27. www.jeeadis.jp 27
エストニア情報政策の基本原則(1998)
Principles of Estonian Information Policy
• 社会と市民への奉仕、市民参加の促進、民主主義の推進と強化、
官僚的な障壁の除去、情報基盤の改善、競争経済の創出、国防
の近代化と強化、エストニア語の言語と文化の発展
• 最終的な目的は「社会全体の幸福の増加」に貢献すること
• プライバシーとデータセキュリティの絶え間ない改善
• 継続的に、法律を近代化しなければならない
• 情報への平等なアクセスを保障する
• 情報は、わかりやすく提供しなければいけない
• 情報の信頼性 = 情報の正確性に対する責任を明確にする
28. www.jeeadis.jp 28
情報化社会の発展の原則(2006-2013)
Principles for the development of the information society in Estonia
• 基本的権利、個人データおよびアイデンティティの保護を保証
• 情報システムにおける容認できないリスクの軽減を保証
• 公共部門は、既存の技術的解決策(IDカード、データ交換基
盤X-Road)を採用し、IT開発の重複を避ける
• 公共部門は、市民、起業家、公共団体からの「1回限りのデー
タ収集」を確実にするため、ビジネスプロセスを再編成する
• 公共部門は、オープンスタンダードを採用して情報システムの
相互運用性を確保する
• データ収集とICT開発は、再利用性の原則から始まる
29. www.jeeadis.jp 29
情報化社会の発展の原則(2013-2020)
Principles for the development of the information society in Estonia
• 情報化社会の発展は、国家の競争力を高め、人々の全体的な幸
福を高めるための戦略的な選択である
• 公共部門は賢明な顧客となり、公共調達において革新的な解決
策を提供するために可能な限り自由が確保され、それによって
ICT部門の発展に貢献する
• 使用するデバイスに関係なく、すべての人がインターネットに
アクセスし、コンテンツを利用できるようにする
• EUや他の地域における発展を考慮し、エストニアはその経験
を共有し、他者から学ぶ
• 必要な情報の保存(アーカイブ)に適切な注意を払う
34. www.jeeadis.jp 34
エストニアのインターネット投票の利用状況
• 2019年までに10回の選挙でインターネット投票を実施
• 2019年3月の国政選挙では、投票者の43.8%がネット投票
• 期日前投票の71.4%、国外居住者9割以上がネット投票を利用
• 一方で、投票率改善への大きな貢献は確認されていない
出典:Statistics about Internet voting in Estonia のデータより作成
https://www.valimised.ee/en/archive/statistics-about-internet-voting-estonia
61. エストニアの医療情報システム関連法令
法令 概要
医療サービス組織法
Health Services
Organisation Act
エストニアにおける医療サービス全般を規定する法律。患
者の権利、患者データの取扱いや健康情報システム
(Health Information System)についても規定する。
医療情報システム法
Statute of Health
Information System
医療情報システムとデータベースについて規定する法律。
医療文書とデータの収集・管理・保存、医療従事者のデー
タ提出義務や本人のアクセス拒否権などを規定。セキュリ
ティ等の技術的要件についても規定する。
個人データ保護法
Personal Data Protection
Act
エストニアの個人情報保護法。EUのデータ保護規則に準
拠し、医療データの取扱い、科学研究目的のデータ利用要
件(同意が不要)について規定。
ゲノム法
Human Genes Research Act
遺伝子ドナーの権利やゲノムバンクについて規定する。
その他 医薬品法(電子処方箋)、公共情報法、住民登録法、身分
証明書法、統計法、公文書管理法(Archives Act)など。
www.jeeadis.jp 61
76. エストニアの医療情報交換基盤 (HIE)
Estonian National Health Information Exchange
全国規模で医療データを交換する基盤として2008年に整備
Electronic Patient Record (EHR)
電子患者記録システム
構築費用:約2億円
患者情報、医療記録、来院記録、病歴等が
作成・登録・データベース化される。
Digital Image
電子画像管理システム
構築費用:約2500万円
X線やCT画像等のデータが作成・登録・
データベース化される。
Digital Registration
電子予約登録システム
構築費用:約2500万円
患者が医療機関をオンライン予約できる。
予約情報は各医療機関のシステムと連動。
Digital Prescription
電子処方箋(2010年から)
構築費用:約3000万円
年間約800万枚の処方箋を電子化し、利用
率は、ほぼ100%。
eヘルス財団が構築・運営(電子処方箋のみエストニア健康保険基金)
www.jeeadis.jp 76
78. 新たなICTガバナンスへ
健康福祉情報システムセンター(HWISC,TEHIK)
Health and Welfare Information Systems Center
www.jeeadis.jp 78
ICTコンピテンシーセンターとして2017年1月1日に設立
「エストニア社会省のICT部門」と「eヘルス財団」の役割と責任を統合
医療、社会保障、労働の3分野をカバー
2020年までに「人間中心の分野統合ICTシステム」を提供する
出典:An Overview of Current Estonian Health Information System Architecture Pitfalls and prospects (Artur Novek)
参考:Tervise ja Heaolu Infosusteemide Keskus https://www.tehik.ee/
87. 医療データ保護のブロックチェーン利用
www.jeeadis.jp 87
参考:Blockchain in Estonian National Health Information System (Artur Novek)
