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救急ジェネラルカンファレンス第2回
⼀過性意識障害,失神
聖路加国際病院
救命救急センター
Ver.2.0 (Last updated Feb.15.2016)
l  意識障害の持続が短く, かつ意識が⾃然に回復するもの
l  秒〜分の単位の持続時間を “⼀過性” とすることが多い
l  ①失神と②⾮失神発作の2つに分類
⼀過性意識障害の定義
T-LOC:Transient Loss of Consciousness
失神 ⾮失神発作
⼀過性意識障害の診療の第⼀歩は,失神と⾮失神発作を鑑別する
ことである。そして, 失神と判断したらその原因を鑑別する。失神
の原因は, 予後良好な神経調節性失神から予後不良の⼼原性失神
まで多岐にわたり,⾼リスクの失神を⾒逃さないことが重要である。
⾎圧低下に伴う
全脳の⾎流低下による
てんかん, 脳⾎管障害,
代謝性疾患, 精神科疾患等
失神の診断・治療ガイドライン(2012 年改訂版)
Point!
⼀過性意識障害の疫学
l  失神は年間0.6%でみられる(救急外来受診の1-5%)
Circulation 2004 Dec 14:110(24)3636-3645
失神の診断・治療ガイドライン(2012 年改訂版)
⼀過性意識障害の原因 割合
神経介在性失神 安全なことが多い 21.2%
⼼原性失神 危険! 9.5%
起⽴性低⾎圧 9.4%
薬剤性失神 6.8%
てんかん ⾮失神症候群! 4.9%
脳⾎管疾患(中枢性失神) 4.1%
l  失神の原因による事後予測(25年間での死亡率)
N Eng J Med. 2002 Sep 19:347(12):878-885
–  ⼼原性 >>脳⾎管疾患>起⽴性低⾎圧>薬剤性>神経介在性
N Engl J Med. 2002 Sep 19:347(12):878-885
⼀過性意識障害
失神 ⾮失神発作
⼼原性失神のリスク分類
⾼リスク群
低リスク群
(再発)
低リスク群
(初発)
失神の診断・治療ガイドライン
(2012 年改訂版)より⼀部改訂
Historical Criteriaによる
失神と⾮失神発作の鑑別
まずは⼼原性失神の除外
次に起⽴性低⾎圧の除外
Active standing test
必要なら神経調節性失神の除外
Head Up Tilt や 頚動脈洞マッサージ
早期検査
循環器コンサルト
精査不要
帰宅
(中枢性失神は稀)1
2 3
•  バイタルサイン
•  12誘導⼼電図
•  病歴聴取
•  ⾝体所⾒(外傷も!!)
•  基本検査
初期評価
⼀過性意識障害の診断アルゴリズム
⼀過性意識障害
失神 ⾮失神発作
⼼原性失神のリスク分類
⾼リスク群
低リスク群
(再発)
低リスク群
(初発)
失神の診断・治療ガイドライン
(2012 年改訂版)より⼀部改訂
Historical Criteriaによる
失神と⾮失神発作の鑑別
まずは⼼原性失神の除外
次に起⽴性低⾎圧の除外
Active standing test
必要なら神経調節性失神の除外
Head Up Tilt や 頚動脈洞マッサージ
早期検査
循環器コンサルト
精査不要
帰宅
(中枢性失神は稀)1
2 3
•  バイタルサイン
•  12誘導⼼電図
•  病歴聴取
•  ⾝体所⾒(外傷も!!)
•  基本検査
初期評価
⼀過性意識障害の診断アルゴリズム
Point!
初期評価
6
•  失神患者は軽微な外傷 14­29%, ⾻折や事故 6­11%を伴う
Medicine.1990 May,69(3):160­75 / Eur Heart J. 2006 Jan; 27(1):76-82
•  再発は21­28%にみられる
N Engl J Med 2002 Sep 19; 347(12);878-85
•  病歴・⾝体所⾒・⼼電図で失神の64.7%が
原因確定に結びつく
Arch Intern Med 2001 Aug13-27;161(15):1889-1895
•  失神の原因が12誘導⼼電図で判明するのは5%のみ
N Engl J Med 2002 Sep 19; 347(12);878-85
l  兎にも⾓にも 病歴聴取が重要!
l  ¼にみられる外傷と¼にみられる再発に注意
l  バイタル測定と12誘導⼼電図検査は全例⾏う
⼀過性意識障害
失神 ⾮失神発作
⼼原性失神のリスク分類
⾼リスク群
低リスク群
(再発)
低リスク群
(初発)
失神の診断・治療ガイドライン
(2012 年改訂版)より⼀部改訂
Historical Criteriaによる
失神と⾮失神発作の鑑別
まずは⼼原性失神の除外
次に起⽴性低⾎圧の除外
Active standing test
必要なら神経調節性失神の除外
Head Up Tilt や 頚動脈洞マッサージ
早期検査
循環器コンサルト
精査不要
帰宅
(中枢性失神は稀)1
2 3
•  バイタルサイン
•  12誘導⼼電図
•  病歴聴取
•  ⾝体所⾒(外傷も!!)
•  基本検査
初期評価
⼀過性意識障害の診断アルゴリズム
⼀過性意識障害
失神 ⾮失神発作
⼼原性失神のリスク分類
⾼リスク群
低リスク群
(再発)
低リスク群
(初発)
失神の診断・治療ガイドライン
(2012 年改訂版)より⼀部改訂
Historical Criteria
による失神と⾮失神発作の鑑別
まずは⼼原性失神の除外
次に起⽴性低⾎圧の除外
Active standing test
必要なら神経調節性失神の除外
Head Up Tilt や 頚動脈洞マッサージ
早期検査
循環器コンサルト
精査不要
帰宅
(中枢性失神は稀)1
2 3
•  バイタルサイン
•  12誘導⼼電図
•  病歴聴取
•  ⾝体所⾒(外傷も!!)
•  基本検査
初期評価
⼀過性意識障害の診断アルゴリズム
Point!
