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GVA法律事務所
~教育系ベンチャー企業が知っておくべき法律問題~
不動産Tech × 法務
~不動産系ベンチャー企業が知っておくべき法律問題~
2017.02.07
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目 次
1. 不動産Techとは?
2.顧客マッチングサイト運営にあたって
3.オンライン店舗運営にあたって
4.民泊の法的課題
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Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved.
1.不動産Techとは?
2
 不動産Tech = 「不動産」+「Technology」
1.不動産Techとは?
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 3
テクノロジーの進歩・発展に伴い、不動産売買・賃貸や不動産投資につ
いて、テクノロジーの力で革新していくことを目指すビジネスの領域
 不動産Tech = 「不動産」+「Technology」
1.不動産Techとは?
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 4
【従来の不動産業界】
・チラシ、店頭広告
・対面説明
・内覧
・書面のやりとり
業界の高齢化⇛IT化の遅れ
テクノロジーの進歩・発展に伴い、不動産売買・賃貸や不動産投資につ
いて、テクノロジーの力で革新していくことを目指すビジネスの領域
 不動産Tech = 「不動産」+「Technology」
【従来の不動産業界】
・チラシ、店頭広告
・対面説明
・内覧
・書面のやりとり
業界の高齢化⇛IT化の遅れ
1.不動産Techとは?
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 5
テクノロジーの進歩・発展に伴い、不動産売買・賃貸や不動産投資につ
いて、テクノロジーの力で革新していくことを目指すビジネスの領域
効率化
【不動産Tech】
・オンラインでの情報提供
・オンラインマッチング
・チャットやメッセージサー
ビスの活用
・AIの活用
・スマート内覧
・書面の電子化
1.不動産Techとは?
 不動産Techがもたらす価値
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 6
不動産Tech
1.不動産Techとは?
 不動産Techがもたらす価値
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 7
不動産Tech
物件情報の充実
一般個人による
情報発信も可能に
対面対応・書面の
やりとりの効率化
1.不動産Techとは?
 不動産Techがもたらす価値
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 8
消費者間の不動産取引が
より自由に→民泊の発展
不動産Tech
物件情報の充実
一般個人による
情報発信も可能に
対面対応・書面の
やりとりの効率化
不動産業者と消費者との
情報格差の是正
不動産取引がより
容易・簡潔・迅速になり、
コストダウンにもつながる
店舗の必要性↓
ベンチャー企業の参入障壁↓
 不動産取引フローの変化
1.不動産Techとは?
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 9
①
物件検索
情報提供
②
問合わせ
相談
③
内覧
④
見積り
条件交渉
⑤
重説
→契約
締結
⑥
引渡し
⑧
解約
⑦
物件管理
 不動産取引フローの変化
1.不動産Techとは?
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 10
①
物件検索
情報提供
②
問合わせ
相談
③
内覧
④
見積り
条件交渉
⑤
重説
→契約
締結
⑥
引渡し
⑧
解約
⑦
物件管理
①
店頭
チラシ
②
対面
③
現地
同行
⑦
電話
店頭
従来の不動産取引の場合
⑧
対面
⑥
対面
⑤
対面
④
対面
 不動産取引フローの変化
1.不動産Techとは?
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 11
①
物件検索
情報提供
②
問合わせ
相談
③
内覧
④
見積り
条件交渉
⑤
重説
→契約
締結
⑥
引渡し
⑧
解約
⑦
物件管理
①
店頭
チラシ
②
対面
③
現地
同行
⑦
電話
店頭
⑧
チャット
次の物件
紹介
不動産Techによる効率化
①
WEB
マッチング
②
チャット
AI
③
スマート
内覧
④
チャット
AI
⑤
電子化
の流れ
⑥
スマート
ロック
⑦
チャット
AI
⑧
チャット
次の物件
紹介
従来の不動産取引の場合
⑧
対面
⑥
対面
⑤
対面
④
対面
1.不動産Techとは?
 ①物件検索・情報提供 ー不動産取引フローの変化
・比較的早期に大手企業によりIT化が進んだ分野
etc.
