7. 2015/10/27
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これまで、多く書かれていたのが、「エビデンスレベル」という用語です。これは、厳密に
は、間違ってないのですが、ほとんどが、誤解されて使われているので、本邦では、
99.9%が間違っていると思って良いでしょう。間違いのポイントは、2点あります。
1. 「研究デザイン」のみで分類して、たとえば、どれだけいい加減に作られたランダム
化比較試験でも、RCTだからというだけで、エビデンスレベルを高くする間違いをし
ていました。
2. エビデンスは、必ず、都合のよい論文のみにしないため、body of evidenceとし
て、まとめたエビデンスを利用すべきです。そして、そのエビデンスの確信性を評価
します。
よって、個々の論文に、「エビデンスレベル」をつけません。
たとえば、「Yuasa 2015(エビデンスレベル 1a)」などの書き方の多くは間
違っています。もっとも、言葉を定義して、2015年で「Individual Study Level Quality: No.
of Studies With Each Quality Ratinga」として、risk of biasを示しているCPGもある。
• 都合のよい論文と都合のよいアウト
カムを使わないこと
• エビデンスの質を研究デザインのみ
で決定せずに、その研究が適切に行
われたか、研究間に違いがなかった
かなどを考慮すること
• 利益のエビデンスのみで推奨を決め
ずに、利益と害のバランス、患者の
負担についても考慮すること
3 原則 EBMの3原則と同じなので、一緒に勉強できる!
確信性の程度(エ
ビデンスの質)が大
きい
5.60 Body of
evidenceである利
益に対するメタ分析
の効果推定値が大
きい
しかし、
「エビデンス」の「システマティックレビュー」と「複数の治療選択肢」の「利益と
害の評価」に基づいて「患者ケアを最適化」するための「エビデンスの確信性
の程度」と「推奨」を含む文書である。
もちろん、エビデンスに基づくのが原則ですが・・・
利益のエビデンスのみで判断して良いのか?
確信性の程度(エ
ビデンスの質)が大
きい
5.60 Body of
evidenceである利
益に対するメタ分析
の効果推定値が大
きい
しかし、害などがあれば・・・
Haynes RB, BMJ
2002;324:1350
想定する読者である
医療者の臨床経験
エビデンスの確信性の程度
利益 と害のバランス
価値と好み
資源・コスト
いろいろな要因で、医療消費者も含めた議論を行い、
推奨の程度を決定します
できれば、患者の好みなども、単なる意見でなく、好みを調査したエビデンスが望ましい
そして、本来は、連続している推奨度を、わかりやすくするため
「強い・弱い」に、診療ガイドラインパネル会議で合議します。
EBMのコンセプトで考案されている診療ガイドライン作成方法
• GRADE:GRADEアプローチ<最も普及している>
• USPSTF:米国予防医学専門委員会<予防系が一部採用か>
• AHA:米国心臓協会<基本的に、AHAのみ>
• Minds 2014<日本の一部のみ>
EBMのコンセプトで考案されていない診療ガイドライン作成方法
• Minds 2007(level of confidence は、私案)
Do not offer the
intervention
Quality of evidence
GRADE
Strong Against
4 levels (high, moderate,
low, very low)
USPSTF
Grade D
USPSTF
Grade B
USPSTF
Grade A
3 levels (high, moderate,
low)
AHA
Class III
AHA
Class IIa
AHA
Class I
3 levels (A, B, C)
(JAMA-UG3eより改変)
Minds 2014 Minds 2014
行わないことを推奨する
Minds 2007
D C2 C1 B A
Level of Confidence
Individualized decisions
Offer the intervention to
all or almost all
GRADE
Weak Against
GRADE
Weak in Favor
GRADE
Strong in Favor
USPSTF
Grade I
USPSTF
Grade C
AHA
Class IIb
行うことを推奨する
行わないことを弱く推奨する
行うことを推奨する
Minds 2007:使用は望ましくないが、現在も同じコンセプトのCPGが多いので記載