Historical Criteria (失神vs痙攣)
合計点数 ≧1点 痙攣, < 1点 失神 点数
⾆咬傷
混迷・異常体位・四肢の痙攣様運動
情動的ストレスを伴う意識消失
発作後昏睡
意識消失後に頭部が⽚⽅に引っ張られる
Déjà vuなどの前駆症状
失神感
⻑時間の座位・⽴位での意識消失
発作前の発汗
2点
1点
1点
1点
1点
1点
−2点
−2点
−2点
•  Criteriaの 感度94% 特異度94%
J Am Coll Cardiol 2002;40:142-8
•  Lac>2.5mmol/lは全般性けいれんで 感度73% 特異度94%
•  意識消失3時間後のCK上昇は 感度80% 特異度94%
•  NH3↑はてんかん発作の68%に認められる。平均7.8時間で
250μg/dlから47μg/dlに低下する
epilepsia 2011 Nov;52(11):2043-2049,J Gen Intern Med :1991 sep-oct;6(5):408-412
⼀過性意識障害
失神 ⾮失神発作
⼼原性失神のリスク分類
⾼リスク群
低リスク群
(再発)
低リスク群
(初発)
失神の診断・治療ガイドライン
(2012 年改訂版)より⼀部改訂
Historical Criteriaによる
失神と⾮失神発作の鑑別
まずは⼼原性失神の除外
次に起⽴性低⾎圧の除外
Active standing test
必要なら神経調節性失神の除外
Head Up Tilt や 頚動脈洞マッサージ
早期検査
循環器コンサルト
精査不要
帰宅
(中枢性失神は稀)1
2 3
•  バイタルサイン
•  12誘導⼼電図
•  病歴聴取
•  ⾝体所⾒(外傷も!!)
•  基本検査
初期評価
⼀過性意識障害の診断アルゴリズム
⼀過性意識障害
失神 ⾮失神発作
⼼原性失神のリスク分類
⾼リスク群
低リスク群
(再発)
低リスク群
(初発)
失神の診断・治療ガイドライン
(2012 年改訂版)より⼀部改訂
Historical Criteriaによる
失神と⾮失神発作の鑑別
まずは⼼原性失神の除外
次に起⽴性低⾎圧の除外
Active standing test
必要なら神経調節性失神の除外
Head Up Tilt や 頚動脈洞マッサージ
早期検査
循環器コンサルト
精査不要
帰宅
(中枢性失神は稀)1
2 3
•  バイタルサイン
•  12誘導⼼電図
•  病歴聴取
•  ⾝体所⾒(外傷も!!)
•  基本検査
初期評価
⼀過性意識障害の診断アルゴリズム
失神のリスク別分類≒⼼原性失神
⾼リスクの失神を⽰唆する因⼦
•  ⼼電図異常 しっかりと⼼電図を読むことが⼤事!
•  ⼼原性失神を疑う病歴・所⾒がある
•  前駆症状なし
•  胸痛・動悸あり
•  運動中に発症
•  臥位で発症
•  器質的⼼疾患の既往
•  突然死の家族歴
•  ⾼齢
•  バイタル異常(BP↓HR↓SpO2↓)
•  ⾎液検査異常(Hb↓, BNP↑, 電解質異常)
失神の診断・治療ガイドライン
(2012 年改訂版)
l  失神の原因による事後予測
N Eng J Med. 2002 Sep 19:347(12):878-885
–  ⼼原性 >>脳⾎管疾患>起⽴性低⾎圧>薬剤性>神経介在性
危険!
失神のリスク別分類≒⼼原性失神
不整脈による失神と診断可 不整脈による失神を⽰唆
•  3度房室ブロック
•  2度房室ブロック(MobitzⅡ型)
•  QT延⻑, QT短縮があり
多形性の⾮持続性⼼室頻拍(TdP)
•  持続する洞性徐脈
•  ⼼室頻拍, 発作性上室性頻拍
•  左右交代脚ブロック
•  ⼼停⽌をきたすPM, ICD不全
•  WPW症候群
•  QT延⻑, QT短縮
•  Brugada症候群
•  不整脈源性右室⼼筋症(ARVC, ARVD)
•  2束ブロック (左脚, 右脚+左脚前枝or後枝)
•  ⼼室内伝導遅延 (QRS幅≧0.12秒)
•  2度房室ブロック (MobitzⅠ型)
•  無症候性洞性徐脈<50/分
•  洞房ブロック, 洞停⽌<3秒 (薬剤なし)
•  ⼼筋梗塞を⽰唆するQ波
失神の診断・治療ガイドライン
(2012 年改訂版)
ERでの検査①
WPW症候群Brugada症候群
①  PQ間隔短縮 ≦ 3mm
②  デルタ波
③  QRS wide ≧ 3mm
①  右脚ブロック様波形
②  V1−3 で ST上昇
Saddle back型 と Cove型
QT延⻑症候群
①  QTc = QT/√RR
(0.35〜0.44が正常)
②  T波終点が RRの1/2を
越えていればQT延⻑
ARVD/ARVC
①  V1-3 で QRS終点 に ε波
(⼩さな上向きのこぶ)
②  V1-3 で T波陰転化
3度房室ブロック
①  P波とQ波の連続性なし
②  P波とQ波が独⽴
③  PP間隔 < RR間隔
①  正常で規則的なP波
②  PQ時間は 徐々に延⻑
③  QRSが 間⽋的に⽋落
2度房室ブロック
MobitzⅡ型
⼀過性意識障害
失神 ⾮失神発作
⼼原性失神のリスク分類
⾼リスク群
低リスク群
(再発)
低リスク群
(初発)
失神の診断・治療ガイドライン
(2012 年改訂版)より⼀部改訂
Historical Criteriaによる
失神と⾮失神発作の鑑別
まずは⼼原性失神の除外
次に起⽴性低⾎圧の除外
Active standing test
必要なら神経調節性失神の除外
Head Up Tilt や 頚動脈洞マッサージ
早期検査
循環器コンサルト
精査不要
帰宅
(中枢性失神は稀)1
2 3
•  バイタルサイン
•  12誘導⼼電図
•  病歴聴取
•  ⾝体所⾒(外傷も!!)