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1.不動産Techとは?
 ①物件検索・情報提供 ー不動産取引フローの変化
・比較的早期に大手企業によりIT化が進んだ分野
etc.
• 最近では、消費者側と企業側の情報格差を埋める情報提供サービス
や人工知能を利用した物件検索サービスも増加
etc.
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1.不動産Techとは?
 ②顧客による問合せ・相談 ー不動産取引フローの変化
• メールによる対応も近年増加しているものの、ITによる効率化の
余地が大きい分野
• 問合せをチャット対応とし、さらにAIによる自動化を目指す。
– etc.
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1.不動産Techとは?
 ③内覧・物件案内 ー不動産取引フローの変化
従来は、顧客に来店してもらって物件を店舗スタッフが現地まで案
内することがほとんど。
→急を要する場合や遠方にいる場合には事実上内覧ができない
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1.不動産Techとは?
 ③内覧・物件案内 ー不動産取引フローの変化
従来は、顧客に来店してもらって物件を店舗スタッフが現地まで案
内することがほとんど。
→急を要する場合や遠方にいる場合には事実上内覧ができない
①スマートロックで鍵の受け渡しを不要とするサービスが展開
etc.
②物件をVR(=バーチャルリアリティ)で内覧できるようにする
サービスが展開
ROOM VR、SUUMOスコープ、3Dオープンハウス etc.
③AIによる物件紹介の自動化ツールの開発も予想される。
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1.不動産Techとは?
 ⑦物件管理 ー不動産取引フローの変化
• 物件管理に関するアプリ・システム等を提供するサービスも増加
etc.
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1.不動産Techとは?
 ⑦物件管理 ー不動産取引フローの変化
• 物件管理に関するアプリ・システム等を提供するサービスも増加
etc.
 マッチングサイトの発展 ー不動産取引フローの変化
• 売りたい(貸したい)顧客と買いたい(借りたい)顧客同士を
マッチングさせるプラットフォームも増加。
※運営者自身は不動産取引自体には関与せず、あくまでマッチングさせ
るのみであることが前提となっている。
etc.
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2.顧客マッチングサイト
運営にあたって
19
 顧客マッチングサイトとは?
顧客マッチングサイトとは、売りたい(貸したい)顧客と買いたい
(借りたい)顧客とを直接引き合わせて契約締結させるサイト
2.顧客マッチングサイト運営にあたって
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物件所有者
賃貸物件オーナー
ユーザー
売りたい
貸したい
買いたい
借りたい
 顧客マッチングサイトとは?
顧客マッチングサイトとは、売りたい(貸したい)顧客と買いたい
(借りたい)顧客とを直接引き合わせて契約締結させるサイト
2.顧客マッチングサイト運営にあたって
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物件所有者
賃貸物件オーナー
ユーザー
売りたい
貸したい
買いたい
借りたい
顧
客
マ
ッ
チ
ン
グ
サ
イ
ト
2.顧客マッチングサイト運営にあたって
 必要な免許や資格は?
・顧客をマッチングするのみであれば、原則として
宅地建物取引業の免許は不要
⇛取引に関与する場合は必要なので注意
売主や借主には、宅地建物取引業の免許は必要か?
