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図.機械学習による世界初の合成画像(Google Official Blog より)
Google の他にも、Apple・Facebook・IBM・Microsoft・Baidu(中国の検索大手)などが、まさにこの分
野の研究に膨大な投資を行っています。(ング教授も 2014 年に Google から Baidu の人工知能研
究所に移籍)
日本では、ドワンゴやリクルートなどが人工知能研究所を既に設立して色々と活動しています。
新技術がマーケティングのエンジンへ
そもそも、何故上記企業群は、ここまで AI に投資するのでしょうか?
シンプルに言うと、AI 技術を制することで、社会やビジネスに活用出来るデータが集まるからです。
今まででも触れたとおり、Google は元々キーボードで入力された検索マッチング精度の高さで堅固
なブランドを築きました。
そして今、ヒトのネット利用が PC からモバイルにシフトし、かつモノによるネット化が進むと、キーボ
ードでの手入力というインタフェースは廃れていくでしょう。(私もまだスマホでの手入力は面倒と感
じています・・・)
代わりに注目されているインタフェースが音声・画像認識であり、そのエンジンが AI で期待されて
いる領域の1つです。
既に iPhone や Android 端末に搭載されている音声アシスタント機能も AI で常に学習されています
が、その受け答えが自然になると利用者が増え、増えるとよりデータが集まるため学習効果が高ま
るという好循環を生みます。
また、先ほど登場したモノのインターネット(IoT)化に伴い、ますます肥大化するデータをどうふるい
分けて判断するのかを AI に寄せる動きもあります。
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要は、顧客を創造しつながるための重要な手段として AI に注目しているわけで、手法は異なって
も根底にある考え方は同じです。
日本でも Pepper 君というコミュニケーションロボットがソフトバンクから発表されましたが、同様の狙
いがあると考えられます。
Pepper 君に話しかけた人の音声(調子も含めて)や表情を学習してクラウドにある知識データベー
スから適切な回答例を引き出し、その反応をフィードバックして機械学習で洗練させています。
その過程で生じる、生活における様々なデータを活用して新しいサービスを提供することができる
のです。(もちろん個人情報や営業活動にどのように許諾を得るかは要検討課題です)
今までご紹介した新技術は、新しいマーケティングプラットフォームのエンジンであると同時に、既
存マーケティング手法の代替になりつつあります。
次回からは、今急速な盛り上がりを見せている「デジタルマーケティング」について、その定義と特
徴について触れてみたいと思います。