•  基本検査
初期評価
⼀過性意識障害の診断アルゴリズム
⼀過性意識障害
失神 ⾮失神発作
⼼原性失神のリスク分類
⾼リスク群
低リスク群
(再発)
低リスク群
(初発)
失神の診断・治療ガイドライン
(2012 年改訂版)より⼀部改訂
Historical Criteriaによる
失神と⾮失神発作の鑑別
まずは⼼原性失神の除外
次に起⽴性低⾎圧の除外
Active standing test
必要なら神経調節性失神の除外
Head Up Tilt や 頚動脈洞マッサージ
早期検査
循環器コンサルト
精査不要
帰宅
(中枢性失神は稀)1
2
•  バイタルサイン
•  12誘導⼼電図
•  病歴聴取
•  ⾝体所⾒(外傷も!!)
•  基本検査
初期評価
⼀過性意識障害の診断アルゴリズム
確定診断のための検査
Point!
3
①⼼原性失神|問診事項
l  T-LOCの中で9.5%が⼼原性失神
N Eng J Med. 2002 Sep 19:347(12):878-885
l  ミオクローヌス様けいれん(LR+6.0) , 労作時失神(LR+15.0) ,
仰臥位失神(LR+7.0) ,⼼疾患既往(LR+2.6〜5.0) では⼼原性疑う
Am J Cardiol 2005 Nov 15;96(10);1931-1935
l  動悸は必ずしも不整脈の診断に有⽤でなく、むしろ前駆症状(−)
や遅発症状(−)の場合に⼼原性失神疑う(LR+2.3)
Am J Cardiol 2005 Nov 15;96(10);1931-1935
l  ⼼疾患既往なしならば(LR−0.1) 95%で⼼原性否定的
(⾼齢者では⼼原性失神が多いので要注意)
J Am Coll Cardiol 2001 Jun 1;37(7)1921-1928
l  嘔気, 熱感, 発汗, 動悸等の前駆症状は診断にあまり寄与
しない(LR−0.1〜0.3) , 意識消失後倦怠感なしで⼼原性疑う
Am J Med. 1995 Apr; 98(4):365-73 1
7
l  バイタルサイン (ABCD不安定ならまず⼼原性)
l  病歴(特に失神前後の症状)
l  リスク評価(性別, 年齢, 既往歴, 喫煙, 肥満, 家族歴等)
l  ⼼疾患の既往歴(ACS, ⼼不全, 弁膜症, ⼼筋症, 不整脈等)
l  ⾝体診察 (特に⼼雑⾳)
l  ⼼電図(以前の健診での⼼電図の結果、虚⾎性不整脈, 頻脈性不
整脈, 徐脈性不整脈, Brugada, QT延⻑, WPW症候群、期外収縮)
108名の40歳以下の患者に⾏ったスタディでの⼼電図で診断がついたものは
0名だったので必要でないかもしれない
Annals of Emergency Medicine Volume 51, Issue 3, Mar 2008, 240–246
l  必要に応じて ⼼エコーや⾎液検査(CK−MB,Tropt)
①⼼原性失神|ERでの診断の流れ
⼼エコー
1
9
l  ⼼エコーは, AS, HOCM, ⼼房粘液腫の診断に優れる。
l  病歴⾝体所⾒・12誘導⼼電図で⼼原性疾患を疑わなければ
必須ではない. ただし, 検査の簡便性, 疾患の重⼤性,
教育の⾯からは全例で⾏ってもいいかもしれない.
l  労作時失神(AS, HOCM), 体位変換時失神(⼼房粘液腫)
などの病歴に注意!
•  各検査の診断寄与率 ⼼エコー3%
Heart 2002 Oct;88(4)363-367
•  ⼼エコーで失神の0.9%が原因確定に結びつく
Arch Intern Med 2001 Aug13-27;161(15):1889-1895
•  病歴・⾝体所⾒・⼼電図で失神の64.7%が原因確定に結びつく
Arch Intern Med 2001 Aug13-27;161(15):1889-1895
ERでの検査②
②起⽴性低⾎圧 (交感神経機能不全)
l  消化管出⾎, 異所性妊娠, 薬剤性, ⾃律神経障害
(パーキンソン, shy-drager, 脊損, DM等)を考える
l  薬剤性は, αブロッカー, 抗精神病薬, TCA, MAO阻害
薬, アルコール, 利尿剤, マクロライド系・キノロン
系抗菌薬, 漢⽅など
l  起⽴性低⾎圧は起⽴後, 1分で計88%, 2分で計99%、
3分で計100%. よって起⽴後の低⾎圧は2分後まで
測定する必要がある
Active Standing Test
2
1
l  起⽴性低⾎圧, ⾃律神経障害の診断
l  ⾃動⾎圧計よりカフ⾎圧計の⽅がよい
l  2分間以上の仰臥位(ベースラインのBP,HRを測定)
l  最低2分以上の⽴位(BP, HRを測定)
l  Tiltでも代⽤可能
ESC2009ガイドラインより
収縮期⾎圧 拡張期⾎圧 ⼼拍数
循環⾎漿量減少 ↓ →〜↓ ↑
⾎管拡張因⼦ ↓ ↓ ↑
⾃律神経障害 ↓ ↓ →
ERでの検査③
③神経調節性失神 (副交感神経優位)
l  起⽴後5分以降の失神
l  発症状況失神(情動失神、咳嗽失神、嚥下失神、嘔吐
失神、排便失神、排尿失神)
l  頸動脈洞性失神 - ⾸を回したりネクタイをきつく締
めたときは迷⾛神経反射- 感情ストレスによるもの
(恐怖, 痛み), ⽴位負荷によるもの
l  4年以上の罹患歴, 意識消失前の腹部不快感, 嘔気と
回復期の発汗があれば可能性が⾼い
l  ⾼齢者の⾷後2時間以内の失神発作
l  確固たる診断の必要性がある場合やペースメーカー
の適応を考える場合はHead-Up Tilt試験を⾏う。中
年ー⾼齢者では加えて頸動脈洞マッサージを施⾏
Carotid Sinus Massage (CSM)
2
3
l  神経調整性失神(頸動脈過敏)の診断
l  40歳以上の原因不明失神の⼈に有⽤
1.  ⼼電図モニターと持続⾎圧モニター
2.  監視下で5-10秒間のマッサージを⾏う
3.  マッサージ中や直後に⼼収縮3秒以上停⽌や
sBP 50mmHg以上↓で 症状が出現なら陽性
4.  仰臥位で誘発しなければ⽴位で誘発する
l  禁忌を踏まないため
1.  ⼼臓脳⾎管のリスクの聴取
2.  頸部聴診、必要であれば頸部エコー
ESC2009ガイドラインより
ERでの検査④