・売却物件の取引の場合
・賃貸物件の取引の場合
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2.顧客マッチングサイト運営にあたって
 売却物件の取引の場合
⇒「業を営む」とは不特定多数人と反復継続して行うことを指す。
自己が所有している不動産を1回限り売買する場合には、業を営む
ことにならず免許は不要。
⇒ 顧客同士のマッチングにおいて、顧客(売主)が自己所有の不
動産を1回売却する限りでは、宅地建物取引業に当たることはない。
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 23
宅地建物取引業を営もうとする場合には、国土交通大臣又は都道
府県知事の免許が必要(宅建業法第3条)
2.顧客マッチングサイト運営にあたって
 賃貸物件の取引の場合
⇒ 「宅地または建物の賃貸」が入っていないため、不動産オー
ナーが自己所有物件について賃貸業を営むことは免許なしで可能。
⇒顧客同士のマッチングにおいて、顧客(貸主)の自己所有物件で
ある限りは、賃貸業を行っても違法とはならない。
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 24
• 宅地または建物の売買
• 宅地または建物の交換
• 宅地または建物の売買、交換または賃借の代理
• 宅地または建物の売買、交換または賃借の媒介
2.顧客マッチングサイト運営にあたって
 利用規約作成上の留意点
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 25
留意事項1
利用規約を作成する際には、顧客が1回限りの自己所有不動産を売買す
る場合や自己所有不動産の賃貸をする場合に限定し、取引が宅地建物
取引業に該当することのないように規制する必要がある。
留意事項2
顧客同士のマッチングのみならず、サイト運営者が顧客間の間に入っ
て代理や媒介を行う場合には、当該運営者の行為が宅地建物取引業に
該当することになるため、当該運営者が宅地建物取引業の免許を得る
必要がある。
この場合には、顧客同士の代金のやり取りの他、運営者が報酬を得る
ことになるため、そのスキームについても利用規約に明記しておくべ
きである。
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved.
3.オンライン店舗運営
にあたって
26
3.オンライン店舗運営にあたって
 完全オンライン化に向けての動き
現状では、宅地建物取引業法に基づいて、重要事項の説明を対面で
行わなければならないとされている。
このため、現状、不動産取引のすべてをオンライン上で済ませるこ
とは不可能とされている。
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 27
法律上「対面」と明記されているわけではないが、重要事項説明書を交付して
説明し、説明する際には宅地建物取引士証を提示しなければならず、重要事項
説明書は記名押印の上、交付しなければならないこととされていることから、
実務上は対面で行われている。
3.オンライン店舗運営にあたって
 完全オンライン化に向けての動き
現状では、宅地建物取引業法に基づいて、重要事項の説明を対面で
行わなければならないとされている。
このため、現状、不動産取引のすべてをオンライン上で済ませるこ
とは不可能とされている。
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 28
法律上「対面」と明記されているわけではないが、重要事項説明書を交付して
説明し、説明する際には宅地建物取引士証を提示しなければならず、重要事項
説明書は記名押印の上、交付しなければならないこととされていることから、
実務上は対面で行われている。
重要事項説明書の電子化を進める動きがあり、
これが認められれば完全オンライン店舗が可能となる
3.オンライン店舗運営にあたって
 オンライン店舗においての顧客クレーム防止策
• オンラインサービスの場合には、顧客とのやり取りはチャットな
どで行われることになる。
⇒意思疎通を慎重に行わないと、説明義務違反などに問われる可
能性がある。
• VRを利用した内覧についても、「実物が思っていたのとは違
う」などというクレームが発生するリスクあり。
⇒これらの点については、利用規約において免責事由としておく
ことも考えられるが、消費者に不利益となる条項は無効とされる
可能性がある点にも留意。
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 29
3.オンライン店舗運営にあたって
 おとり広告規制
• おとり広告とは、顧客を引き寄せるために行われる以下のような
物件の広告を指す。
– 実際には存在しない架空の物件
– すでに成約済みで実質的に取引のできない物件
– 広告主が取引する意思のない物件
• 実店舗でも行われ得るが、近年、インターネット上の物件情報に
このような「おとり広告」が横行していると問題になっている。
• おとり広告は、景品表示法上の規制の対象として指定されており、
違反した場合には、課徴金納付命令などの措置がとられる。
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 30
「首都圏不動産公正取引協議会」は、2017年1月から公正競争規約に違反し、厳重警告及び違約金
課徴の措置を講じた不動産事業者に対しては、以下のサイトへの広告掲載を原則として1カ月以上
停止する施策を開始している。
at home、CHINTAI、HOME’S、マイナビ賃貸、SUUMO
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved.
4.民泊の法的課題
31
4.民泊の法的課題ー民泊とは?
