗北する。 Through   the   Discomfort アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索もやもや期 Express the Discomfort AmbitionWild Idea Extremely-difficult Issue Exploring GrowthProduct Market Fit Product Evolution Value Problem Solution Fit Product Development Product Market Fit Supply chain Exploring Scale up Not Wild Not  Great   Value Not  Fit Not  Market-‑ Fit Not  Evolution
  • 178. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 4Pが市場の求めるもの、受け取りやすい形状からギャップがあり4Pが市場と適合し ない。プロダクトが合わない、価格が合わない、チャネルが適合していない、プロ モーションが効かないのいずれかまたは全て。価格が市場の求める価格とミスマッ チしている場合が多い。また、チャネル(販路)開拓がボトルネックとなることも 多い。 4Pマッチの後、いかにスケールアップさせるか。スケーラブルな供給体制が成立し ない。たかが人数、されど人数。5−10人は必要であるが、人員が確保できず重要な ところに手が回らない。 Through   the   Discomfort アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索もやもや期 Express the Discomfort AmbitionWild Idea Extremely-difficult Issue Exploring GrowthProduct Market Fit Product Evolution Value Problem Solution Fit Product Development Product Market Fit Supply chain Exploring Scale up Not Wild Not  Great   Value Not  Fit Not  Fit No  Supply   Chain Not  Market-‑ Fit Not  Evolution
  • 179. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. これまでの事業展開で獲得した資産を活用し、法人向けサービス展開を図るタイミ ングであるが、法人との協業によるWin-Win事業モデルを描くことができない。法 人向けサービス展開モデルが描けず、またそのため新たな収益モデルも確立できな い。 組織体制が未拡充となりストレッチがかけられない。組織人員拡充が図られた後に マネジメントが追いつかず組織崩壊する場合もある。 Through   the   Discomfort アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索もやもや期 Express the Discomfort AmbitionWild Idea Extremely-difficult Issue Exploring GrowthProduct Market Fit Product Evolution Value Problem Solution Fit Product Development Product Market Fit Supply chain Exploring Scale up Not Wild Not  Great   Value Not  Fit Not  Fit No  Supply   Chain Not  Go   well Not  Market-‑ Fit Not  Evolution
  • 180. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索もやもや期 プロセス別:鍵となること Express the Discomfort AmbitionWild Idea Extremely-difficult Issue Exploring GrowthProduct Market Fit Product Evolution Value Problem Solution Fit Product Development Product Market Fit Supply chain Exploring Scale up 違和感を直視し 言語化する。 生み出したい社 会と求める人々 の行動変容を描 く 志を掘り下げる。 極めて困難な課題 を見出す。 大胆なアイデアに 昇華する 顧客の課題を掘 り下げ、価値を 見出す。 価値を欲する理 由=購買理由を 解像度高く把握 する。 アイデアと購買 理由をフィット させる 市場適応と プロダクト開発へ の邁進。 4Pと利益モデルの 構築 本格的市場適応。 STP/4P最適化。 販路拡大を模索。 限界費用ゼロサ プライチェーン 模索。 法人への展開 を模索
  • 181. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. Part1-第2章の振り返り ・一定のスケールを実現するまで(Exit期以前)には、もやもや期、アイデア 期、プレシード期、シード期(リリース前)、シード期(リリース後)、グ ロース模索期の6つのプロセスがある ・ビジネスはストーリーのように発展していく。ストーリー構成要素には9つ ある。 ①原体験 ②大胆な志 ③アイデア(大胆さ) ④顧客(価値) ⑤市場・業界 ⑥プロダクト(成長)、 ⑦サプライチェーン ⑧財務的成長 ⑨組織的成長 ・ストーリー構成要素を最初から精度高く検討することなど困難であり、また その必要はない(最初から全ての登場人物は現れない)
  • 182. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved.Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 3.もやもや期 “生み出したい社会の状態と求める人々の行動変容を描く”
  • 183. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索もやもや期 Through  the   Discomfort アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索もやもや期 Express the Discomfort AmbitionWild Idea Extremely-difficult Issue Exploring GrowthProduct Market Fit Product Evolution Value Problem Solution Fit Product Development Product Market Fit Supply chain Exploring Scale up Not Wild Not  Great   Value Not  Fit Not  Fit No  Supply   Chain Not  Go   well Face Discomfort Not  Market-‑ Fit Not  Evolution
  • 184. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 原体験 市場・業界 顧客(価値) アイデア (大胆さ) サプライ チェーン アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索 財務的成長 組織基盤 ストーリー 2 1 1 1 1 もやもや期 1 1 プロダクト (成長) 1 大胆な志 3 この段階では、検討すべき要素は原体験と大胆な志の二つ です。 自分の経験又は他者の経験に深く共感することが原体験と なり、大胆な志を生み出すための種となる。 ただしこの段階では原体験を具体的に分かりやすく語るこ とは必ずしもできないことは多くの場合ある。 原体験から見出された種から導かれる漠然とした違和感に 向き合い、世の中がこうあったらいいという「生み出した い社会の状態」を描く。 「生み出したい社会の状態」を具現化するために「人々 (ユーザー)に求める行動変容(どんな行動を取って欲し いか)」を描く。 ※「生み出したい社会の状態」と「人々に求める行動変 容」を併せて志。 志にアイデアが含まれる場合もあるが、この時点では具体 性はなく、絵に描いた餅の状態。 まだビジネス化することは明確に意識されない場合が多い。
  • 185. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索もやもや期 テーマ 違和感に向き合い、大胆な志を持つ
  • 186. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索もやもや期 もやもや期の流れ 違和感に 向き合う 大胆な志を 持つ 大胆な志:生み出したい社会の状態とそ のために人々に求める行動変容 違和感:自分の中でのあるべき像と実態 としての社会がズレる感覚
  • 187. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索もやもや期 もやもや期の流れ 違和感に 向き合う 大胆な志を 持つ 大胆な志:生み出したい社会の状態とそ のために人々に求める行動変容 違和感:自分の中でのあるべき像と実態 としての社会がズレる感覚
  • 188. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索もやもや期 違和感とは、 「自分の中でのあるべき像と 実態としての社会がズレる感覚」
  • 189. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索もやもや期 違和感には、 「現在感じている違和感」と 「過去感じたことのある違和感」がある。 いずれの違和感でもよく、 違和感に向き合い志につなげていく
  • 190. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. 「(妻が長時間かけて税務申告し ている姿を見て) なぜ税務申告に 30時間もかかるのか」 Intuit Founder スコット・クック (米会計ソフトウェア最大手Intuit創業者)
  • 191. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索もやもや期 実績あるアントレプレナーも、 スタートポイントは違和感から始まる。
  • 192. Copyright (c) Takahiro Yamaguchi All rights reserved. アイデア期 プレシード シード (リリース前) シード (リリース後) グロース模索もやもや期 しかし ほとんどの場合、違和感は表出されることなく 自分の中で飲み込むことになる (我慢する、言い出さない)