Head up Tilt試験・簡易Tilt試験
l  起⽴性低⾎圧, 神経調節性障害の
鑑別に使える
1.  仰臥位で最低5分間(ルート確保のために⾎管
を刺激する場合は20分)
2.  傾斜⾓度60-70度, 受動時間20-45分間
3.  薬物相は傾斜したままイソプロテレノール
1-3ug/分で
4.  ⼼拍数20-25%増加するまでか、硝酸薬スプ
レーで400ug投与後15-20分で判定する
5.  失神誘発で陽性
薬剤負荷(−) 感度35% 特異度92% LR+4.4 LR- 0.7
薬剤負荷(+) 感度57% 特異度81% LR+3.0 LR- 0.5
l  ベッドサイド簡易Tilt試験
1.  臥位で問診中に⾎圧, 脈を安定化
2.  座位で5分後〜1分ごと⾎圧, 脈拍, 症状確認
ERでの検査⑤
予後評価(⼊院適応)
様々な基準が提唱されてきたが,
⼗分な 感度・特異度が 証明されたものはない
San Francisco Syncope Rule, ROSEルール, Boston Syncope Rule, オタワ⼼電図基準, EGSYSスコア等
l  どの基準でも ⼼電図異常, 労作時動悸は予後不良
l  Hb≦9g/dl, HCT≦30%, 便潜⾎(+)なども予後不良
l  増悪因⼦・環境素因 (温感, 混雑した場所, ⻑期間の⽴位、
恐怖や疼痛・感情)は 状況性失神らしい
ESC2009ガイドライン
考えるERサムライプラクティス
➙ 経過観察⼊院 もしくは 循環器内科コンサルト
➙ 経過観察⼊院 もしくは 消化器内科コンサルト
➙ 帰宅検討, 素因除去励⾏
⼀過性意識障害の診断アルゴリズム
2
6
⼀過性意識障害
初期評価
•  バイタルサイン
•  12誘導⼼電図
•  病歴聴取
•  ⾝体所⾒(※外傷)
•  基本検査
失神 ⾮失神発作
とにかく病歴聴取が重要!
¼にみられる外傷と
¼にみられる再発に注意
⼼原性失神のリスク分類
⾼リスク群
低リスク群
(再発)
低リスク群
(初発)
⼼エコ-
てんかん, 脳⾎管障害,
代謝性疾患, 精神科疾患など
失神の診断・治療ガイドライン
(2012 年改訂版)より⼀部改定
Historical Criteriaによる
失神と⾮失神発作の鑑別
確定診断のための精査
治療や専⾨医への紹介
Active standing test
消化管出⾎, 異所性妊娠, 薬剤性, ⾃律神経障害
Head Up Tilt, 頚動脈洞マッサージ
採⾎, 便潜⾎反応, 内視鏡早期検査
循環器コンサルト
精査不要
帰宅
待機的または早期検査
消化器コンサルト陽性微妙…
陰性
神経巣症状や頭痛があれば
頭部CT
まずは⼼原性失神の除外1 (中枢性失神は稀)
次に起⽴性低⾎圧の除外2 必要なら神経調節性失神の除外3

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第2回 「一過性意識障害, 失神」

  • 2. l  意識障害の持続が短く, かつ意識が⾃然に回復するもの l  秒〜分の単位の持続時間を “⼀過性” とすることが多い l  ①失神と②⾮失神発作の2つに分類 ⼀過性意識障害の定義 T-LOC:Transient Loss of Consciousness 失神 ⾮失神発作 ⼀過性意識障害の診療の第⼀歩は,失神と⾮失神発作を鑑別する ことである。そして, 失神と判断したらその原因を鑑別する。失神 の原因は, 予後良好な神経調節性失神から予後不良の⼼原性失神 まで多岐にわたり,⾼リスクの失神を⾒逃さないことが重要である。 ⾎圧低下に伴う 全脳の⾎流低下による てんかん, 脳⾎管障害, 代謝性疾患, 精神科疾患等 失神の診断・治療ガイドライン(2012 年改訂版) Point!
  • 3. ⼀過性意識障害の疫学 l  失神は年間0.6%でみられる(救急外来受診の1-5%) Circulation 2004 Dec 14:110(24)3636-3645 失神の診断・治療ガイドライン(2012 年改訂版) ⼀過性意識障害の原因 割合 神経介在性失神 安全なことが多い 21.2% ⼼原性失神 危険! 9.5% 起⽴性低⾎圧 9.4% 薬剤性失神 6.8% てんかん ⾮失神症候群! 4.9% 脳⾎管疾患(中枢性失神) 4.1% l  失神の原因による事後予測(25年間での死亡率) N Eng J Med. 2002 Sep 19:347(12):878-885 –  ⼼原性 >>脳⾎管疾患>起⽴性低⾎圧>薬剤性>神経介在性 N Engl J Med. 2002 Sep 19:347(12):878-885
  • 4. ⼀過性意識障害 失神 ⾮失神発作 ⼼原性失神のリスク分類 ⾼リスク群 低リスク群 (再発) 低リスク群 (初発) 失神の診断・治療ガイドライン (2012 年改訂版)より⼀部改訂 Historical Criteriaによる 失神と⾮失神発作の鑑別 まずは⼼原性失神の除外 次に起⽴性低⾎圧の除外 Active standing test 必要なら神経調節性失神の除外 Head Up Tilt や 頚動脈洞マッサージ 早期検査 循環器コンサルト 精査不要 帰宅 (中枢性失神は稀)1 2 3 •  バイタルサイン •  12誘導⼼電図 •  病歴聴取 •  ⾝体所⾒(外傷も!!) •  基本検査 初期評価 ⼀過性意識障害の診断アルゴリズム
  • 5. ⼀過性意識障害 失神 ⾮失神発作 ⼼原性失神のリスク分類 ⾼リスク群 低リスク群 (再発) 低リスク群 (初発) 失神の診断・治療ガイドライン (2012 年改訂版)より⼀部改訂 Historical Criteriaによる 失神と⾮失神発作の鑑別 まずは⼼原性失神の除外 次に起⽴性低⾎圧の除外 Active standing test 必要なら神経調節性失神の除外 Head Up Tilt や 頚動脈洞マッサージ 早期検査 循環器コンサルト 精査不要 帰宅 (中枢性失神は稀)1 2 3 •  バイタルサイン •  12誘導⼼電図 •  病歴聴取 •  ⾝体所⾒(外傷も!!) •  基本検査 初期評価 ⼀過性意識障害の診断アルゴリズム Point!