https://cdn.ymaws.com/echalliance.com/resource/resmgr/images/DHW_2018_Profiles_/2018_Presentations_/Artur_Novek.pdf
プライベート・許可・共有
優れた拡張性
リアルタイム保護と検証
保護するのはログ記録
誰がいつ何をしたか
最新データの利用を保証
98. 電子画像管理システム Nationwide PACS in Estonia (1)
出典:Nation-wide PACS system in Estonia
http://mug.ee/ehealth/presentations/Andrus_Paats.pdf
www.jeeadis.jp 98
•様々な電子画像機器からの画像データ
•既存の情報システムと連携・統合
•全国どこからでも画像データを閲覧
CR,CT,MR,XA,US,ES,NM, etc
99. 電子画像管理システム Nationwide PACS in Estonia (2)
出典:Nation-wide PACS system in Estonia
http://mug.ee/ehealth/presentations/Andrus_Paats.pdf
www.jeeadis.jp 99
家庭医(GP)ポータル Impax client
100. 電子画像管理システム Nationwide PACS in Estonia (3)
出典:Nation-wide PACS system in Estonia
http://mug.ee/ehealth/presentations/Andrus_Paats.pdf
www.jeeadis.jp 100
102. 電子画像管理システム Nationwide PACS in Estonia (5)
出典:Nationwide PACS in Estonia 等から作成
https://vimeo.com/114324564
2008-
2013
全国電子画像管理システムの拡張と改善を続ける中で
5つの医療機関が独自の画像管理システムを採用
・約10%の画像が中央システムに記録されず
・他の医療機関が、その画像を閲覧できない
2014 エストニアPACS財団に全国の医療画像を記録する権限を付与
全てのDICOMデータは中央システムに記録される(法律で強制)
・医療機関側からの反対意見もある
現在 全国電子画像管理システムは24時間/365日体制で稼働中
・病院、家庭医、救急医療、医療補助員などが利用
・過去の画像データはフィルムをスキャンしてデジタル化
・電子画像機器(modalities)との通信はVPNで暗号化
・データの完全性や災害時の復旧などにも配慮
・ウェブ閲覧が可能(OSやブラウザに依存しない)
・家庭医(GP)用のポータルサイトを提供
・全国医療情報交換基盤 と連携・統合
・DICOMワークステーション等から操作
www.jeeadis.jp 102
103. 電子画像管理システム Nationwide PACS in Estonia (6)
出典:Nationwide PACS in Estonia 等から作成
https://vimeo.com/114324564
2013年度 開発・拡張・維持費の合計:869,000ユーロ(約1億500万円)
・ハードウェア:5200万円
・ソフトウェア:4000万円
・維持費:1300万円
2012年末 全国電子画像記録の運用状況
・累計600万超の事例
・データ容量は480TB
www.jeeadis.jp 103
104. e-prescription 電子処方箋サービス
出典:Estonian digital prescription system - how does it work?
https://youtu.be/m9rTZM2kj78
www.jeeadis.jp 104
医師がパソコンを操作して発行
データは電子処方箋センターに登録
薬局でIDカードによる本人確認
薬剤師はセンターにアクセス
本人は患者ポータルで閲覧可能
111. 個別化医療における
デジタル意思決定支援システム(DDSS)
出典:Feasibility study for the development of digital decision
support systems for personalised medicine (2015年6月)
•エストニア社会省とタリン工
科大学による共同研究
•個別化医療の原則に従い、臨
床的意思決定をサポートする
(デジタル意思決定支援ソ
リューション)
•使用可能な健康データのマッ
ピングと標準・データ形式の
特定
•現実的な健康データと病歴を
有する仮想個人の寿命をカ
バーする3つの臨床状態(心血
管疾患、糖尿病、癌)のモデ
ルシナリオの開発
•人生の段階における予防、治
療、フォローアップ/モニタリ
ングを含む
www.jeeadis.jp 111
DDSSは、健康成果を改善し、不要な検査を減らし、薬物
と薬物の相互作用を排除し、不要な入院を避けることを目
的とする。
112. 個別化医療における
デジタル意思決定支援システム(DDSS)(2)
出典:Feasibility study for the development of digital decision
support systems for personalised medicine (2015年6月)
•表現型(行動データ、環境
データを含む)および遺伝子
型データ
•どのポイントでどのような
データが必要か
•必要なデータが、どこに存
在しているか
•どのような形式で格納・保
存されているか
•データの収集と分析に必要
な技術的手段を決定
•DDSSの実現が技術的に可
能となる
•シナリオに基づくプロトタ
イプの作成 → 拡張可能
www.jeeadis.jp 112
117. www.jeeadis.jp 117
出典:EHIF e-Solutions 03.10.2017
Raimo Laus Head of IT Department (2003- 2017) Estonian Health Insurance Fund
物理世界とサイバー世界の融合
サイバーフィジカルテクノロジーと初期データ処理の自動化プラットフォーム
Siriに似たベビーシッター
のように、植物のライフサ
イクル全体に渡りケアする
高度な拡張性を備え、多数の個体を管理
できる
リアルタイムのモニタリングか
ら、予測した日々の治療計画ま
でをカバー