 民泊とは・・・
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住宅(戸建住宅、共同住宅等)の全部又は一部を活用し
て宿泊サービスを提供すること
(民泊サービスと旅館業法に関するQ&A)
4.民泊の法的課題ー民泊とは?
 民泊とは・・・
民泊サービスの現状
• 民泊マッチングプラットフォームサービス
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住宅(戸建住宅、共同住宅等)の全部又は一部を活用し
て宿泊サービスを提供すること
(民泊サービスと旅館業法に関するQ&A)
4.民泊の法的問題ー民泊とは?
• 民泊周辺ビジネス
–スマートロック
–リノベーション業
–民泊管理代行業・民泊向けコンシェルジュ
–民泊向け家電・家具レンタルサービス
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4.民泊の法的問題ー民泊とは?
• 民泊周辺ビジネス
–スマートロック
–リノベーション業
–民泊管理代行業・民泊向けコンシェルジュ
–民泊向け家電・家具レンタルサービス
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 35
4.民泊ープラットフォーマーの責任
 民泊サービスは、宿泊サービスであるため、旅館業法上
の「旅館業」に該当する場合が多く、賃貸物件の場合は
大家、所有物件についてはマンション管理組合との関係
で契約違反となる場合が多い ⇛闇民泊
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 36
4.民泊ープラットフォーマーの責任
 民泊サービスは、宿泊サービスであるため、旅館業法上
の「旅館業」に該当する場合が多く、賃貸物件の場合は
大家、所有物件についてはマンション管理組合との関係
で契約違反となる場合が多い ⇛闇民泊
 仲介するプラットフォーマーは、責任を負うか?
旅館業法違反の幇助・教唆として罰則の対象になりうる
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 37
4.民泊ープラットフォーマーの責任
 民泊サービスは、宿泊サービスであるため、旅館業法上
の「旅館業」に該当する場合が多く、賃貸物件の場合は
大家、所有物件についてはマンション管理組合との関係
で契約違反となる場合が多い ⇛闇民泊
 仲介するプラットフォーマーは、責任を負うか?
旅館業法違反の幇助・教唆として罰則の対象になりうる
 適法なサービスを提供する方法は?
① 旅館業等の許可を得たユーザーのみ取り扱う方法
② 旅館業に該当しないユーザーのみ取り扱う方法
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4.民泊ー適法に行うためには
 適法なサービスを提供する方法ー「①旅館業等の許可を
得たユーザーのみ取り扱う方法」
①旅館業法(簡易宿所営業)の許可
宿泊施設として建築基準法や消防法等の関連法規を遵守する必要
あり。地域によっては固有の条例を遵守する必要もある。
②国家戦略特区(民泊条例)の認定
簡易宿所に比べると要件は緩やか
③イベント民泊
ビジネスには不向き
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 39
4.民泊ー適法に行うためには
 民泊を適法に行うための方法
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 40
旅館業法
(簡易宿所)
国家戦略特区
(民泊条例)
イベント民泊
民泊新法
(仮・未確定)
許認可
許可 認定 不要 届出?
最低宿泊日数
なし 2泊3日~ なし なし?
営業日数上限
なし なし
イベント開催期
間/年1回
180日以下?
居室の床面積
(※例外あり) 3.3㎡~ 25㎡~ なし ?
実施エリア
全国
大田区
大阪府
大阪市
北九州市
全国 ?
契約形態
宿泊契約 賃貸借契約 宿泊契約 宿泊契約?