  • 6. 初期評価 6 •  失神患者は軽微な外傷 14­29%, ⾻折や事故 6­11%を伴う Medicine.1990 May,69(3):160­75 / Eur Heart J. 2006 Jan; 27(1):76-82 •  再発は21­28%にみられる N Engl J Med 2002 Sep 19; 347(12);878-85 •  病歴・⾝体所⾒・⼼電図で失神の64.7%が 原因確定に結びつく Arch Intern Med 2001 Aug13-27;161(15):1889-1895 •  失神の原因が12誘導⼼電図で判明するのは5%のみ N Engl J Med 2002 Sep 19; 347(12);878-85 l  兎にも⾓にも 病歴聴取が重要! l  ¼にみられる外傷と¼にみられる再発に注意 l  バイタル測定と12誘導⼼電図検査は全例⾏う
  • 7. ⼀過性意識障害 失神 ⾮失神発作 ⼼原性失神のリスク分類 ⾼リスク群 低リスク群 (再発) 低リスク群 (初発) 失神の診断・治療ガイドライン (2012 年改訂版)より⼀部改訂 Historical Criteriaによる 失神と⾮失神発作の鑑別 まずは⼼原性失神の除外 次に起⽴性低⾎圧の除外 Active standing test 必要なら神経調節性失神の除外 Head Up Tilt や 頚動脈洞マッサージ 早期検査 循環器コンサルト 精査不要 帰宅 (中枢性失神は稀)1 2 3 •  バイタルサイン •  12誘導⼼電図 •  病歴聴取 •  ⾝体所⾒(外傷も!!) •  基本検査 初期評価 ⼀過性意識障害の診断アルゴリズム
  • 8. ⼀過性意識障害 失神 ⾮失神発作 ⼼原性失神のリスク分類 ⾼リスク群 低リスク群 (再発) 低リスク群 (初発) 失神の診断・治療ガイドライン (2012 年改訂版)より⼀部改訂 Historical Criteria による失神と⾮失神発作の鑑別 まずは⼼原性失神の除外 次に起⽴性低⾎圧の除外 Active standing test 必要なら神経調節性失神の除外 Head Up Tilt や 頚動脈洞マッサージ 早期検査 循環器コンサルト 精査不要 帰宅 (中枢性失神は稀)1 2 3 •  バイタルサイン •  12誘導⼼電図 •  病歴聴取 •  ⾝体所⾒(外傷も!!) •  基本検査 初期評価 ⼀過性意識障害の診断アルゴリズム Point!
  • 9. Historical Criteria (失神vs痙攣) 合計点数 ≧1点 痙攣, < 1点 失神 点数 ⾆咬傷 混迷・異常体位・四肢の痙攣様運動 情動的ストレスを伴う意識消失 発作後昏睡 意識消失後に頭部が⽚⽅に引っ張られる Déjà vuなどの前駆症状 失神感 ⻑時間の座位・⽴位での意識消失 発作前の発汗 2点 1点 1点 1点 1点 1点 −2点 −2点 −2点 •  Criteriaの 感度94% 特異度94% J Am Coll Cardiol 2002;40:142-8 •  Lac>2.5mmol/lは全般性けいれんで 感度73% 特異度94% •  意識消失3時間後のCK上昇は 感度80% 特異度94% •  NH3↑はてんかん発作の68%に認められる。平均7.8時間で 250μg/dlから47μg/dlに低下する epilepsia 2011 Nov;52(11):2043-2049,J Gen Intern Med :1991 sep-oct;6(5):408-412
  • 10. ⼀過性意識障害 失神 ⾮失神発作 ⼼原性失神のリスク分類 ⾼リスク群 低リスク群 (再発) 低リスク群 (初発) 失神の診断・治療ガイドライン (2012 年改訂版)より⼀部改訂 Historical Criteriaによる 失神と⾮失神発作の鑑別 まずは⼼原性失神の除外 次に起⽴性低⾎圧の除外 Active standing test 必要なら神経調節性失神の除外 Head Up Tilt や 頚動脈洞マッサージ 早期検査 循環器コンサルト 精査不要 帰宅 (中枢性失神は稀)1 2 3 •  バイタルサイン •  12誘導⼼電図 •  病歴聴取 •  ⾝体所⾒(外傷も!!) •  基本検査 初期評価 ⼀過性意識障害の診断アルゴリズム
  • 11. ⼀過性意識障害 失神 ⾮失神発作 ⼼原性失神のリスク分類 ⾼リスク群 低リスク群 (再発) 低リスク群 (初発) 失神の診断・治療ガイドライン (2012 年改訂版)より⼀部改訂 Historical Criteriaによる 失神と⾮失神発作の鑑別 まずは⼼原性失神の除外 次に起⽴性低⾎圧の除外 Active standing test 必要なら神経調節性失神の除外 Head Up Tilt や 頚動脈洞マッサージ 早期検査 循環器コンサルト 精査不要 帰宅 (中枢性失神は稀)1 2 3 •  バイタルサイン •  12誘導⼼電図 •  病歴聴取 •  ⾝体所⾒(外傷も!!) •  基本検査 初期評価 ⼀過性意識障害の診断アルゴリズム
  • 12. 失神のリスク別分類≒⼼原性失神 ⾼リスクの失神を⽰唆する因⼦ •  ⼼電図異常 しっかりと⼼電図を読むことが⼤事! •  ⼼原性失神を疑う病歴・所⾒がある •  前駆症状なし •  胸痛・動悸あり •  運動中に発症 •  臥位で発症 •  器質的⼼疾患の既往 •  突然死の家族歴 •  ⾼齢 •  バイタル異常(BP↓HR↓SpO2↓) •  ⾎液検査異常(Hb↓, BNP↑, 電解質異常) 失神の診断・治療ガイドライン (2012 年改訂版) l  失神の原因による事後予測 N Eng J Med. 2002 Sep 19:347(12):878-885 –  ⼼原性 >>脳⾎管疾患>起⽴性低⾎圧>薬剤性>神経介在性 危険!