4.民泊ー適法に行うためには
 適法なサービスを提供する方法ー「②旅館業に該当しな
いユーザーのみ取り扱う方法」
旅館業に該当しないものの代表的な例として、以下の判断基準に
沿った貸室がある⇛貸室業の場合、旅館業等の許可不要
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 41
4.民泊ー適法に行うためには
 適法なサービスを提供する方法ー「②旅館業に該当しな
いユーザーのみ取り扱う方法」
旅館業に該当しないものの代表的な例として、以下の判断基準に
沿った貸室がある⇛貸室業の場合、旅館業等の許可不要
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 42
旅館業とアパート等の貸室業と違いと判断基準
(1)施設の管理・経営形態を総体的にみて、宿泊者のいる部屋を含め施設の
衛生上の維持管理責任が営業者にあると社会通念上認められること
判断基準:寝具の入れ替え、部屋の清掃をどちらが負担するか等
(2)施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないこと
判断基準:目安として、1ヶ月を超える場合は貸室業と判断されうる
4.民泊ーマンション管理規約の問題
 マンション管理規約
⇒民泊の用途に使用することは、管理規約違反と解されている。
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 43
マンションの管理規約では、「区分所有者は、その専有部分を専ら
住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」など
のように規定されていることが多い。
4.民泊ーマンション管理規約の問題
 マンション管理規約
⇒民泊の用途に使用することは、管理規約違反と解されている。
(注)もともと事業用途が認められていた管理規約を、その後民泊禁止とする規約へ変更した場合、
4分の3以上の決議では足りず個別の同意が必要とされるため、当該変更が無効とされる可能性もある。
このため民泊事業を行いたい場合は、規約の変更手続きも含めて確認してみる必要がある。
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 44
マンションの管理規約では、「区分所有者は、その専有部分を専ら
住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」など
のように規定されていることが多い。
⇒管理規約の変更には「区分所有者及び議決権」の各4分の3以上の多数に
よる決議が必要(区分所有法第31条)でハードルは高い。
管理規約を変更する必要性
4.民泊ー適法に行うためには
 利用規約等での対処方法
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 45
留意事項1
利用規約等に、ユーザーが法律を遵守し、必要な許認可を得なければ
ならないことを明記しておくべき。
⇛ユーザーに対し、各ユーザーに適用される法律を遵守し、必要な許
認可をとらなければならないことを喚起できる。
留意事項2
利用規約等に、賃貸人・マンション管理組合との間で必要な同意を得
ていることを明記しておくべき。
⇛ユーザーに対し、各ユーザーごとに締結している契約を遵守し、必
要な同意をとらなければならないことを喚起できる。
4.民泊ー適法に行うためには
 利用規約等での対処方法
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 46
留意事項1
利用規約等に、ユーザーが法律を遵守し、必要な許認可を得なければ
ならないことを明記しておくべき。
⇛ユーザーに対し、各ユーザーに適用される法律を遵守し、必要な許
認可をとらなければならないことを喚起できる。
留意事項2
利用規約等に、賃貸人・マンション管理組合との間で必要な同意を得
ていることを明記しておくべき。
⇛ユーザーに対し、各ユーザーごとに締結している契約を遵守し、必
要な同意をとらなければならないことを喚起できる。
【※注意】以上の対処方法が一般的となっているものの、これだけで責任
をすべて果たしたと判断されるか未確定な上、今後の法改正等により、民
泊プラットフォーマーの責任が強まる可能性があることに注意が必要であ
る。
事務所概要
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 47
事務所名 GVA法律事務所
URL http://gvalaw.jp/
設立年月日 2012年1月4日
代表弁護士 山本俊
所属弁護士 藤江大輔 森田芳玄 中村譲 飛岡依織 恩田俊明 戸田一成 本間由美子 重松大介 渡邉寛人
小名木俊太郎 金子知史 康潤碩(カンユンソ) 仲沢勇人 森田大夢
電話番号 03-6712-7525
E-mail info@gvalaw.jp
所在地 東京都渋谷区恵比寿西一丁目7番7号 EBSビル3階
メンバー
弁護士 15名
特定社会保険労務士 1名
事務局・パラリーガル 7名
業務内容
ベンチャー企業に対する法的支援
IT企業に対する法的支援
アジア進出企業に対する法的支援
上場企業/ベンチャーキャピタル/その他企業に対しての法的支援全般
拠点概要
【自社拠点】
シンガポール、タイ
【提携先】
マレーシア、インドネシア、ベトナム、中国、アメリカ等
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 48
Copyright (C) 2017 GVA Law Office All Rights Reserved. 49

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