  • 13. 失神のリスク別分類≒⼼原性失神 不整脈による失神と診断可 不整脈による失神を⽰唆 •  3度房室ブロック •  2度房室ブロック(MobitzⅡ型) •  QT延⻑, QT短縮があり 多形性の⾮持続性⼼室頻拍(TdP) •  持続する洞性徐脈 •  ⼼室頻拍, 発作性上室性頻拍 •  左右交代脚ブロック •  ⼼停⽌をきたすPM, ICD不全 •  WPW症候群 •  QT延⻑, QT短縮 •  Brugada症候群 •  不整脈源性右室⼼筋症(ARVC, ARVD) •  2束ブロック (左脚, 右脚+左脚前枝or後枝) •  ⼼室内伝導遅延 (QRS幅≧0.12秒) •  2度房室ブロック (MobitzⅠ型) •  無症候性洞性徐脈<50/分 •  洞房ブロック, 洞停⽌<3秒 (薬剤なし) •  ⼼筋梗塞を⽰唆するQ波 失神の診断・治療ガイドライン (2012 年改訂版)
  • 14. ERでの検査① WPW症候群Brugada症候群 ①  PQ間隔短縮 ≦ 3mm ②  デルタ波 ③  QRS wide ≧ 3mm ①  右脚ブロック様波形 ②  V1−3 で ST上昇 Saddle back型 と Cove型 QT延⻑症候群 ①  QTc = QT/√RR (0.35〜0.44が正常) ②  T波終点が RRの1/2を 越えていればQT延⻑ ARVD/ARVC ①  V1-3 で QRS終点 に ε波 (⼩さな上向きのこぶ) ②  V1-3 で T波陰転化 3度房室ブロック ①  P波とQ波の連続性なし ②  P波とQ波が独⽴ ③  PP間隔 < RR間隔 ①  正常で規則的なP波 ②  PQ時間は 徐々に延⻑ ③  QRSが 間⽋的に⽋落 2度房室ブロック MobitzⅡ型
  • 15. ⼀過性意識障害 失神 ⾮失神発作 ⼼原性失神のリスク分類 ⾼リスク群 低リスク群 (再発) 低リスク群 (初発) 失神の診断・治療ガイドライン (2012 年改訂版)より⼀部改訂 Historical Criteriaによる 失神と⾮失神発作の鑑別 まずは⼼原性失神の除外 次に起⽴性低⾎圧の除外 Active standing test 必要なら神経調節性失神の除外 Head Up Tilt や 頚動脈洞マッサージ 早期検査 循環器コンサルト 精査不要 帰宅 (中枢性失神は稀)1 2 3 •  バイタルサイン •  12誘導⼼電図 •  病歴聴取 •  ⾝体所⾒(外傷も!!) •  基本検査 初期評価 ⼀過性意識障害の診断アルゴリズム
  • 16. ⼀過性意識障害 失神 ⾮失神発作 ⼼原性失神のリスク分類 ⾼リスク群 低リスク群 (再発) 低リスク群 (初発) 失神の診断・治療ガイドライン (2012 年改訂版)より⼀部改訂 Historical Criteriaによる 失神と⾮失神発作の鑑別 まずは⼼原性失神の除外 次に起⽴性低⾎圧の除外 Active standing test 必要なら神経調節性失神の除外 Head Up Tilt や 頚動脈洞マッサージ 早期検査 循環器コンサルト 精査不要 帰宅 (中枢性失神は稀)1 2 •  バイタルサイン •  12誘導⼼電図 •  病歴聴取 •  ⾝体所⾒(外傷も!!) •  基本検査 初期評価 ⼀過性意識障害の診断アルゴリズム 確定診断のための検査 Point! 3
  • 17. ①⼼原性失神|問診事項 l  T-LOCの中で9.5%が⼼原性失神 N Eng J Med. 2002 Sep 19:347(12):878-885 l  ミオクローヌス様けいれん(LR+6.0) , 労作時失神(LR+15.0) , 仰臥位失神(LR+7.0) ,⼼疾患既往(LR+2.6〜5.0) では⼼原性疑う Am J Cardiol 2005 Nov 15;96(10);1931-1935 l  動悸は必ずしも不整脈の診断に有⽤でなく、むしろ前駆症状(−) や遅発症状(−)の場合に⼼原性失神疑う(LR+2.3) Am J Cardiol 2005 Nov 15;96(10);1931-1935 l  ⼼疾患既往なしならば(LR−0.1) 95%で⼼原性否定的 (⾼齢者では⼼原性失神が多いので要注意) J Am Coll Cardiol 2001 Jun 1;37(7)1921-1928 l  嘔気, 熱感, 発汗, 動悸等の前駆症状は診断にあまり寄与 しない(LR−0.1〜0.3) , 意識消失後倦怠感なしで⼼原性疑う Am J Med. 1995 Apr; 98(4):365-73 1 7
  • 18. l  バイタルサイン (ABCD不安定ならまず⼼原性) l  病歴(特に失神前後の症状) l  リスク評価(性別, 年齢, 既往歴, 喫煙, 肥満, 家族歴等) l  ⼼疾患の既往歴(ACS, ⼼不全, 弁膜症, ⼼筋症, 不整脈等) l  ⾝体診察 (特に⼼雑⾳) l  ⼼電図(以前の健診での⼼電図の結果、虚⾎性不整脈, 頻脈性不 整脈, 徐脈性不整脈, Brugada, QT延⻑, WPW症候群、期外収縮) 108名の40歳以下の患者に⾏ったスタディでの⼼電図で診断がついたものは 0名だったので必要でないかもしれない Annals of Emergency Medicine Volume 51, Issue 3, Mar 2008, 240–246 l  必要に応じて ⼼エコーや⾎液検査(CK−MB,Tropt) ①⼼原性失神|ERでの診断の流れ
  • 19. ⼼エコー 1 9 l  ⼼エコーは, AS, HOCM, ⼼房粘液腫の診断に優れる。 l  病歴⾝体所⾒・12誘導⼼電図で⼼原性疾患を疑わなければ 必須ではない. ただし, 検査の簡便性, 疾患の重⼤性, 教育の⾯からは全例で⾏ってもいいかもしれない. l  労作時失神(AS, HOCM), 体位変換時失神(⼼房粘液腫) などの病歴に注意! •  各検査の診断寄与率 ⼼エコー3% Heart 2002 Oct;88(4)363-367 •  ⼼エコーで失神の0.9%が原因確定に結びつく Arch Intern Med 2001 Aug13-27;161(15):1889-1895 •  病歴・⾝体所⾒・⼼電図で失神の64.7%が原因確定に結びつく Arch Intern Med 2001 Aug13-27;161(15):1889-1895 ERでの検査②
  • 20. ②起⽴性低⾎圧 (交感神経機能不全) l  消化管出⾎, 異所性妊娠, 薬剤性, ⾃律神経障害 (パーキンソン, shy-drager, 脊損, DM等)を考える l  薬剤性は, αブロッカー, 抗精神病薬, TCA, MAO阻害 薬, アルコール, 利尿剤, マクロライド系・キノロン 系抗菌薬, 漢⽅など l  起⽴性低⾎圧は起⽴後, 1分で計88%, 2分で計99%、 3分で計100%. よって起⽴後の低⾎圧は2分後まで 測定する必要がある
  • 21. Active Standing Test 2 1 l  起⽴性低⾎圧, ⾃律神経障害の診断 l  ⾃動⾎圧計よりカフ⾎圧計の⽅がよい l  2分間以上の仰臥位(ベースラインのBP,HRを測定) l  最低2分以上の⽴位(BP, HRを測定) l  Tiltでも代⽤可能 ESC2009ガイドラインより 収縮期⾎圧 拡張期⾎圧 ⼼拍数 循環⾎漿量減少 ↓ →〜↓ ↑ ⾎管拡張因⼦ ↓ ↓ ↑ ⾃律神経障害 ↓ ↓ → ERでの検査③
  • 22. ③神経調節性失神 (副交感神経優位) l  起⽴後5分以降の失神 l  発症状況失神(情動失神、咳嗽失神、嚥下失神、嘔吐 失神、排便失神、排尿失神) l  頸動脈洞性失神 - ⾸を回したりネクタイをきつく締 めたときは迷⾛神経反射- 感情ストレスによるもの (恐怖, 痛み), ⽴位負荷によるもの l  4年以上の罹患歴, 意識消失前の腹部不快感, 嘔気と 回復期の発汗があれば可能性が⾼い l  ⾼齢者の⾷後2時間以内の失神発作 l  確固たる診断の必要性がある場合やペースメーカー の適応を考える場合はHead-Up Tilt試験を⾏う。中 年ー⾼齢者では加えて頸動脈洞マッサージを施⾏
  • 23. Carotid Sinus Massage (CSM) 2 3 l  神経調整性失神(頸動脈過敏)の診断 l  40歳以上の原因不明失神の⼈に有⽤ 1.  ⼼電図モニターと持続⾎圧モニター 2.  監視下で5-10秒間のマッサージを⾏う 3.  マッサージ中や直後に⼼収縮3秒以上停⽌や sBP 50mmHg以上↓で 症状が出現なら陽性 4.  仰臥位で誘発しなければ⽴位で誘発する l  禁忌を踏まないため 1.  ⼼臓脳⾎管のリスクの聴取 2.  頸部聴診、必要であれば頸部エコー ESC2009ガイドラインより ERでの検査④
  • 24. Head up Tilt試験・簡易Tilt試験 l  起⽴性低⾎圧, 神経調節性障害の 鑑別に使える 1.  仰臥位で最低5分間(ルート確保のために⾎管 を刺激する場合は20分) 2.  傾斜⾓度60-70度, 受動時間20-45分間 3.  薬物相は傾斜したままイソプロテレノール 1-3ug/分で 4.  ⼼拍数20-25%増加するまでか、硝酸薬スプ レーで400ug投与後15-20分で判定する 5.  失神誘発で陽性 薬剤負荷(−) 感度35% 特異度92% LR+4.4 LR- 0.7 薬剤負荷(+) 感度57% 特異度81% LR+3.0 LR- 0.5 l  ベッドサイド簡易Tilt試験 1.  臥位で問診中に⾎圧, 脈を安定化 2.  座位で5分後〜1分ごと⾎圧, 脈拍, 症状確認 ERでの検査⑤
  • 25. 予後評価(⼊院適応) 様々な基準が提唱されてきたが, ⼗分な 感度・特異度が 証明されたものはない San Francisco Syncope Rule, ROSEルール, Boston Syncope Rule, オタワ⼼電図基準, EGSYSスコア等 l  どの基準でも ⼼電図異常, 労作時動悸は予後不良 l  Hb≦9g/dl, HCT≦30%, 便潜⾎(+)なども予後不良 l  増悪因⼦・環境素因 (温感, 混雑した場所, ⻑期間の⽴位、 恐怖や疼痛・感情)は 状況性失神らしい ESC2009ガイドライン 考えるERサムライプラクティス ➙ 経過観察⼊院 もしくは 循環器内科コンサルト ➙ 経過観察⼊院 もしくは 消化器内科コンサルト ➙ 帰宅検討, 素因除去励⾏
  • 27. ⼀過性意識障害 初期評価 •  バイタルサイン •  12誘導⼼電図 •  病歴聴取 •  ⾝体所⾒(※外傷) •  基本検査 失神 ⾮失神発作 とにかく病歴聴取が重要! ¼にみられる外傷と ¼にみられる再発に注意 ⼼原性失神のリスク分類 ⾼リスク群 低リスク群 (再発) 低リスク群 (初発) ⼼エコ- てんかん, 脳⾎管障害, 代謝性疾患, 精神科疾患など 失神の診断・治療ガイドライン (2012 年改訂版)より⼀部改定 Historical Criteriaによる 失神と⾮失神発作の鑑別 確定診断のための精査 治療や専⾨医への紹介 Active standing test 消化管出⾎, 異所性妊娠, 薬剤性, ⾃律神経障害 Head Up Tilt, 頚動脈洞マッサージ 採⾎, 便潜⾎反応, 内視鏡早期検査 循環器コンサルト 精査不要 帰宅 待機的または早期検査 消化器コンサルト陽性微妙… 陰性 神経巣症状や頭痛があれば 頭部CT まずは⼼原性失神の除外1 (中枢性失神は稀) 次に起⽴性低⾎圧の除外2 必要なら神経調節性失神の除外3

Notas do Editor

  1. 「意識障害の持続が短く,かつ意識が自然に回復するものを一過性意識障害(Transient Loss ofConsciousness: T-LOC)という。通常は秒から分の単位の持続時間を“一過性”とすることが多い。一過性意識障害は失神(syncope)と非失神発作の2 つに分類される。失神は,「血圧低下に伴う全脳の血流低下による一過性意識障害」と定義され,疾患ではなく症候である。非失神発作には,てんかん,脳血管障害,代謝性疾患,精神科疾患などがある。一過性意識障害の診療の第一歩は,失神と非失神発作を鑑別することである。そして,失神と判断したらその原因を鑑別する。失神の原因は,予後良好な神経調節性失神から予後不良の心原性失神まで多岐にわたり,高リスクの失神を見逃さないことが重要である。 日本臨床検査医学会より
  2. N Engl J Med 2002; 347:878-885 The study sample consisted of participants in the original Framingham Heart Study and in the Framingham Offspring Study who underwent routine clinical examinations between 1971 and 1998.
  3. 日本臨床検査医学会より
  4. 日本臨床検査医学会より
  5. 確定診断のための検査 神経調調節性失神の精査 Tilt試験 頚動脈洞マッサージ 心原性失神の精査 心臓超音波検査 心電図モニタリング 運動負荷試験 電気生理学的精査 その他の検査 血液検査 頭部画像検査 脳波検査 動脈血ガス分析 胸部単純X線 体部CT(Dynamic CT) 内視鏡検査
  6. 日本臨床検査医学会より
  7. ・この表は感度94%、特異度94% *情動的ストレスとは無心没頭・気分変化・幻臭などで 、こういった症状が発作前にある場合は痙攣の可能性が高いと考えられている *尿失禁、頭部外傷は鑑別の役には立たない(考慮される)(ERエラーブック、内科診断リファレンスマニュアルより) 感度23.5%、特異度96.4%、LR 6.45 その他(epilepsia 2011 Nov;52(11):2043-2049,J Gen Intern Med :1991 sep-oct;6(5):408-412) ・けいれんにおけるLac>2.5mmol/lは全般性けいれんで感度73%、特異度94% ・意識消失3時間後のCK上昇は感度80%、特異度94% ・NH3はてんかん発作の68%に認められる。平均7.8時間で250ug/dlから47ug/dlに低下する ・seizures (n 102; complex partial epilepsy [50 patients] and primary generalized epilepsy [52 patients])
  8. 日本臨床検査医学会より
  9. 日本臨床検査医学会より
  10. T-LOCの中で9.5%が心原性失神 N Eng J Med. 2002 Sep 19:347(12):878-885 心疾患の既往がなければ95%で心原性を否定できる (高齢者では要注意) J Am Coll Cardiol 2001 Jun 1;37(7)1921-1928 ミオクローヌス様のけいれん、労作時失神、仰臥位失神では心原性を疑う Am J Cardiol 2005 Nov 15;96(10);1931-1935 動悸や呼吸困難があればACS, 大動脈解離, 肺塞栓を疑う 動悸は必ずしも不整脈の診断に有用でなく、むしろ前駆症状や遅発症状がない場合に心原性失神を積極的に疑う 感度37%、特異度84% LR(+)2.3 LR(-)0.8Am J Cardiol 2005 Nov 15;96(10);1931-1935
  11. バイタルサイン 胸痛、失神、動悸の病歴・既往歴 リスク評価(性別、年齢、既往歴、喫煙、肥満、家族歴、など) 心疾患の既往歴(ACS、心不全、弁膜症、心筋症、不整脈など) 健診での心電図の結果 身体診察 心電図(虚血性不整脈、頻脈性不整脈、徐脈性不整脈、Brugada、QT延長、WPW症候群、期外収縮) 108名の40歳以下の患者に行ったスタディでの心電図で診断がついたものは0名だったので必要でないかもしれない  Annals of Emergency MedicineVolume 51, Issue 3, Mar2008, 240–246 必要に応じて 心エコー 血液検査(CKMB,Tropt)
  12. 原因は消化管出血、異所性妊娠、薬剤性、自律神経障害(パーキンソン、shy-drager,脊損、DMなどを考える 薬剤性はαブロッカー、抗精神病薬、TCA、MAO阻害薬、アルコール、利尿剤、マクロライド系・キノロン系抗菌薬、漢方など 起立性低血圧は起立後、1分で88%、2分で11%で、3分で1%。よって起立後の低血圧は2分後まで測定する必要がある